玉造・猫間川寄席

2015年1月28日(水)玉造・さんくすホール

笑福亭 呂竹 「米揚げ笊」
桂 紅雀    「肝つぶし」
桂 文我   「三十石難船事始」
~仲入~
桂 三歩   「悲しみよありがとう」
桂 文我   「寝床」


紅雀さんをお目当てに行ったのに、三歩さんにすっかりしてやられました。面白すぎて!



猫間川寄席は初めて参加しました。
お客さんの数は満席の手前、9割ほどでしょうか。
でも椅子を追加していたので、ほぼ満席(と思っておきます)。

会が始まる前、おひげをたくわえた席亭さん(?)が、「猫間川寄席も10年目に入りました。皆様のおかげです…」と。客席から拍手が。会場の壁三面には、噺家さんの名ビラがずらりと貼られています。今まで出演した人たちだとか。東京の噺家さんや、講談師さん、色物さんのお名前も。名ビラを貼るのは1月の会だけと仰っていたような。襲名前、改名前の名ビラまで貼られていたのが何だか嬉しかったです。


開口一番は、呂好さん。
聴くのは二回目です。以前の感想を読むと、若旦那って一言も書いてませんね。この日は、とても若旦那っぽいなあと思いました。崇徳院を実写化するなら、この人で決まりです。マクラは中華料理屋さんでの出来事。7年目に入り後輩におごることも増えて…と仰っていました。とてもよくまとまっていて面白かったです。
・基本的に大きな声は出さないタイプ
・噺の序盤に顔をくしゃっとする癖がある。(細かい所見すぎ)
・テキストが丁寧。間が良く、大きな仕草を出していない時でも笑い声が起こる。
・いかきを運ぶ仕草は右肩に担ぐ型。紅雀さんは多分おうこ(天秤棒)。
・ご隠居さんの名前が竹内さん。五代目六代目松鶴の苗字。
六代目松鶴の「米揚げ笊」は見聴きしたことが無いが、肩に担ぐ仕草が、六代目がしそうな仕草だなと思った。思い返せば枝雀さんはおうこを担っているイメージがある。
・主人公が「ご隠居はんは良い人やけど、イラチで(大省略)アホ」。隠居「誰がアホやて」。主「歩くの忘れてた」。というようなくだりが無かった。新しく入って来たくすぐりか。
・百円やんなはれ、二百円やんなはれ、五百円、千円、二千円。と金額が吊り上がって主人公は喜ぶ。紅雀さんは、財布ごとやる、須磨の別荘(今は言わない?)、蔵ごしやんなはれ。
・主人公に姉がいる設定(初耳)。京都の紙屋さん?で働いている。
・主人公、途中で「下がる」という言葉を使ってしまう(初耳)。旦那が怒る。番頭がなだめる(ええ人)。「上がりっぱなしはダメ。下がった時に、「あそこが天井やったんやなあ」と知れる。上がりっぱなしでは身代が潰れます」(下線部が初耳※うろ覚え)。主人公「潰れる代物とはわけが違います」(サゲ)。


お次は、紅雀さん。イヨ、待ってました!(※心の声)。マクラはテニスの試合に熱中している、とのこと。錦織(にしこり)選手を応援しているとかで、他にいるお気に入りの外国人選手の名前を失念(ナダル?)。シャラポワvsカナダの新星ブシャールは美人対決。北海道に行った時、飛行機のランク分けの名前について。
・「肝つぶし」は、テキストをどこかしら全体的に(?)削っている印象。すっきりさせたいのだろうか。
・呉服屋の娘がお店の者に無理やり連れ去られる。「いやや、いやや」という台詞が無い。お嬢さん、恨めしそうな顔でこっち見てる、とかそういう言葉でした。(リアル)
・吉まの親父さんには世話になった。両親を亡くした自分たち兄妹を引き取ってくれて、(貧しさから盗みを働いた時も代わりに罪をかぶってくれた)」括弧内の台詞が無かった。確かに、引き取られて世話になっていたのに、盗みを働くのは、ちょっと矛盾しているかも。(でも、引き取られた結果、吉まの親父さんも生活が苦しくなって、主人公が空腹で盗みを働いたのかもしれない)。
・主人公の妹が酔っぱらって寝てしまう。「化粧っけの無い顔で」という台詞も無かった。これは以前から無かったかも? 雀五郎さんはどうなんだろう。吉の丞さんは確か言ってたと思う。若い女の子が化粧っけ無く疲れて寝ているところは、ちょっと可愛いというか、切ないというか。有る方が好みかなあ。
・兄妹の空気を出すのって、けっこう難しいように思う。一歩間違えたら夫婦に見えてしまう。紅雀さんのは兄妹に見えた。「あれくらいで酔ってしまうものなんかな」、は初めて聴いた台詞。凄く良かった。
・三月のめいぷるでも「肝つぶし」が出る。その時、テキストがどうなっているのか楽しみ。


お次は、文我さん。
何だかとってもお久しぶり、と思ったのは、以前見た時と髪型が違っていたせいでしょうか。マクラは、紅雀さんが弟子入りした時、文我さんが受付に居たというお話を。「今は焼き鳥屋みたいな顔してますけど、昔はええ男でしてね」。めっちゃ受けた。焼き鳥屋って言い得て妙。受付で紅雀さんを見た瞬間に弟子入りに来たな、師匠は取るだろうと直感したそうで。後で師匠に「どうするんですか?」と聞いたら「うーん…」という返事。でも顔にちゃんと書いてあった、と文我さん。あと入ったばかりの紅雀さんから電車で相談を受けた話も。お宝満載の内容でした。「三十石難船事始」は、滑稽噺だと思っていたのですが、違っていて、大部分がミステリータッチで、最後がホラーでした。終盤はけっこう怖かったです。主人公が川の水を飲む娘の着物の袖を持っている仕草とか、一回目見た時に、突き落すんじゃないかと。その時は落とさなかったけど、二回目は。娘が可哀想で。元は講談ネタなんでしょうか。地の文が多かったように思います。粗筋は、大和郡山の侍が妻子のある同僚と仲たがいして斬ってしまい、逐電。大阪の新町のお茶屋の女将さんと夫婦になります。佐助と名を変えて。天神さんにお参りに行ったら迷子の娘が居る。引き取って養女にするのですが。養女の正体はお約束。ただ成長する過程や、旅の様子はリアルで聴いていてけっこう楽しめました。終盤の怪談のくだりも鏡のところでぞっとしました。サゲは無かったです。


中入り後は、三歩さん。
三金さんと勘違いしてました。思ってた人と違う人が高座に上がったので吃驚。更に歯が無い! と衝撃を受けました。上の歯は4~5本くらい無い気がします。下も同じくらい無い感じ。(※ぱっと見の印象です)。「ハハハハ」と笑い上戸っぽく登場。オークワ文化奨励賞(※うろ覚えです)を受賞し、賞状を高座から見せてくれました。57才。「やっと肩書きが出来ました」。時事ネタも交えてのマクラ。何だかとても昔の芸人さんという感じがします。最近の芸人さんは実際の学歴がどうであれ高学歴の匂いが凄いするんですね。三歩さんは、その匂いがしない希少な人。話すことに嫌味がないし、愛されキャラだなあと思いました。「悲しみよありがとう」は秀逸な内容でお客さんに良く受けてました。(私も思いの外笑った)。噺の冒頭は紅雀さんの「向う付け」の現代版のよう。主人公がにこにこしているのでお通夜の場面と暫く気づきませんでした。「向う付け」と違うのは、亡くなった先生の隣にバナナが置いてあること。同級生が久々に集まって「あいつはどうなった」とか「こいつはああなった」とか、本人不在の不幸話に花が咲きます。主人公の金丸は凄く嬉しそう。噂が本物だったという同級生に会った時は、周りから禁句を言い渡されますが、「……どう?」と言ってしまいます。この「どう?」が本当にツボで、一期一会の笑いだったような。同級生の黒瓦が手術を受ける際に先生に言われた言葉は「痛みに耐えられる(越えられる?)人間にならなあかん」と。ちょっとじーんと来ました。サゲはちょっと弱いかなあと思いましたが、ほっこりしたもの。本当に楽しい一席でした。
メモ:登場人物が多かったが、頭が混乱しなかった。エピソードが中心の話だったから?


最後は、文我さん。
マクラはオークワ文化奨励賞の賞金額を暴露。咲くやこの花賞の当初の賞金と同額。それが今や、咲くや~の賞金が0円に。世知辛い世の中、オークワは太っ腹。会社の文化に対する貢献度が伺えます。今度、オークワを見かけたら迷わず買い物をしようと思いました。「寝床」は、ずっと以前テレビで見たことがあったのですが、テレビの落語はやっぱり苦手だなあと、しょんぼりした記憶があります。噺家さんがお客さんに平等に目を配る、その対象に自分が居ないということがはっきり分かってしまうからです。その時は、まん我さんとテキストが似てるんだなあという感想を持ったに過ぎなかったのですが、今回はテレビとだいぶ違う(これは当たり前ですが)、テキストもかなり違うと思いました。
・旦那が、定吉を前にして「お前はこの間、提灯屋さんを呼びにやるのをすっかり忘れてたやろ」と言う。米二さんは定吉が居ない時に言う。「この間は誰じゃったかいな、定吉やったか、頼んない奴に呼びにやらせて、提灯屋さんを呼ばなんだ」とかそういう風な台詞です(多分)。
・まん我さんと違って、余り「♪ア~~」とか「♪オオ~」とか言わない。その代り「♪三つ違いの兄さまに~……何?「何かが取り付いているのですか?」。違う違う」。この後もう一つ見覚えのないクスグリがあったのですが失念。洗面器は出て来なかったと思います。
・文我さん、ポンと手を打つのがちょっと癖になってるかも。でも三十石難船~では出て来なかった所作です(多分)。
・まん我さんは半ばまでしか聴いたことが無い?せいか、濃い印象。文我さんはあっさりした感じ。
・「肺は腐りはせぬか、脳は解けやせぬかと…」。このくすぐり、ちょっと苦手だったのですが、文我さんでは平気でした。不思議。
・どの場面か忘れましたが、旦さん以外の登場人物が浄瑠璃の話題になったとたんに、遠い目をして、物凄くリアルだなあと思いました。
・寝床のサゲ、噺家さんによって微妙に言葉が違う(と思う)ので、うろ覚えながらメモ。
定吉が泣いている。(浄瑠璃の)話の始めの方は悲しくなかった。半ばでも悲しくなかった。終わりくらいに悲しくなった。旦那「どこが悲しかった?」。定「旦さんの浄瑠璃で悲しくなったのではありません。皆寝ているのに、私だけ寝る所がないのです」。「何故に」。「旦さんの座っている所が、私のいつもの寝床でございます」。丁寧だけど、くどく感じさぜず、ちょっと私好みのサゲです(多分)。


会が終わった後、スタッフの皆さんから、善哉か、甘酒か、日本酒か、どれかお好きなものを…と振る舞われ、善哉を頂きました。紙コップ1杯の暖かさ。やっぱりスタッフさんの気持ちが嬉しくて温かいのだなあと思いました。帰り道はゆずさんご夫妻とご一緒して、学生時代に住んでいた懐かしい京都の話が出来ました。


猫間川寄席には文我さんの出された本や絵本などが沢山売られていました。どれも欲しいと思ったのですが、そんな余裕は無いといったんは我慢したものの、思わず新刊「上方落語『東の旅』通し口演 伊勢参宮神賑」と「きらく」1号を手に取ってしまい、手から離れなくなりました(カルタ先生やないんやから)。

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お疲れさまでした!(^^)

湖涼さん、こんばんは
ご感想、楽しく読ませて頂きました。
三歩さんは私も最初はあの前歯が気になっていましたが、上新庄えきまえ寄席のメンバーなので度々拝見する機会があり、今では全く気にならなくなってしまいました。
それに噺はうまいしね(^^)

文我さんの言うたはる紅雀さんが「昔はええ男」というのはイケメンやったということでしょうか?^m^

にこさんへ

温かいコメントありがとうございます。
三歩さんは上新庄えきまえ寄席のメンバーなんですね。他の噺も聴きたいって思ったのですが、よせぴでは中々お名前を見つけられず。えきまえ寄席、チェックしておきます。(と言いつつ忘れたりして^^;)。
 「ええ男」と言う前に、文我さん0.5秒くらい言葉を探したように見えました。線の細い、整った顔立ちのって言おうと思ったのではないかなと勝手に想像しています(笑)。

上新庄えきまえ寄席

こんばんは
三歩さんのご担当は5月で「えきまえから百二十三歩の会」というタイトルですが、まだ日にちまではわかりません。
わかったらお知らせしますね(^_-)-★
ちなみに3月(3/28)の担当は雀五郎さんで、今年は南天さんがゲストみたいです♪

こんにちは

こんにちは。
三歩さんの5月の落語会情報、入りましたら、
どうぞ宜しくお願いします。
にこさんのブログを読むと、凄く楽しそうで、行かないでおこうと思った落語会につい足を運んでしまいます。
今日は動楽亭昼席へ。影響受けやすい私です。(^о^;)
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