長寿の会

2013年3月13日(水)南森町・繁昌亭

桂 弥太郎 「時うどん」
桂 歌之助 「宿替え」
・楽屋の様子を舞台で披露する感じ。生着替え
&着替えを手伝う弥太郎さんとのプチトーク
桂 歌之助 「平家物語(二)」
~中入り~
桂 歌之助 「崇徳院」


独演会に行った気分。どの噺も凄く良かったです。



とりあえず、メモだけ。
弥太郎さんの「時うどん」、一人バージョン。
何だか詩的な世界が広がってきました。
プチトーク?では、歌之助さんに、
将来の夢は?と訊かれ、
「結婚したいです、子どもが欲しいです」と。笑
野望に燃える言葉は似合わない?
81年生まれ、私と一緒! 頑張れ(^O^)。


歌之助さんの「宿替え」、
紅雀さんの「宿替え」の半ばから始まる型。
主人公の性格が違うように感じて、
全く違う噺のよう。
冒頭、キセルくわえて火鉢の傍にあたっている主人公、
お上さんにやいやい言われて、キセルを持ちながら、
ぎょろっと上目遣い。その表情が凄く可愛かったです。
 テキストそのものは古さを感じたけど、
歌之助さんって、
昔ながらのテキストの方が落語が映える噺家さんっぽい。
(崇徳院もそうだった)
お上さんの出番は少ないけど、強烈な印象。
メモ:紅雀さんの「宿替え」と違うところ
・主人公がヘビースモーカー。すぱすぱ吸うたびに笑いが。
・扇子を畳んだ状態のものを釘に見立てて、扇子をどんどん打っていく。
・「宿替え」の半ばから始める噺家さんは他に鶴二さんがいる。


「平家物語(二)」
歌之助さん、平家物語にはまっているようで、
吉川先生の「新平家物語」が面白いと言ってたような。
落語ではなくて、平家物語のあらましを、面白おかしく。
こんな授業、学校であったら良かったのに!
清盛は、まだ駆け出しっぽい?
「崇徳院」と彼の実父・白河上皇、義父?鳥羽上皇の
確執を主に取り上げていました。保元の乱の様子なども!
 ふと思ったんですが、
平安時代の末期に世相が乱れるその
元凶というか象徴的な出来事は、
息子の嫁に手を出して「崇徳院」を生ませた
白川上皇だと思う。モラルの低下。
好き勝手しても、権力を振りかざせたんですね。
 飛鳥・奈良時代なら、
そんなこと天皇はしなかったはず。
権力基盤が弱かったのかも。


中入り後は、
「崇徳院」!
大ネタ扱いですね。
中ネタの「崇徳院」の時代は終わったのかなあ。
大ネタと言っても、聴いていて疲れるような、
そんな長大なものを感じなかったです。
割とあっさりしてる方かも。
・米朝テキストが非常に濃くて、
60代以上の直弟子にお稽古をつけてもらったような印象。
ざこばさん??
・熊五郎が用を足しに行っていたのは「守口」。
・締め切った奥の離れの戸を「二回」開く。
大概は一回。二回の方が奥行きが生まれるが、
歌之助さん以外の人がすると、リアリティが出すぎてうざいと
思うかも。
・「あんた笑うやろ?」と笑う若旦那の表情が面白い。
・弱ってる若旦那はちゃんと男に見える。よかった…。
・苦手なくすぐりが、歌之助さんなら平気だった。
というか、面白かったです。
若旦那が恋煩いになったと知った熊五郎が、
若旦那と別れた後、「金を持ってるやつは…」という台詞、
正直言って苦手でした。何だか熊五郎が冷たい人のように思えて。
歌之助さんが言うと、くすぐりになってました。
くすぐりの台詞だったなんて!
・あと、熊五郎が「生意気な女子だっせ。わしならボーンと、いてまう」
という台詞。これもちょっと苦手だったのです。枝雀さんなんて棒でどつくしね。
歌之助さんのは、調子に乗って冗談で言ってる感じがして良かった。
ボーンといてまう、という台詞の時、右拳を突き出したけど、中指が若干出てたように
思う。熊五郎は空手を習っていたのでしょうか。ここが冗談っぽくて良かったのかも。
・熊五郎がボケて、旦那がきょとんとする顔、というか間が好き。
歌之助さんならでは、かも。
・石川五右衛門の歌のみで、障子の歌は出ない。米朝テキストの濃さが伺える。
・ただ、三百円と聞いて欲に取り付かれる、
お上さんが同情を寄せる台詞はありますが、
ごくあっさりしたもの。米朝さんよりあっさりしてるかも。
 ここって、枝雀さん以降、濃くなってきた場面です。
 歌之助さんが演じるお上さん、「この2日間、何と言って探してたんや?」
と、熊五郎に聞くのが同世代の噺家よりもずっと早い。枝雀さんより早い。
このお上さん、「諦めめなはれ」と言う時には既に、
上の質問をしようと思ってたっぽい。人情噺の雰囲気を出すと、元のテキスト
「この2日間~」が言い出しにくくなる。お上さんは熊五郎に同情を寄せていたのに、
がらっと態度が変わるように見えるため。うろ覚えですが、南天さん生喬さん紅雀さんは、
お上さんに「世間って冷たいもんやな。あんたが大声上げて人探ししてんのに」
と言わせて、熊五郎が「大声上げてへん」と。それに吃驚したお上さんが「この2日間~」
という台詞を言うやり方。人情テキストを掘り下げて、熊五郎のボケが入る。
歌之助さんは、その逆で、人情テキストをあっさりさせて脱線をしないようにしてる。
・緋塩瀬の茶袱紗は、熊五郎、覚えていた。
米朝さんは覚えていて、枝雀さんはうろ覚えにしている。
・「なんで生玉はんへ遣らさんかった?」
このくすぐり、もう時代遅れかなと、正直思っていたところです。
大阪に住んでいる人にしか分からない地元ネタ。
歌之助さん、高津神社の説明を熊五郎に言わせる“ついで”に
(あくまでついでっぽく)、生玉神社が近くにあることを言いました。
何と言う伏線。衝撃でした。これなら大阪に住んでない人でも、
分かります。
・高津神社からの見晴らし、淡路島、四国も見えると。
・(町を)ぐるぐるぐるぐるぐるぐる…探したが見つからない。
お客さんに向かって円を大きく描くのではなく、舞台に向かって
円を描くやり方。大きな「ひき臼」を引いているみたいで面白かった。
枝雀さんは前者かな、ざこばさんはどうなんだろう。
壱之輔さんが前者だから(※うろ覚えです)、ざこばさんもそうなのかな。
・床屋の亭主が剃刀を研ぐ場面、扇子を少し広げて剃刀に見立て、
研ぐ仕草をする。米朝さんは扇子を使っていなかったような。
(DVDを一度しか見ていないので、ちょっと記憶がアヤシイです)
・探し人が見つかった時、キセルを落とさない。
ポンと灰を落としてから、つかみかかる。米朝さんもそう。
キセルを落とすのは枝雀さんからかなあ? 米二さんは落としてたかな。
米左さんは灰だったかなあ。
・サゲは鏡が割れたもの。余り小拍子ガチャガチャいわさない。
さらっとした感じ。
・中堅さんとは思えないくらい、崇徳院のテキストが古かったです。
五十代の米朝さんの直弟子の人たちより古く感じました。
でも、それが凄く歌之助さんに合っていて吃驚。
古いテキストを生かして現代に通じさせるタイプの人です。
歌之助さんに将来お弟子さんが来たら、苦労するだろうなあ。
古典テキストをそのまま今に甦らせる人って、凄く珍しいと思うので。
(但し熊五郎を「気違い扱い」とは言わず、「変人扱い」と言っていた)
あと、平家物語を面白く説明できるということは、
古典テキストを上手く補足できる言葉も持っているということだと思う。
・「親の仇尋常に勝負勝負」は米朝さんのやり方。
「仇討ちの文句やがな」とツッコミが入ります。それが何か、
説明っぽいツッコミの様に感じて、アンケートには「花の文句が出てくる
方が好きです」と書いたのですが、
(米二さんだと違和感が無かったのに、何故だろう)
もう一度聞いたら、その台詞で納得できるかもしれません。
よく考えたら、歌之助さんの崇徳院の良いところは、
米朝さんのテキストを120%生かせているところです。
余り余所の一門や噺家さんの影響を受け無い方が良いかもしれませんね。


マクラメモ
・まん我さんが歌之助さんを呑みに誘ったらしい。
「兄さん、行きまひょいな」
そして電車で寝過ごす歌之助さん(笑)。
・椎間板ヘルニアを大学生の時に患った。
たとえにハンバーガーが出てきて!
噺家さんがハンバーガーをかぶる仕草って珍しくないですか?
・時間を上手く使えない。
余裕を持って支度をしていたら、電車を逃す羽目に。
これ、会社勤めをしている人、凄く気持ちが分かったと思います。
「余裕やん。もっとゆっくりしよ。優雅な朝を迎えられてラッキー」
…(時の経過)…
「あの余裕は一体…(息切れしながら乗車)」


とっても面白い会でした。
リピーター率高そう。8割くらい一階席埋まってました(凄い)。
受付でチラシを渡していた着物姿の女性、お茶子さんもしてましたが、
とても綺麗でびっくり、日本画のモデルになりそう。奥さんかなあ。
いまどきの美人じゃなくて、日本美人なんです。
あご下がちょっとふっくらしてるところが色っぽい。こういうところに
着目するあたり、芸大生のなごりです。


※追記
歌之助さん、この日はお誕生日だったようで、
楽屋を舞台に持ってきたセット(ちゃぶ台)の上に、
バナナが置いてあって、「お誕生日おめでとう」と文字が入ってた。
お客さんからの差し入れか、歌之助さんお礼を言ってました。

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平家物語

評判がイマイチだった去年の大河「平清盛」うちでは大好評だったんです。

白河院と堀河・鳥羽・崇徳の三代の天皇、そして後白河院と清盛の確執。
時代のドロドロとした禍々しい空気感がとてもよく表現されていたと思います。
崇徳院の呪いの場面では、勢い余って、超現実世界へブッ飛んでましたけど。

『汚い!』と言い放った知事さんもいましたけど、文化レベルを疑います。
鎌倉(封建的武家文化の台頭)以前の混沌こそ本来の日本文化だと思うのですが。

ちなみに、平家物語は鎌倉期に成立した文学なので
やはり、武家文化の儒学的美学が貫かれているという点がやや不満です。

ところで、こんなこと書いてもいいのかしら、ここへ。
まあ、これも一マニアのつぶやきということで。
お許しくださいませ。

ピーマさんへ

ピーマさんの家で大好評だった大河ドラマ、
我が家では第一話の途中で挫折しました。
毎年そうなんです(笑)。

韓国の時代劇の方がまだ気楽に見れますね。
これ嘘やろ! ってツッコミが余り出来ないので。
日本よりも気合入っててセットも豪華ですよ。

文化レベルを…おお、そうですか。
相手を罵ると同じ土俵に乗ってしまうので、
お気をつけ下さいませ。^^;
 好みは人それぞれですが、自分の立場を考えたら、
言って良い事と悪いことがありますよね。
知事はドラマに注文を付ける立場じゃないでしょう。

 平家物語は軍記もののなかで、血が流れていない、
珍しい話なんだそうです。平家物語以前は、割と血が流れているそうですよ。
将門記とか(多分)。美学っていうのは平和の産物なんですね。
今唐突に、歌が超上手かった源実朝が暗殺されたことを思い出しました。
平和でも無かったかも~(スイマセン支離滅裂で)。

優曇華の花

おのれに逢おとて艱難辛苦、ここで逢ひしは優曇華の花咲く春の心地して…
優曇華の花は、仏教で、3000年に一度咲くとされる架空の花だそうです。
現在では、実在の花にこの字を当てる場合もあるとか。
また、クサカゲロウの卵塊が産み付けられている様子を花に例える場合にも使用するようです。
親の敵に会わんと、苦労を重ねて、やっとここでおまえに出会えたのは
3000年に一度しか花を付けない優曇華が咲いた春のような清々しい心持ちだ。
いざ尋常に!勝負!勝負!
っていうとこでしょうかねえ。
この言葉、前から気になってたんですけど、深夜の調べものをしてしまいました。
勉強になりました。

優曇華って饂飩とは無関係だったんですね

3000年に1回って凄いですね。
宗教は本当に人間の妄想を極限まで駆使したジャンルだと思います。
それで心おだかやに過ごせるきっかけが見つかるのだから不思議ですね。

クサカゲロウが産卵するときって、花が咲く瞬間に似ているのですか。
まさに自然界の神秘ですね。

優曇華って、当て字っぽい気がします。
般若心経の最後に、明らかに古代インド語みたいな言葉が出てくるのですが、
元はあんな発音の花の名前なのでしょうか。
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湖涼

Author:湖涼
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