三ノ助・笑助スケスケときわ二人会

2011年1月18日(火)

同日に、箕面にて「めいぷるごにんばやしの会」があり、
紅雀さんを裏切って(?)別の会に行きました。

憎むべきは崇徳院マイブーム…

桂 三ノ助 「つる」
笑福亭 笑助「崇徳院」
桂 壱之輔 「真田小僧」
桂 三ノ助 「鯛」

※奇数月の第三火曜日に行われる会です。
 お客さんの帰り際、笑助さんが「次回は粗忽長屋します」と言っていました。
桂 三ノ助さん、初めて見る噺家さんです。
ぱっと見たところ、もう若手ではない、中堅くらいの人に見えました。
「つる」は正直、一度も笑えず聴いていて辛かったです(;_;)
若手なら、これから伸びるだろうと思わせる何かが必ず潜んでいるものですが、
中堅になると、頭打ちの印象。
ここから何をどう変えれば良いのか、アドバイスすら出てきません。
兎に角、キャラの入り方が浅くてふわふわ浮いている感じです。
噺の世界に入っていけない、演者しか目に入らない状態。
これは、紅雀さんの「つる」も同じでした。
前座は笑いを取ってはいけないという不文律が落語界に存在するのでしょうか…。
「つる」を失くして、その分、出演者のフリートークをして欲しかったです。


 笑福亭 笑助さん、こちらも初めて。
昨日点滴を打たれたとか。体調は万全でなさそう(^^;)。
タレントから笑瓶さんに弟子入りし噺家になった方です。
 「崇徳院」は上方で大きく分けて二通りのやり方が存在するらしく、
一つは米朝さんの師匠米團治さんのやり方(米朝一門に受け継がれています)。
(→熊五郎がお金に目が眩んでお嬢さんを探し、奥さんが「肩の悪い夫婦やからしゃ~ない、諦めよ」と言う)
もう一つは五代目笑福亭松鶴さんのやり方(六代目松鶴さんの弟子仁鶴さんが進化させました)。
(→大旦那が熊五郎にお嬢さんを見つけ出さなければお上に訴えると言う。羊羹ではなくカステラが出る)
 仁鶴さんは枝雀さんより二つ年上で、今年74歳になります。
今の笑福亭一門の若手は、どのように崇徳院を話しているのか聴いてみたいと思いました。
 全く想定外だったのは、笑助さんが異色の経歴の持ち主だという事。
どなたにこの噺を教わったのか分かりませんが、笑福亭のやり方にこだわっていないという印象でした。笑福亭の崇徳院をベースに、東京のやり方が少し混ざっているような。
東西ミックスする崇徳院は私の夢だと思っていたのですが、現実にありました。
ただ、混ぜ方が私の夢と大分違う感じです。
・「定吉」と言わず「丁稚」と言う
・若旦那を訪ねた熊五郎が「薬の臭いがぷ~んとして」という台詞がない
・石川五右衛門の歌がなく、いきなり障子の歌に入る
・お風呂やうなぎと言う大旦那の台詞がない(?)
上記は、あった方がいいんじゃないかなあと思った点です。
 逆に良かった点は
・たくあんを5、6本お櫃に突き刺したところ(笑)
・熊五郎が腰から草鞋を沢山ぶら下げて、お櫃を首からかけて帰って来たときに、
 奥さんが「また、わてを笑わそ思て」と言ったところ。普段から、よく笑わせているのでしょうか。^^
 熊五郎を寝かしつける所も面白かったです。歌っていたような
・大旦那が「お上に訴えますぞ」と言った後、「…というのは冗談にしても、何とか頼みます」と、
 大旦那のやや威圧的な態度を和らげていた
驚いた点
・草鞋を腰に沢山つけられてた熊五郎が「仁王様みたいになった」と発言
これは東京の桂三木助の崇徳院でしか聞いたことが無く、現代人には伝わりにくいくすぐりだと
思っていたのですが、まだ使う噺家さんがいたことに驚きました。
仁王像が有名な地域や、年配のお客さんにはまだ通じるくすぐりなんでしょうか。

 本当に体調が悪いらしく、作次郎を別の名前に言ってしまったり、
タバコを吸ってむせ込んだりと(※演技でタバコを吸っているのにむせていました^^;)
これはこれで、思い出になりました。
 全体的に間合いの取り方が短く感じられ、もっとゆったり語って欲しかったです。;;
せをはやみを歌う練習をするために、せっかく裏長屋のある通りへ入ったのに、
すぐその場面が終わってしまいました。
あそこは熊五郎が照れて葛藤するという美味しいところ。
タバコを吸う場面も、もっと長引かせてから、突然“大声”で歌って欲しかったです。


桂 壱之輔さん、こちらも初めて。
師匠(春之輔さん)がタクシーにはねられた話(20年くらい前の話)や、
最近落語会でも、ねずっちブームで「なぞかけ」をやらされるというマクラを。
 真田小僧というタイトルは、家に帰ってからネットで調べてやっと知りました。
新作落語だと思っていましたが、どうやら違うみたい。
 凄く楽しい一席でした。
噺の中で、父親が息子に「男の子やったら、はっきりものを言え」
と言うのですが、息子の台詞が、半ば絶叫に近くて(笑)。
紅雀さんといい、私は「絶叫する噺家」に弱いのでしょうか?
大声に、がつんと殴られたような衝撃を受けました。ビームを食らったような感じです。
 思えば、高校の入学式で、思いもかけず真後ろから大量のファンファーレを浴びせられ、
我を忘れて、ブラスバンド部に入ってしまった事もありました。
 男の子がおこずかい欲しさに、母親が浮気をしている現場を見た、と父親に言います。
話の続きが聞きたかったら、一銭おくれ、と。これが段々エスカレートしていきます。
息子の話術に、どんどんはまっていく父親が見ていて面白かったです。
 ただ、男の子のキャラが濃いのに、お父さんがちょっと薄い気がします。妻が浮気していると
聞いても、はじめは中々男の子の手に引っかかってくれません(作り話だと思っているのでしょうか?)。お金が勿体無いから、男の子の話に乗らないのかな?それじゃちょっと味気ないですね。
妻の浮気と聞いて、何かしら葛藤している表情が薄っすらと見れたなら、と思うのです。
 でも、本当に私の好みの噺家さんです。この一席、惚れ惚れするような内容でした。
壱之輔さんの「崇徳院」が見れるなんて…!!と暴走してチケットを取ったのは翌日です。


三ノ助さんの二席目。
高座に上がってきた時は、この人の噺をもう一度聴かないといけないのかと、
半ば脱力するような思いでいっぱいでした。
ところが、噺家さんの評価というのは、たった一席で決めてはいけないのだなあと、
そう思わせるとても良い内容でした。「つる」とは別人です。
(何故「つる」の時に、力を発揮できなかったのか…)
 噺の舞台は、寿司屋の生け簀(いけす)。その中で、多くの鯛が泳いでいます。
新参者の今朝捕まえられた鯛が、先輩の鯛に「どうすれば生け簀の網に捕まらず、長生きできるのか」と言ったアドバイスを受けます。「明日は我が身」という台詞も飛び出してきて、
何だか刹那的な生活をしているようですね。これは、今の人間社会にも当てはめられる事かもしれません。「今にも死にそうな演技をするんや」という辺りも(笑)。
鯛だからこそ可笑しいと思うのですが、この噺を作った三枝さんは、やっぱり人間を投影させていると思いました。
 新参者の鯛は天然もの。養殖生まれの鯛は「どんくさい奴ら」と、やや下に見られています。
鯛の社会も大変ね(^^;)。そう言えば、メスの鯛が出てこなかったのですが、どうなっているんでしょう。
 生け簀の主(ぬし)の後継者として、新参者が選ばれそうになるくだりは、少し唐突な感じがしました。新参者の鯛が、後継者としてふさわしいと思える片鱗というか伏線が余り語られていなかったような気がします。
 とは言え、とても楽しい一席でした。鯛の社会から人間を観察するところも面白かったです。「あのおっさん、浮気しとんねん」とか(笑)。よく見てますね。
 落ちは、大変すばらしいもので、ちょっと泣いてしまいそうになりました。生け簀の主(ぬし)の中に、武士の精神を見た思いがします。ファンタジーな噺ですが、大事なものがいっぱい詰まっている噺だなあと思いました。

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あらん!?

それって、浮気でおますか?
しかし、紅雀さんが絶叫してはるという認識はござりませなんだ。
そうかぁ、絶叫してはるのか。。。

崇徳院の落ちで、変った落ちがあるのをご存知かな?
最後に「若旦那って人徳がありますな」
「人徳(仁徳)があるはずや、逢ったのが高津さんや」・・・と言う落ちです。これは、米輔さんで聞きました。こんな落ちがあるのかと、びっくりした記憶があります。
普通は、落ちがないか、「割れても末に買わんとぞ思う」ですよね。
崇徳院の研究の参考にして下さいネ。うふふ。

にこさんへ

天満橋の駅に着いた時、ちょうど18時半だったので、
やっぱり箕面は間に合わないよね、と自分に言い聞かせたのですが、
良心が痛みました(笑)。

紅雀さんは、たま~に絶叫するんですよ、たぶん(笑)。
私も「青菜」と「崇徳院」でしか聞いた事がありません。^▽^;

もずさんへ

崇徳院の変ったオチ、
「人徳(仁徳)があるはずや、逢ったのが高津さんや」は、
ネットでは知っていたのですが、生で聴いたことはありません(^^;)。
六代目松鶴さんが使っていたようですが、
まさか米朝一門の米輔さんがそのオチを使うとは(驚)。
一門で括りすぎるのは良くないですね。

情報ありがとうございました!
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