めいぷるごにんばやしの会

2015年1月20日(火) 箕面・メイプルホール

桂 紅雀   「子ほめ」
桂 米紫   「掛け取り」
桂 まん我  「油屋与兵衛」
~中入り~
桂 吉弥   「メリーさん」(桂 吉弥 作)
桂 ひろば  「へっつい幽霊」

三味線 はやしや律子


初めて通常版の子ほめを聴けました。
油屋~は、ずっと与平さんだと思っていたので、
帰って来てから衝撃でした。
幾代餅の上方版なんですが、移植という感じはせず、
上方の布(きれ)の綺麗な着物が出てきた感じです。



この日は、咳が出ているのに一か八か出かけ、
にこさんに励まされ何とか落語会に参加できました。


開口一番は、紅雀さん。
マクラは、20日ですが、明けましておめでとうございます、と。それから電車の中での三人のおばさま方の会話。以前聴いた時よりも短く面白くなっていて驚きました。通常版の「子ほめ」は初めて聴きました。天ぷらでビール一杯は、明治以降の設定。天ぷらで一杯という江戸時代風の台詞は、ちょこちょこ聴きます。個人的には半々くらいの印象。伊勢屋の番頭「町内の色男」。喜六「向こうが一枚上手や、ふんどし締めてかからなあかん」。ふんどし~は余り聴かない台詞で、リアルに聴こえました。にこさんのブログによると、おじいさんに「後で将棋しよう」と言うのは、まん我さん以外では紅雀さんで初めて聴いた、とのこと。他の誰かでも聴いたことがあるのですが、優々さんだったかな、ちょっと思い出せません。噺の途中、微かな違和感を覚えたのですが、その理由が帰り道のM田さんのご指摘で判明。「褒めに来た」を受動態に言ったらしいのです。それから、赤ちゃんのお腹を押すくすぐりが無くなっていました。個人的に苦手なくすぐりではあるのですが、無くなると「うおっ」と思いますね。例外として唯一笑えたのは、お腹を押してミルクを吐くやり方です。(あおばさんだったかな)。


お次は、米紫さん。マクラは正月早々ショックなことがありました、というお話を。どんなショックなことが…と思いきや、ご近所の人との微笑ましい(と私は思う)エピソード。11時に洗濯物を干して、近所からは「この人、(仕事)何してるんのやろ?」と思われているに違いない、と。私の家もそうです(笑)。米紫さんの掛け取りを聴くのは、多分二回目。噺のテンポはいいなあと思ったのですが、借金まみれの家にしては、奥さんがちょっと上品かなあと思いました。一回目の時には気付かなかった点です(多分)。下町気質あふれるおかみさんの方が好きかも(堪忍袋に出てくる人みたいな)。落語好きな八百屋さん。がまん我(我慢が)、涙でべ~ちょべ~ちょ(米朝)。東京上方の名人の名前の他に、めいぷるのメンバーの名前も織り交ぜてました。でも思い出せるのは上記の二人だけです。芝居好きな醤油屋さんは、上使が出て来て(忠臣蔵の一場面?)、近江八景の言い立て。ゼゼ(銭・瀬々)は無し。ここで、サゲてたかな。言い訳を言う場面、八百屋さんの所も醤油屋さんの所も、お客さんにけっこう受けてたように思います。


お次は、まん我さん。マクラは、ひと昔前の遠距離恋愛のときめき話を。固定電話のドキドキ感を説くまん我さん。熱く語ってくれました。噺に入ると一転、小声から始まったので、耳をダンボに。思わず引き込まれてしまいます。聴く前に「油屋与兵衛」の内容を勝手に想像していて、「幾代餅」の上方版かなあと思ってました。内容のあらましは同じでも、テキストがだいぶ違ってました。別の地域で育った噺なのだと、しみじみ思いました。「テキストがしっとりしている、はんなりというか」という感想メモが残っています。吾妻太夫の使う言葉が標準語っぽくて、ちょっと驚き。江戸の幾代さんの花魁言葉との聴き比べがはっきり出来なかったかなあ。上方の花魁言葉のアクの強さをちょっと聴いてみたかったのです。上方は廓噺が少ないので。とは言え、いきなり「~じゃわいなあ」と言われても、という感じもしますが。江戸の「~ありんす」という言葉でさえ、ぎょっとしますしね。花魁をはじめとする公娼私娼は、地方出身者が多かったように思います。お国言葉(訛り)を隠すために花魁言葉が発達した。舞妓言葉と同じですね。だから吾妻太夫がちょっと標準語っぽくても、それはそれでリアルかもしれません。本当に好きな人の前では花魁言葉は使わなかったような気がしてきました。


中入り後は、吉弥さん。新作を作ることを先輩から勧められて始めたそうです。東京の噺家さんのお名前は失念。さん喬さん?? 上方は文枝さんでした。干支にちなんだ噺を作られているそうで、巳年は「にょろにょろ」、午年は「ホース演芸場」。そして未年の「メリーさん」。先週の金曜日に出来たばかりだそう。子供の頃、ラジオが好きで…というマクラを話してくれました。噺の粗筋は、タクシーに青年が乗る、運転手が主人公で、ラジオが好き。通天閣ラジオを流すことになり、見台の下手(しもて)に小さなイーゼルがあって、そこへ通天閣ラジオのイラストが立てかけられます。ラジオの内容がクローズアップするたびに、吉弥さんが見台の上に置かれたラジカセをスイッチオン。ラジオのバックミュージックがかかります。マイナーなラジオ番組を応援している運転手。その番組には常連の投稿者がいて…。おとぼけな感じの運転手がいい味出ているなあと思いました。タクシーがぐるぐる走る所が絵本ぽくて可愛い。サゲは羊の鳴き声で終わった方が好みです。すっきりしていて。


お次は、ひろばさん。マクラは「吉弥兄さん、たっぷり九時までしてくれました」。チラシには「へっつい盗人」とありますが、「へっつい幽霊」の間違いです、と。そこへチラシ係の米紫さん(私服姿)が舞台下手に現れ、土下座を。デジャヴです。チラシを発注し忘れた時もしてましたね。その時も高座に居たのはひろばさんだったような? 年季があけた頃(?)にざこばさんに付けてもらった噺だそうです。22?才の時で、へっついのこともよく分からなかったとか。この噺を聴くのは2回目で、1回目もめいぷるだったと思います。前回は、前半テンポに乗れなくて、後半から波に乗って来たという感じでした。今回は、隔てなくバランスが取れていたように思います。途中うとうとしてしまいましたが。「~道具屋」と語尾につけるくだりは、言葉も仕草ももう少し強調した方が笑いが取れるのではないかなあと思いました。でも、大きい声で押し通す噺家さんは苦手なので(紅雀さんは別)、難しいところですね。ひろばさんの「皿屋敷」で得た、どんと来るような感動を、へっつい幽霊でも味わってみたいと思っています。



※↓この文章は上記の感想を書く前に書いたものです。

うろ覚えメモ
「油屋予兵衛」は、元々、
上方の噺家?シバさんが作った「油」という話でした。
どの時点で江戸に移植されたのか分かりませんが、
恐らく「油屋予兵衛」になってから、
江戸に入って「紺屋高尾」という噺になり、
(どちらも若旦那でない証拠に職人の腕を見せる場面がある)、
また「搗屋無間」という搗き米屋さん版の噺も江戸で生まれて(想像)、
搗き米屋繋がりで、
噺をだいぶすっきりさせた「幾代餅」が出来たのではないかなあと。

ただ、
幾代餅は元々講談ネタだとどこかで読んだような気がするので、
油→油屋予兵衛→紺屋高尾→搗屋無間→幾代餅
という落語噺の流れだけでは語れない部分もあるかと思います。

江戸で色んなバリエーションが生まれたのは、
それだけ人気の高い演目だったようです。
上方で「油屋」さん以外の噺が生まれなかったのは、
噺が出来た当初は、親方が、弟子に「太夫を買ってこい」
というくだりが、商売気質の強い(理屈っぽいリアリスト)上方では、
非現実的に捉えられたのかもしれません。

今聴くと、きっぷの良い親方やなあ、
ええ噺やなあって思うんですが。


江戸(東京)と違うなあと思ったのは、
煙管を吸う場面(自分が職人だと打ち明ける場面)が、
太夫と寝床を共にする前に入って来た点です。
 江戸(東京)だと、
太夫と寝床を共にしてから、翌朝(?)、
煙管を吸って、自分が職人と打ち明けます。

正体を打ち明け将来の約束をしてから、寝床を共にする上方と、
寝床を共にしてから、正体を打ち明け将来の約束をする江戸。
何かがとても違うと思うのですが。
上方と江戸の気質の違いでしょうか。
どちらがリアリストなのかなあと思います。
江戸の方がえぐいけどリアルですよね。
上方は綺麗だけどちょっとお話っぽいなあと思います。
それこそ落語だと思うのですが。

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“与兵衛”

こんばんは
昨夜は楽しかったね♪おおきに!
その後、お咳や偏頭痛は出ていませんか?
湖涼さんですら紅雀さんの普通の「子ほめ」を聴きはったことがなかったんやから、私が初めてなのはトーゼンでしたね。
珍しいものを聴けてよかったわ(*^^)v

ところで与兵衛さんですが、チラシには確かに予兵衛となっていて、私もうっかり“まんがさんはどこ?”にそのまま打ち込んでいました(^_^;)
でも“与平”でも“予兵衛”でもなく、私は“与兵衛”やと認識しています。
先ほど私のブログの演目名も修正しました。
(実はブログの演目名は毎回“まんがさんはどこ”のコピペですねん)
難しいことはわからへんので、お名前のことだけ(^^ゞ

RE:与兵衛

こんばんは。
こちらこそ、久々にお話できて本当に楽しかったです。
偏頭痛は出ませんでした。(^^)
子ほめは、wikiでは得意ネタと書かれてあるので、
初めてちゃんと聴けて嬉しかったです。

それはそうと、
与兵衛さんだったんですね。
まん我さんの感想ではなく噺そのものの考察を書いてしまったので、後日改めて感想を書かせてもらいます。
コメントありがとうございました。
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