菊江仏壇のもう一つの原話?

落語の感想をためまくっているのですが、
別ジャンルのことを書きます。(ごめんなさい)

菊江仏壇の原話っぽい話が、
「耳袋」という江戸時代の本の中に、
あることを発見しました。



「耳袋」は、江戸時代後期、
天明から文化にかけて、30年くらいかけて
江戸の武士が書いた、面白世間話集です。
一つ一つの話が短くて、
とても読みやすかった(^^)。

まだ全部読んでいないのですが、
落語の匂いがそこはかとなくする本です。
オチはあまり付いていないのですが、
落語の元になるような話が
載っていそうな感じなんですね。


天明から文化っていうと、
初代桂文治の活躍時期よりも、若干古い。
(桂文治の没年は文化12年なので、
ほぼ同時期ともいえますが、生まれが安永なので、
天明の方が一つ古い元号です)

「寄席小屋」を作った桂文治のお陰で、
道端でしゃべっていた時よりも、
落語が長く話せるようになった・・・
(話に仕込みして→バレの展開、という具合)
という講義を受けたばかりなのですが、

それを考えれば、
「耳袋」は、落語が長くなる前の
時代の本なんですよね。
(※ネタによっては、
文治の時代に既に長い噺になっていた
ものがあります。牛ほめとか)


前置きは兎も角として、
『耳袋』に書かれてあった、
菊江仏壇の原話を思わせる話を
我流の怪しげな現代語訳にして書きます。


「亡妻の遺念をおそれし狂談の事」

八町堀の身分の低い町人の妻が、
乳飲み子を残して亡くなった。
彼女は生きている間、夫に対し、
「私が死んでも、この子は里子に遣らないで下さい」
と、くれぐれも頼んでいたが、
亡くなったのちは、
男手一つなので、養いがたく、大変困ったことになった。
その男の弟は、近所に暇な仕事をしている男で、
その弟や家主、隣近所の者に相談すると、
「里子に出しても、迎える人次第で、
よく育つものだ。兎に角、里子に遣りなさい」
と言うので、里子に遣った。
男は、
「こんなことをしてしまったが、
亡き妻と、くれぐれもと約束を取り交わしたので、
黙って見過ごすのも、けしからぬことだなあ」
と心に思ったが、
日が経つにつれて、この世から立ち去ったものとは、
日々縁遠くなって、いつしか妻の遺言も、
なおざりに思い捨ておくようになった。

男は、稼いでいる間、
売女屋に出かけ、夜泊まりする
ようになった。兄は、仕事が暇な弟に、
家の留守を任していた。
「こんなに度々留守を頼まれて、
僕は一人淋しく寝ているけども、兄さんは
遊びに出かけている。この淋しさをどうやって、
しのごうか」
と、弟は、一人の夜発(やほち・娼婦)を
家に入れて、心を養った。

(ところが、)
夜四ツ(真夜中前)になると、
兄が帰ってきた。
「表の戸を開けてくれ」
と、言う声に弟は驚きうろたえ、
夜発を家の二階へ上げてしまった。
弟は、表の戸を開けて、
「今夜は早く帰ってきたんですね」
と、言うと、
「里に預けた子に気遣って、
早く帰ったのだ。留守を頼んで退屈だったろう。
さあ、お前も早く帰っていいぞ」
兄にそう言われて弟は、
夜発を二階から下ろし逃がすことも難しく、
また彼女の勤め代も不払いのまま、
宿に帰っていった。

家に帰ってきた兄は、
「亡き妻の頼みも用いず、
子を里に遣ったのも、私の本意ではない。
よんどころのない事とは言っても、
亡き妻の思うことが哀れなことだ」
と、仏壇に灯明を上げ、
念仏を二三回となえると、
二階で物音がする。
「何だ? 」 と思うと、
二階より、怪しい女の声がする。
それに驚いた(朝帰りの)男は、
「さては亡き妻が執心で来たか」
と思うと、わっと言って逃げ出して、
近所の者へ知らせ、皆で打ち寄って相談すると
家主が言うのには、
「それは何とも迷惑な話。
怪物長屋などと人から言われては
借り手もいなくなってしまう。
地主へ言って、取り計らってもらおう」
そう言って地主に(人をやって)知らせたところ、
地主も家主同様のことを言った。

そのうち、了見をつけた者が
あらわれて、
「その亡くなった奥様が心残りなのは、
とどのつまり、お子さんが気がかりなのでしょう。
里よりその子を取り戻し、乳母を置くことも
できない間は、里に置いていても、里に送金を、
地主さまより月一歩ずつお出しになって、
丁寧に養育させるべきです」
と、言うので、
地主そのほかの者も承知して、
彼の言った通り相談して決めた。

さて、二階を皆打ち寄って
改めようとしたところ、
何も見えず、
よくよく捜してみると、
部屋の片隅で、真っ白に白粉(おしろい)を
塗った異様な女が
ふんぞりかえって寝ていたので、
みな驚いた。
 一方、あの弟も「どうなったのだろう」
と、兄の家に立ち寄り、
人が大勢いて、それを見ると、
昨夜自分が呼び入れた夜発だったので、
心安くしている者に、
かくしかじかと訳を話すと、
皆、安堵し、大笑いした。

里に遣る多めの送金の話も
無くなったということだ。



菊江仏壇の原話は、
原話は文化 5年に刊行された
『浪花みやげ』の中の一遍である『幽霊』
と、ネットで書かれてあります。
実は、この話、未確認なのですが、
現行の落語にかなり近いとか。
上記の話は、
ほぼ同時代のものと言えますが、
菊江仏壇の傍流になるかなあと。

「落語あらすじ事典 千字寄席」
こちらでは、
菊江仏壇の原話の原話として、
享保16(1731)年ごろ刊の「男色山路露」
の中の「謡による恋」

紹介されています。
仏壇に恋人を閉じ込める設定は同じですが、
親父さんが幽霊と思うかどうか…^^;
という内容っぽい?
これも全文未確認です。
 

長~いメモで失礼しました。
m(__)m

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