曙の会

2011年3月5日(土)繁昌亭

桂 治門  「子ほめ」
桂 壱之輔 「禁酒関所」
桂 咲之輔 「御公家女房」
桂 福丸  「稽古屋」

妹と妹の学校のお友だちと一緒に、繁昌亭に行きました。
壱之輔さんの崇徳院に納得できず出かけたこの会、
紅雀さんの禁酒番屋と張り合うくらいの内容を期待していたのですが…
まずは治門(じもん)さんの「子ほめ」から。前半は少し固い印象。徐々に柔らかくなっていって、笑いの量も増えました(ほっ)。面白かったのは、聞きなれた米朝一門の「子ほめ」とテキストがけっこう違うこと。米朝一門の子ほめは、主人公がアホすぎて、特に若い演者さんはかなり苦労されているようですが、治門さんの子ほめの主人公は、割りとあっさりしたアホで、そんなにお馬鹿さんではない感じでした。子どもを褒めたら親がお酒を飲ましてくれる、と発見したのは主人公の方で、ご隠居が感心する一幕も。子どもをほめる言い立ても米朝一門と少し違いました。「さて、この子があんさんのお坊さんでございますか。福々しいお子さんで。栴檀は(失念)、(亡くなった祖父に似てとは言わず)貴方に似て長命の相がございます。私もこんなお子さんにあやかりたいあやかりたい」。言うの練習しようかとご隠居さんが主人公に言ってくれます(これも初耳!)。主人公「さて、この子があんさんのお坊さんでございますか、(失念)…福助はん」「福助はんと言うやつがあるかいな」「栴檀の実はぐりぐりで硬い硬い。?は短くて長うおます。(失念)、私もこんなお子さんに、ああ、蚊帳つりたい、蚊帳つりたい」。言うなり「ばっちりや」?と主人公はご隠居の止める声を聞かず飛び出します。伊勢屋の番頭さんに会うまでに見知らぬ人に声をかけて歳を尋ねるのですが、もう一度、別の人に声をかけたつもりが、さっきと同じ人だったりと、ここも面白かったです。竹やんの子を「●●人形みたいや」と。(ミルク飲み人形ではない漢字二文字?)。サゲの前に、「ああ、私もこんなお子さんに蚊帳つりたい、首吊りたい」と。首吊りは苦手ですが、言葉遊びの一環として自然と笑えました。落ちは「どう見てもタダ」。
※主人公は「45歳よりも年下の褒め方は習っていない」と困る場面がどうも引っかかります。ご隠居は「歳を二つ三つ若く言ったらええ」と言ってたので。これは米朝一門の主人公よりも賢く見えるから余計にそう感じるのかもしれません。


お次は壱之輔さん。治門さんのマクラと混同しているかもしれませんが、この曙の会は2回目で、1回目は動楽亭で行われ、「はてなの会」という名前だったそうです。お客さんに会の名前を考えてもらったのだとか。春團治一門ということで、春に縁のある言葉、枕草子の「春は曙」から曙の会になったそうです。「禁酒関所」の内容はですね…、えーと、私、5日の夜は布団の中でくやしくて泣いてしまいました(告白)。真田小僧で輝いていた壱之輔さんとどうすれば再会できるのでしょうか…。アンケートで当たり障りの無い事を書いてしまったのも、凄い自己嫌悪で凹んでます。ネタの選択は間違っていなかったと思うのですが…。酒を飲む音が大きく聞こえてしまったのと(マイクの所為?)、お侍の言葉遣いがどうも、すっとしなくて。どう話せばよいのか少し迷っている感じがしました。大阪の侍だから、多少訛っていたと思いますし、余り意識しなくても良いような気もするのですが、何よりも自分の中の侍はこう喋るんだという真っ直ぐな気持ちが欲しかったです。失敗して泣いて帰ってくる定吉は、凄く可愛かったです。これは、紅雀さんの定吉より可愛い(直球)。それから侍の同僚が片方寝てしまうという場面があって、そこも面白かったです。冒頭に出てくる松本さんは、少し若い感じがしました。中年の酒好きそうなおじさんの方が、町人に賂を渡すから法を破ってでもお酒をもって来てほしいと言いそうな気がします。私は執念深い女なので、もう一度壱之輔さんの輝く高座を見るまでは、何としてでも諦めません。


咲之輔さんは四年目の噺家さん。壱之輔さんの弟弟子にあたります。弟子入りしようと楽屋に押しかけたら「刺されるかと思った」と言われたそう。よほど思い詰めた顔をされてたんですね(笑)。マクラはたっぷり。内容は、「壱之輔をしごく会」とほぼ同じでした。客層が違うと思われたのかな。実は、御公家女房も同じネタだったりします。以前よりも、間の取り方(と思う)が良くなっていると思いました。勢いもよくて、自分の噺の世界を皆に広めたいという意気込みが感じられます。まだもう少し落ち着いた部分も欲しいですが(紅雀さんに語りかけたいこの言葉)、のびしろがあると言い切れる点は、良いのではないのでしょうか。九雀さんの「御公家女房」で、主人公が難しい言葉を話す奥さんに、自分の言葉は一応通じるんだと分かった瞬間、「あなたヒアリング オッケーなんですね」というくすぐりがありますが、咲之輔さんには見られなかったので、これは九雀さんのオリジナルと考えて良いのでしょうか…?この話は、古典落語「延陽伯(えんようはく)」(東京では“たらちね”)を新たに仕立て直した新作落語ですが、お風呂に入る場面がカットされている所為か、少し物足りなく感じてしまいます。夫婦の面白いやり取りをもう少し追加してくれないかなと。新婚さんやし言葉通じないし、もっと凄いことが起こっても良いような気がするのです。


福丸さん、マクラは漁船の話。桂福丸で検索すると、漁船が出てくるのだそうです。笑 それから、お仕事の話に行くかと思いきや、飛行機の飲み物が高いというお話を。お仕事の話が気になります。「稽古屋」の前半は、雀太さんの「色事根問」で聞いたことがありました。蛍踊りと云うめちゃくちゃお下品な踊りがあるのですが、福丸さんがお話しすると、不思議とさらっとして下品な感じがしないんですね。この際だから、家を燃やす所まで話して欲しかった気がします。稽古屋の情景がとても賑やかで良かったです。美人なお師匠さんを見に、窓から野次馬が覗く…というのは、現代ではとても考えられませんが、昔はきっとこんな風だったんだろうなと思わせるものがありました。お師匠さんが兎に角綺麗で、唄も上手で素晴らしかったです。踊りの稽古を女の子につける場面は、三味線を弾く方の唄声が舞台袖から聞こえてきて、聴きごたえ見ごたえがありました。ワンテンポ早く、福丸さんが唄い、また踊りの稽古の所作もされるので、本当にお稽古をつけているように見えました。私は余り日本の昔ながらの唄(小唄?)を知らないのですが、福丸さんの唄はとても上手に聴こえました。ただ、余りにも唄が突出して上手く聴こえたので、落語を聴いたのか唄を聴いたのか、後から思い出すと分からなくなってしまいました。書き割り盗人で見た面白さを、進化させて見せてくれると思っていたのですが、また違う一面を見たので、こういう芸も持っていらっしゃるのだなあと。笑いの要素がもう少し欲しいと思ってしまうのは、紅雀さんばかり追いかけている私の悪い癖なのかもしれません。

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春団治型

この子ほめは、今の春団治師の型を踏襲しているように思います。昔は、春団治師の子ほめをよく聞きました。
失念部分を補充すると、「栴檀は双葉よりかんばし、蛇(じゃ)は寸にしてその気をあらわす」
●●人形は市松(いちま)人形だと思います。
詳しい意味は、興味があれば検索してください。(笑い)

2011年03月06日(日)17時54分32秒

もずさんへ

情報ありがとうございます(^O^)
米朝一門の子ほめは、子どもを褒める言葉をあんなに面白おかしく言わないので、凄く新鮮でした。市松(いちま)人形は、お腹を押さえたら、キュッキュいうのでしょうか…?(※検索したら出てきました↓^^)

いち‐ま【市▽松】 《「いちまつ」の音変化》「市松(いちまつ)人形」の略。
市松でないが腹で泣け《市松人形は腹に笛を仕掛けてあるところから》心で泣いて、他人に泣き顔を見せるな、の意。

春団治さんの「子ほめ」を知っているなんて、流石もずさんですね。
(コメントを移す際に書き込んだ日時も書き加えました。消した方が良いならまた声をかけてくださいね)
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