生喬まるかじりの会

2010年11月7日(日)

森乃 石松 「寄合酒」
笑福亭 生喬「掛取り」
桂 紅雀  「逆さま盗人」
~中入り~
笑福亭 生喬「貝の村」
鼎談・みんなでちょいしゃべり

三味線/豊田公美子


凄くお得な会でした(^^)。
下記は過去の日記から抜粋したものです。
2010/11/8 (Mon.) 19:03:27

上方ワッハ7Fレッスンルーム!
初めて行きました。こじんまりとして私好みです。切なる要望があり、今回からパイプ椅子になったのだとか。それくらい年齢層が高い?まるかじりの会です。


森乃 石松さん「寄合酒」
 石松さんは初めて見る噺家さんです。8年目だそうです。鯛蔵さんと同期に見えません。ご本人曰く大阪のおばちゃんだそうです(笑)。将来もっちゃりーズに呼ばれるのではと思える恰幅の良さ。若手ですが、あまりピリピリした感じがなくて、不思議なオーラがあります。何気ない一言や仕草でふわっと笑いが起こるんですね。「寄合酒」は初めて聴く噺でした。お金の無い男達が、各々持ち寄って酒盛りをしようと企むのですが…。小拍子(長方形の小さな積み木のようなものが二つ)を両手に持って、角に見立て(本当は鰹節なのですが)、鬼を演じ、小さな子を泣かしてしまう場面が印象的でした(^^)。これといった課題も見当たらず(良いのか悪いのか)、このまま煮詰まってください…。


笑福亭 生喬さん「掛け取り」
 マクラから助走をつけて「掛け取り」へ。生喬さんのマクラはまるで近況報告のよう。とても距離が近く感じました。広島岡山間のトンネルで電波が途切れたラジオ出演の思い出とか、もう一度聴きたいです。
 「掛け取り」は、この会の白眉でした(一度使ってみたかったこの熟語)。季節は年の暮れ、今日こそツケを払ってもらおうと、大家さんから米屋さんまで色々な人が主人公の家を訪れます。それをあの手この手で、かわしていくんですね。河内音頭を歌う場面が本当に良くて、拍手が起きました。喧嘩腰の台詞はけっこう苦手なんですが(自分が怒鳴られているようで…)生喬さんだと、これから面白いことがおこるぞ~という雰囲気が何と無しに漂っていて、そんなにビクビクせず噺を聴けました。そして期待を裏切らない逆転劇!奥さんに目で合図を送る主人公が印象的でした。


桂 紅雀さん「逆さま盗人」
 マクラは神戸屋のパンの話を。聞いている人はいると思うのですがと前置きをしつつ、聞いてみたいというリクエストが生喬さんからあったよう。神戸屋の会社の人も来ていたらしいのですが、特によいしょもせず。でも前より上手くまとまっている感じがしました。「その人、何て言うたと思います?」の後の言葉は、もう少し間を置いてから発表したほうが良いのでは…あそこはもっと笑いが取れるはず。
 本題の噺は、どうも私の中の歯車と一個だけ食い違ったまま噺が進んでしまった感じがしました。冒頭、盗人と主人公が暗闇の中で話しをする場面があり、以前はその暗闇が濃く長く感じられたのですが、今回はあっさりと。もう一つ気になったのは、主人公の博打にはまった遠因が、奥さんの浮気であるというくだり。以前は、悪い友達に誘われた事が前面に出て、奥さんの存在は特に強調されなかったように思います。紅雀さんはマクラも噺もあまり悪役を出さない人なので(たぶん)、こういうシビアな設定も出すのだなあと意外な気がしました。賭場に相撲取りがいたという何気ない時事ネタが面白かったです。「てのひらを太陽に」の歌のフレーズが大分後ろの方にずれこんだのですが、あれは一体何だったのか…。


中入り
(生喬さんと客席の人がジャンケンをして、最後まで勝った人が、生喬さん直筆の絵がもらえるという小イベントがありました)


笑福亭 生喬さん「貝の村」
 このタイトルを見て「どんな噺なんだろう」と、まるかじりの会に行くのを楽しみにしておりました。中入りの時に、もずさんから教わったのですが「手水(ちょうず)廻し」の長編版なのだとか。一体どういう風に始まるのかと思っていますと、若旦那の恋わずらいから話が始まりました。「崇徳院」とちょっと似てますね。「崇徳院」は若旦那⇔お嬢さんなので、釣り合いが取れていますが、今回は若旦那⇔女子衆さん。身分差愛だわ、と思いきや、女子衆さん、実家は庄屋。けっこうええとこの娘さん。若旦那の背中をお風呂で洗うという、相思相愛の仲ならたまらんイベントを日ごと行っていたのでした(けしからん)。で、この女子衆さんが実家の事情で里帰りをし、若旦那が寝込むと。そして熊五郎が連れ戻しに走るという話になっています。
 「手水廻し」は、大坂の人が田舎の旅館で言葉が通じないという話ですが、「貝の村」は、女子衆(おもよ)さんのふるさとで、丹波にあり…つまり大坂から挨拶しに来た若旦那が、婚約者の実家で言葉が通じないという話になっています。オチは「手水廻し」と同じではなく、祝言の宴の場まで話が進みます。
 「手水廻し」は短い笑い噺ですが、「貝の村」だと恋愛要素も絡んで長くなってきますので、バランスが難しいところです。生喬さんは、「手水廻し」のくだりを割りとあっさりと話したので、方向的にはそれで良いと思ったのですが、それならば、もう少し恋愛要素のくだりを腰をすえて話して欲しかった気もします。(熊五郎の出番が少し削られていたようなので…)。崇徳院と被る面も出てきますが、むしろそこを逆手にとって笑いを生んでくれたらと。
 家に帰って、ネットで「貝の村」を調べたら、「上方落語メモ」でテキストが出てきました。
http://homepage3.nifty.com/rakugo/kamigata/rakug464.htm
1964年の松鶴さんの音源が元だそうです(古!)
それを読んで感心したのは、生喬さんの工夫でした。おもよさんが居なくなってから、お店に別人の「おもよさん」が来るのですが、松鶴さんだと、その人がもの凄く不美人な人に描かれていたんですね。人の顔を笑うのは、現代では少し無理があるように思います。生喬さんの「別人のおもよ」さんは、もの凄く年の取った人という設定でした。こっちの方が何となく収まりがいいですね。「おもよさん」も殊更美人と云う訳ではなく田舎美人を表現されていたのが印象的でした。


「手水廻し」は、「貝の村」の後半部分から独立した噺という事ですが、元々は別々の話だったような気がします。小話が少しずつくっついて落語が出来たというならば。


鼎談・みんなでちょいしゃべり

 「貝の村」が終わって、石松さんが座布団を三枚運んできました。フリートークの時間です。月末亭でしか見たことが無いので、ドキドキしました。左端から生喬さん・紅雀さん・石松さんと並んで話が始まります。生喬さん、私が前から気になっていたことをズバズバと紅雀さんに質問してくれるので、心の中でガッツポーズを何度もしてしまいました。
・弟子入りした経緯と、内弟子時代に枝雀さんからどんなネタを教わったか
→北海道の大学で落研に入っていたらしい。北海道に来る噺家は有名な人ばかりなので、枝雀さんに弟子入りした。大阪に来て噺家が凄く多くて驚いたとのこと。
・枝雀さんに直接教わったネタは十本ほど。
「青菜」「兵庫船」「子ほめ」「七度狐」「かぜうどん」…(五つしか覚えていなくてすいません)(ICレコーダーが欲しかった)
・紅雀さんが師匠の前で噺を始めると、枝雀さんは紅雀さんの周りをぐるぐる歩いて、終いには、別の部屋にご飯を食べに行ってしまったらしい。しかし噺が終わる頃には戻って「あそことここを直しなさい」と。どうやら“声”や呼吸のリズムはチェックされていたよう。噺の中の人物の所作(動き)については、始めに「目線」等をざっくりと教えるくらいだったのだとか。

続いて石松さんにも似たような質問を。
・手品師になりたかったが、十歳で挫折(指が太いため^^;)。でも芸人に憧れていたそうです。「“笑福亭”になりたいんです」と楽屋に行ったら、鶴志(かくし)さんに断られたらしい。その後、彦八まつり?で酔った鶴志さんに再会、
「お前、“森乃”になってるやないか!」
と、言われたのだとか。
・上方落語界の最年長・笑福亭松之助さん(85)に、ネタを二十本ほど教わった。珍しいネタが多いとか。生喬さん曰く、怖くて皆、噺を習いに行けない人らしい。松之助さんの息子さんも噺家をしているが、石松さんの方が松之助さんに(仕草等が)似てきたようだと。
・はじめ松之助さんに噺を教わりたいと申し出たら断られたので引っ込んだ。ところが後日「一体何を考えているんだ、話しをしに来い」という手紙が届いたらしい。怖くなって手紙を放置していたら、もう一度手紙が来た「地球の人口は60億人、その中で上方の噺家は200人。しかも私は年寄りだ。その年寄り相手にびびっていたら天下が取れない。早く私の家に来なさい」(ちょっとうろ覚えです^^;)。松之助さんに会いに行くと、ご飯を食べながら「なんや、来たんか」。…それから噺を習いに行くようになったんだそうです。

 生喬さんの若いときの話は余りされませんでした。どちらかと云うと、他の一門の修行の仕方などを興味深そうに聴いていました。
 良い会だったなあと思えたのは、やっぱり内容が充実していたからですね。これで1500円は安いです。
 ※三味線は豊田公美子さんでした。(チラシがワッハの掲示板に貼られてました)。

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