耳袋 その2

改めて読むと、下の記事は、
菊江仏壇の原話というほどの話ではないな…
と思いました。^^;

死んだ奥さんの幽霊と、
家の中で隠れている娼妓を、
勘違いするという共通点はありますが…。

原話が載っているという、
「浪花みやげ」を探しに行こうか
迷い中です。
余り良さそうな本が見つからないのですが。
原書だったらどうしよう(読めない)。



実は、家にある
「江戸小話傑作集」(田辺貞之助 著)
の中に、菊江仏壇の原話を
現代語訳したと思われる小話が
載っているのですが、
若旦那の奥さんや、彼の娼妓は、
出てきてないんですね。

この本、めちゃくちゃ面白いのですが、
何処の小噺本から、その話を取ってきたのか、
それが書かれてないのが残念です。
凄く古い本なので(昭和40年刊)、
個人的に収集された小噺を、
現代語訳にされたのかなと…。
元々フランス文学を翻訳されている方です。

手元にある本と、
同じ内容かどうか自信がありませんが、
同名のタイトル本は、アマゾンから買えます。
図書館で探してみるのも良いかもしれません。
下ネタが多いので引く人は引くかも。^^;
思わず笑ってしまう本 江戸小話傑作集



『耳袋』で見つけた、
面白い話を、懲りずに現代語訳します。
分からない部分は自分の想像で補っているので、
あまり信用しないで下さい。


「閻魔頓死狂言の事」
( ↑ タイトルからしておかしい)


寛永八辰年の春のころ、
閻魔や鬼になって人を欺いた者が、
私が勤めている役所に捕らえられたということを、
ひんぱんに人がたずねてきたので、
「それは、あとかたもない妄言である。
私は全くもって知らない」
と、私は答えたものだった。

ところが同年の冬に、
或る人が来て、
「これは、きっとホラ話だと思うのですが、
相州とやらの村に、老夫婦が住んでいて、
一人娘を寵愛していました。ところが、
その娘が二八のころ、ふとしたことから
わずらいついて亡くなってしまったそうです。

老夫婦はことのほか、うれい嘆いて、
朝に慕い、夕べに恋しく思い、
本当に目も当てられぬ様子だったので、
村の役人、五人組も手をかえ品をかえ、
諌めたのですが、耳を貸さず、
ただ明けても暮れても嘆くだけで、
「世の中に娘を失ったのは貴方達だけでは
ないのですよ」と、
教え諭したのですが、
その甲斐もなかったそうです。

そこで、村の若者たちが寄り集まりました。
その中で名主の次男が、
「私によい考えがある」
と、言って、若者たちと申し合わせ、
その身に、鎮守祭りの赤頭(あかがしら・
赤熊(しゃぐま)の毛で作ったかつら。
能や歌舞伎などに用いる)
を被り、修験僧の装束を着て、
閻魔の体(てい)になり、
友達にも同じように赤頭を被せ、
修験僧の装束を着せ、
(彼らには鬼の体(てい)をさせ)
顔に丹(たん・赤色か)や、
墨を塗ったそうです。

夜八つ時ごろ、
老夫婦の家に行き、
とんとんと戸を叩いて、
内に入ると、
夫婦は大層おどろいて、
「一体どなたです」
と、たずねました。
「そのほうの娘が病死し、
地獄へ送られてきたので、
鏡秤(はかり)をもってその罪を
見たが、いささかの罪も無い。
これにより、釈尊へ申し通じ、
極楽へ遣わせようと思ったのだが、
両親であるお前達が嘆くばかりで、
打ちしおれ、法事もろくろくしない
ので、宙宇(ちゅうう・あの世とこの世の間)に
迷って、いまだ極楽にいたっておらぬ。
あまりにふびんなので、
見るにしのびず、
ここまで来て、はるばると告げに来て
やったのだ。」
と、閻魔様が言いました。

すると老夫婦は、
歓喜の涙を流して、
「娘が極楽へ行くとは、有り難いことです。
どうしてあなた様に背くことを、
わたしたちが言うでしょう。
(それはそうと、)
こうやってはるばる来て下さったので、
お供え物をお渡しします」
と、法事にこしらえた餅を出したそうです。

閻魔様も鬼たちも喜んで分け食べたのですが、
日数が経った餅なので堅くなっていました。
しかし、役を捨てれば、
自分たちがニセモノであることが
ばれてしまいます。
閻魔様が第一番に一口で餅を食べると、
喉に餅を詰めて、
うごめいて倒れてしまいました。

はじめの頃は、鬼達も、
閻魔様を介抱していたのですが、
ついに閻魔様が果ててしまったので、
鬼達は早々に行方をくらませ、
逃げ去ってしまいました。

老夫婦は声を立てて(驚いて?)、
これこれこういう事がありまして…
と、村長たちの方へ言ったので、
村中が集まって、
詳細な様子を聞き、
閻魔様の死骸を改めると、
いろどった墨丹などを
洗い流せば、
名主の次男でした。

連れ立った鬼達はどうなったのかと、
手分けして、
ようやく捕らえると、
「実は、こういう訳で、
そのような趣向をいたしました」
と語ったそうです。

人も死んだことですし、
鬼達は、お縄頂戴されて、
地頭に召し連れられ、
奉行所の吟味を受けたと
私は聞きましたが、
あなたは、どうでしょうか」

と、ある人は私に語った。



途中まで、すごく感動的な話だったのに、
どうしてこうなったのか。
図書館で吹き出した話でした。

それにしても、
現代語訳にすると、可笑しさ半減して
大変残念です。
「名主の次男なり。」
で、ぶーっと来てしまったのですが。

興味ある方は図書館へ。
2000年に出た、比較的新しい本です。
耳袋」(鈴木棠三 編)

現代語訳は付いていませんが、
読みやすかったですよ。

「耳袋」というHPを作っている方がいまして、
現代語訳を途中までされています。
更新を再開して欲しい…!
1000編もあるから、大変だとは思うのですが。



ところで、
この『耳袋』に、喜六という
文武両道の武士が出てきます。
(信じられない…)
とっても歌が上手かったので、
良い位につく話も出来上がったのですが、
翌日、妻子を残して
行方をくらませてしまったそうです。

バカっぽい人の名前が
昔の人にとっては「喜六」だったのかなと、
思っていましたが、
さかのぼると、異才な武士の
名前が出てきて吃驚しました。

多分、実在していたと思われるので、
けっこう侮れません。

上記の耳袋HPで、
喜六の話は読むことが出来ます。
坂和田喜六の和歌のこと」(四-83)
隠遁の気性のこと」(四-84)

落語の喜六のモデルとも
思えませんが…。
何故、同じ名前なのか、
世の中に逆らうところが
共通点なのかな。


個人的には、
幕末の難波戦記の講談本の中に、
家康に羽織をもらって喜ぶ
村の男が「喜六」だったので、
それよりは、古い喜六が見つかって
嬉しいです。

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