太郎寄席~米紫・紅雀二人会~

2012年12月13日(木)道頓堀ZAZA

桂 紅雀 「つる」・・・長いマクラ付き(笑)
桂 米紫 「掛け取り」・・・落語好きと芝居好きの撃退法
桂 紅雀 「不動坊」・・・ついにカルタ先生がお酒を飲んだ
~中入り~
桂 米紫 「まめだ」・・・締めにふさわしい内容で感動


二日続けての落語会(><)ぜいたく
二日連続にんにく料理を食べた気分です



この日は、職場から二百五十円区間の場所にある、難波での落語会です。
いつも、ワッハ上方にしか行っていないため、
太郎寄席は初めてでした。
そして道頓堀は本当に久しぶりで、
大阪南部に住んでいる人間とは思えない発言を、
ピーマさんにかましていました。

(開場直後、席を取ってから)
私「ピーマさん、私、これから心斎橋のユニクロに行こうと思っているのですが、
開演までに間にあうと思いますか?」
ピ「ゆに屋黒兵衛ね。そやけど道頓堀はまだ難波寄りやから、どうかな」
※京都人に尋ねる内容ではありません

私「心斎橋のユニクロにしかないインナーがあるんですよ。
あと三十分で戻って来れますかね」
ピ「それは、うーん…」
私「とりあえず、一か八か行ってみます!!」
~5分後~
私「道頓堀の橋で挫折して戻ってきました。
人がもの凄く多くて…」


・・・
私が、落語の感想の前に、とてもどうでも良い事を書き連ねるのには訳があります。
落語を思い出すための助走です。
しかし、この日の落語会メモは紛失しました。
今から無い脳みそを絞って書きます。

メモが新聞置き場から出てきました!^^;


太郎寄席は、道頓堀の橋の手前の筋を東に入ったところにありました。
エスカレーターで地下1階へ。
思ったよりこじんまりした会場で、薄暗くて、とても私好みでした。
 開演直前、二人のスタッフに抱えられて、
席亭の「食い倒れ人形」の太郎さんが、最後尾列の椅子に座りました。
等身大の大きさの上、目玉が大きく、ぎょろぎょろしていて、
間近で見ると、とても怖かったです。


開口一番は、何と紅雀さん。
出囃子の前に、メクリが出ていたので、もしかしてと思いましたが、
本当に一番に出てきました。
 マクラがとても長かったです。
でも、久しぶりに奥さんと娘さんの話が聞けて、ほっこりしました。
幸先が良いスタートです。
(マクラに奥さんが登場すると、良い落語が聴ける前触れだと
個人的に思っている)。
紅雀さん家(ち)の暖房事情の話でした。
そして、紅雀さんの娘さん、マクラの中ですが、何と三単語以上駆使してました。
私がマクラで聴いたのは二単語が最高です。
(パパ、競馬!)(お父ちゃん、そっくりや)など。
もう、近所のおばあさんになった気分で、心の涙が止まりませんでした。
 「つる」は、フルバージョンではなく、
前座噺の長さに仕立てた内容。「陽気に上がろか、陰気に上がろか」や、
羊羹のくだりがありません。「つるは名鳥や」と言う男の出番も少ないです。
でも、ぎゅっと詰まった良い内容でした。
他の噺家さんには出せない、幇間のような仕草を時々出すので、
正直言ってずるいなあと思います。(素直に褒めない)。
 それから、主人公が二回も言い間違える原因をそこはかとなく作っていて、
吃驚しました。
「つる」の主人公は似たような箇所を二回も言い間違います。
一回目で失敗して、ご隠居のところにもう一度、つるの因縁を聞きに来る。
ご隠居は「“つー”と来て…」とまで言って、
「“ぽい”と止まった」と言う前に、
主人公は、「それや!」と行ってしまいました。(※うろ覚えです)
だから主人公は、二回言い間違いをするのだと。
 私が今まで聴いた「つる」のご隠居さんは、どれも丁寧に
主人公につるの謂れを教えています。
主人公があほだから、忘れてしまったという流れです。
紅雀さんの「つる」はそうではなく、
こういう早合点のやり方があるんだなあと、感心しました。


お次は、米紫さん。
出てくるなり、喉がかすれてすみません、と。
私は、いつもとそんなに違わないなあと思ったのですが、
どうも喉を痛めていたようで、
その原因は、紅雀さんだと言ってました(笑)。
タイ旅行の時もそうで、ひろばさんもまん我さんも、
紅雀さんのボケ発言を突っ込まない。
(ずっと幼稚園児のような発言をしているそうです)
米紫さんは、律儀に突っ込みを入れ続け、喉を痛めてしまいました。
今日だけは、喉を痛めていることだし、突っ込まないぞと、
心に誓い、やってきた太郎寄席。
紅雀さんが、太郎寄席の会場(ZAZA)を思い出せずに、
ずっと、ザ行を連発して、やっぱり突っ込んでしまったと嘆いていました。
 二人会にこれ以上無いくらい相応しいマクラです。
(紅雀さんのマクラで米紫さんの出番は凄く少なかった。
いつも兄さんに甘えてしまう、とだけ。米紫さんの普段の様子はマクラにし辛いのかも)
 米紫さんのネタは「掛け取り」。
年末に、いろんなお商売の人が、ツケを取り立てにくる話です。
シーズンもののネタですね。
 この噺は、たぶん生喬さんでしか聴いた事が無いと思います。
だいぶ前の事なので、やり方も変わってそう。どこかの感想で宝塚のくすぐりが
あったと読んだ気がしたのですが。
基本?は、狂歌が好きな家主さん、喧嘩が好きな○○屋さん、芝居が好きな●●屋さん、
(他にもあったっけな)
米紫さんは、家主さんの出番が、あったような無かったような…。
奥さんの回想の場面で出てきたのは確かですが。
八百屋が落語好きで、醤油屋が芝居好き。
 落語が好きな人の撃退方法?は、噺家の名前をダジャレにして、
借金の言い訳と期限延長を申し出るというもの。
(米團治さんも、これは言っているそうです)
私の好きなダジャレものでしたが、全ての噺家の名前を把握できませんした。
でも、とっても面白かったです。^^
 お芝居の場面も雰囲気が出ていて良かった。一体、何のお芝居のパロディなんでしょう。
気になります。
 もっと撃退方法があると思ったのですが、二つくらいに留まりました。
米紫さんにとって「掛け取り」は、とっておきの中ネタの一つのようです。
 工夫の中で、これはいいなあと思ったのは、
主人公が、もの凄く器用に凝った撃退方法をするので、
とっさにこういうことを思いつくのは尋常ではない、という疑問について、
「春から、言い訳を考えていた」と、主人公に言わせていたことです。


お次は、紅雀さん。
「マクラが長いと言われたから、長く喋ろうかと思いましたが、
取りあえず(?)止めときます」とか、そういうような事を言ってから、
「不動坊」へ。開口一番の紅雀さんも、米紫さんも、マクラがたっぷりありましたから、
この判断は正しいです。こういう所の空気は読めるみたい。
(前日のBチームの司会は一体何だったんだろう)
 久々に出したのか、ネタはよくおさらいして来た印象ですが、
利吉がちょっと濃ゆい(笑)。濃いこと自体が間違っているんじゃなくて、
ずっと濃いと話の流れがにぶります。たぶん抜くところの勘が戻ってきてない?感じ。
それでも、噺のパーツ一つ一つが凄く輝いて見えました。その隙間も、
今だけしか味わえないのかと思うと、流れがベストでないこととか
どうでも良くなってきました。七宝焼きをグラデーション順に並べた感じ。
 「不動坊」の裏主人公・ゆうさんが最高でした。
利吉よりも楽しそうに演じているような。
おしっこの場面は無くて(紅雀さんは初めから省いている?)、
ゆきだるまを作っている場面が入っていました。笑
 今回は、おせんべいじゃなくて、飴。元々、飴の方が好きだったのですが、
いざ、飴が出ると、おせんべいでも良かったのではと思ってしまいます。
 ゆうさんが、「あ・ん・こ・ろ!」と言った後、
にこ!って笑う表情がすごく良かったです。可愛すぎて一瞬幻を見たかと思いました。
 話は前後しますが、カルタ先生がついにお酒を呑みました。
初めて見たときに、衝撃を受けたのですが、それ以後は中々目撃する機会に恵まれず、
アンケートにまで書いたのですが(それもかなり前のことです)、
やっと、この場面に再会することが出来ました。意外と感動が薄かったですね。
あ、出た。みたいな。もっと感動すると思っていたのに、そこだけ何かくやしかったです。
 カルタ先生が宙に吊るされている場面で、見台からはみ出た部分が下に井戸があって、
見台がある部分は安全で、という工夫は健在でした。会場も急な角度で見る席が無かったように
思いますので、成功したように思います。
 凄い濃厚なローストビーフを食べた感じ(食べたこと無いけど)で、
お腹いっぱいになりました。


中入り後は、米紫さん。
中入り中、あともう一席聴かなければならないのかと思うと、
気が重たかったです。何せ、ローストビーフでお腹いっぱいですから。
 湯飲み茶碗を手に高座に登場した米紫さん。
湯飲みを傍に置いて、
「円生師匠みたいですね(笑)」←こんな感じの事を言っていたけど、正確ではないです。
こういうことをした(喉をいたわる為に湯飲みを用意した)のは、
初めてだと言っていたような。
「スタッフの人に湯のみを用意してくださいって、言ったら、
ここには湯飲みがないそうで…」
米紫さんの傍にあるのは、明らかに湯のみです。
「これ、実は、湯のみっぽいコップなんですよ」
と、湯のみを半回転させると、何と“取っ手”が付いてる(笑)。
「元に戻しますね」
また半回転させてコップを湯のみにしてしまいました。
凄いトリックやなあと思い、感心しました。コップが湯のみになるなんて。
 ネタは「まめだ」。
チラシにネタ出しされていたので、覚悟してきました。
この噺、苦手ではないのですが、初めて米紫さんの噺を聴いたのが、
たぶん「まめだ」で(当時は、都んぼさんでした)、
泣ける話のハズなのに、まめだが貝殻いっぱい体につけてる場面で、
笑いそうになってしまいまして(汗)。あの時は、落語に人情噺があるとは
知らなかったものですから、本当に吹き出さなくて良かったなあと思います。
 今回も、笑いそうになったらどうしよう…。
そんな思いがありました。でも、それは杞憂でした。
初めからお終いまで、凄く良い噺だなあと思って聴けました。
一枚の綺麗な風景画を、見ている感じ。
米紫さんって、人物をクローズアップさせて演じる人だと思っていましたが、
こんなしっとりした演じ方もされる方なんだなあと思いました。
本当に、シメに相応しい噺を聴けて感動しました。
こんなにシメで良かったなあと思ったのは、本当に久しぶりです。
米紫さんの噺を聴いている内に、ローストビーフはお腹の中で消えました。
超おいしいお茶漬けを頂いている感じ…。
即席のお茶漬けじゃなくて、米紫さんが茶摘から作った料理のように感じました。
 この噺は、私の中で割りと風景がしっかりと頭に浮かぶネタで、
境内の様子とか、そこに生えているイチョウとか、そういうのが、しっかりと
綺麗に色づけされて奥行きも確かにイメージできました。
 米紫さんが湯飲みに口をつけたのは、二回くらいでしょうか。
それで噺の想像を止められた感じはしなかったです。
 紅雀さんは、こんな良いシメ噺を持っているでしょうか。
切り(トリ)ネタは意外と大ネタを出さずに、
さっぱりとした噺をお客さんに聴かせて帰ってもらう、というような話を
米二さんの本か何かで読んだ気がするのですが、
それが、このことだったんだなあと思いました。
紅雀さんが話す、中ネタのさっぱりした噺……思い出せません。
「牛の丸薬」? 何となく切りネタっぽくないですね^^;
 兎に角、紅雀さんに無いものを、ガンと突きつけられて、
凄い良かったけど、将来どうしたらよいものかと思案してしまいました。
メモ:「まめだ」で吹き出しそうになった場面が明らかになりました。
「貝殻を体いっぱいに付けて…」という台詞と共に、体に貝殻が沢山付いている様子を
仕草で表現されるのですが、その仕草が早く若干コミカルに感じます。(私だけか)

※2012年12月22日(土)夜に、感想を書き終えました。

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掛け取り

「掛け取り」もmy favoriteです。
こうやって考えてみるとmy favoriteっていくつあるのでしょう。

八百屋さんを上使に見立てるのは、仮名手本忠臣蔵四段目のパロディです。
塩治判官に切腹の沙汰を告げに来た、幕府の上使を招き入れる場面です。

後半の「近江八景」の歌は、落語「近江八景」にも出てくるらしいですが
この噺はまだ聴いたことがありません。
言い訳の歌の中で、「ぜぜ(お金)はなし」というところは
近江八景に「膳所」が含まれないことからこう言うそうです。
これは、初めて知りました。
ただ単に「膳所」という地名を織り込んでいるのだと思っていました。

この噺は演者によって様々な撃退法が出てくるところがミソです。
米團治さんは「クラシック」尽くしでやってました。
松尾大社での会だったので、近江八景のところは桂・嵐山近辺の地名でやってましたね。
そういう地元受けするようなものや、自分の趣味をアピールする絶好の噺です。

生喬さんの「宝塚」もいかにも、らしいですね。
米紫さんのオリジナルは、落語尽くしですね。
プロの落語家である上に、落語ファンでもあるということですね。

紅雀さんがこの噺をやったら、どんな撃退法が出てくるんでしょうね?
そういえば、紅雀さんの持ちネタにはハメものが少ない(ない?)のでは。
あんなに浄瑠璃が好きなのに、苦手意識があるのでしょうか?
娘さんがいるので「サンリオ」尽くしとか、「アンパンマン」尽くしとか...

掛取りとつる

米紫さんの掛取りでは、落語家バージョンで「とにかく」と言った後、客席をみながら、「わかってないようやな?」と言いながら、もう一度、「と 仁鶴」と言いなおす所が好きです。
生喬さんの河内音頭での断りの一見の価値がありますね。
ヾ(  ̄▽)ゞオホホホホホ

紅雀さんのつるも一度聞きたいですね。

ピーマさんへ
 こんばんは。「掛け取り」のお芝居の部分について、詳しく教えていただき有難うございます。助かりました。紅雀さんの感想と比べると、やっぱり他の噺家さんはメモが無いと、ぼやっとした感想になってしまいがちですね。^^;
 紅雀さんのハメモノ噺、一覧を見たところ、全く無いわけではないようです。「宿屋仇」はピーマさんもご存知の通りですが、「三枚起請」「隣の桜」があります。(ハメモノって、効果音じゃなくて、「曲」なんですね。初めて知りました)。でも確かに少ないですね。曲に乗るのが上手そうなのに、ちょっと勿体無い。宿屋仇も踊りの手つきとか凄く良かったですよ。
 「掛け取り」で紅雀さんが断りを考えるなら、競走馬の名前とか、麻雀とかでしょうか(笑)。

もずさんへ
 こんばんは。もずさんも米紫さんの「掛け取り」の内容について書いてくれたので、凄く嬉しかったです。そうそう、仁鶴さんのくだり、確かにありました。あそこの間、何ともなしに面白かったです。それから、生喬さんの「掛け取り」! 河内音頭の断りありました。あの時は、拍手が起こって凄かったです。もずさんのお陰で思い出すことが出来ました。有難うございます。
 紅雀さんの「つる」は、見るたびに印象が良くなっているネタです。^^ もずさんにも、是非見てもらいたいです。

 
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