8月3日動楽亭昼席

2012年8月3日(金)動物園前

桂 鯛蔵  「つる」
桂 まん我 「饅頭怖い(半ばまで)」
桂 紅雀  「いらち俥(半ばまで)」
桂 米左  「質屋芝居」
~中入り~
桂 米團治 「淀の鯉」
桂 雀松  「軒付け」


いらち俥、面白かったです。^^
あんなに激しく動く紅雀さんは、
久しぶりに見ました。




この日は、珍しく椅子席に座りました。
まん我さんファンのにこさんと
ご一緒だったので、つい。
いつも座椅子に座って見上げるように
落語を聴いていたのですが、
視線が高くなった分、新鮮でした。


トップバッターは、鯛蔵さん。
“つる”の由来を聞かれた甚兵衛さんが、
「は?」と聞き返すところが面白かったです。
こんなに短い台詞なのに、可笑しいなんて。
 「つる~~っと飛んできて、◎△□…ウガガガ」
この、ウガガガっていうところ、やっぱり
音が無かったら間が持たないのでしょうか?
面白いといえば面白いのですが、
個人的には、鯛蔵さんには、目新しいテキストではなく、
皆が使っているようなごく普通の台詞でも、
十分可笑しさを出す技量を持っているので、
ちょと勿体無いなあと思ってしまいました。
 話は前後しますが、つるの描かれた屏風の
話しに行く前に「道具屋」に出てくる、
鯉の滝登りの絵のくすぐりが入りました。
初めて聴きました。こういう流れもあるんですね。


お次は、まん我さん。
マクラは、8月から禁止された生レバーが
大好きだという話から。まん我さん曰く、
「世間的には、あってもなくても良いもの。
だけど一部の熱狂的なファンが支えている。
落語と一緒ですね」
短いマクラでしたが、よくまとまっていて、
とても面白いと思いました。
 まん我さんの「まんじゅう怖い」は
初めて聴きました。
好きなものの尋ね合いでは、
鯛のお造り+卵+焼のり…この場面、
大好きです。とても美味しそう(^p^)
「らっきょうですな」の一言が
凄く可笑しかったです。
 怖いものの尋ね合いでは、
狐に騙された男の人は出てこなかったです。
フルバージョンだったら出てくるのかな?
でも、今回のネタは“半ば”までなので、
それで出てこなかったということは、
元から無いのかも?
 アリのくすぐりはシンプルで、ぎゅっと
詰まった感じでした。
 おやっさんが出てきてから、
雰囲気は一転。怪談話に、ぞっとしました。
紅雀さんとテキストは似ていますが、
話し方がだいぶ違います。
「ヒョイっ」という擬音で、声が
大きくなりました。これは、かなりビックリ
どっきりしました。あと、幽霊が左右を
見る場面は、そんなに目をきょろきょろと
させませんでしたね。
紅雀さんは、その逆で、
語る声の抑揚は、まん我さんと比べると、
そんなに差は大きくないように思います。
目もぎょろぎょろさせますし。
 紅雀さんはビジュアル面で視覚的に
お客さんに訴えることが多いから、声の抑揚を
かえって落としているのかも。
まん我さんは、声に抑揚があって、
波のリズムがはっきりしています。
聴覚的に訴えることが多いから、
紅雀さんと比べると、身振りが少ないのかな。
これは、あくまでも
怪談話の場面に限っての話です。
 以前から、対照的な二人だなあと
思っていましたが、ここまではっきりと
言葉にできたのは初めてです。
 身振りも、声の抑揚も激しい噺家さんって
いるのかな。


お次は、紅雀さん。
まん我さんの次に出てくるなんて、
ほんと贅沢なラインナップです。
 マクラはオリンピックの話。
寝不足気味だと言っていました。
体操選手の技を繰り出す瞬間を、
多数のカメラで多方面から同時に映すという、
今のテレビカメラの技術に、凄いと
驚いていました。
 ネタは「いらち俥」。
ずっと前、get's 待っツ動楽亭で見て、
納得できなかった噺です。^^;
今回は、ばっちり。
思ったよりずっと、体を使う噺なんですね。
でこぼこ道を走る俥の、車中にいる客の
様子が面白かったです。ずっと前、
「タクシー」っていう映画ありましたね。
 急行列車とすれ違って、ほっとする客に、
「きんちょうとかんわ」と言う寅さん(笑)。
この噺って、病弱の俥屋さん/足の速い俥屋さん、
の対比のネタだと思ってましたが、
紅雀さんは、それが薄くって、
退院直後から働き出した喜六のような俥屋さんと、
負けず嫌いが高じてプッツンきた俥屋さん、
という感じでした。後者は一緒かも^^;
退院直後から働き出した弱々しい喜六のような
人、かじ棒を上げるのに、気孔のポーズを
取ったりして、それが凄い面白かったです。
メモ:駅のことを「ステンショ」と言っていた。
大正時代くらいの設定?


中入り前のトリは、米左さん。
以前、動楽亭で見た「宿屋仇」が
今まで見た中で一番面白くて、紅雀さんが
このネタをすると、
ついつい聞き比べてしまうくらいです。
 マクラは、米朝アンドロイドの話。
データをインプットするのに、米團治さんが
協力したとのこと。他にも弟子がいるのにと、
苦言を(笑)。前のマクラでも、米團治さんの
ネタでした。ちくちくっと言うところが、何とも。
米團治さんのことが嫌いなのかなと、当時は真に受けて
思ったものですが、そうでもないのかなと、
今回は思いました。
 この後、米左さんは「質屋芝居」をするのですが、
合いの手の声が米團治さんで、息がぴったり!
に思えたんですね。自分の背中を任せられるくらいの
人と思っていることは確かです。若ぼんに対する、
皮肉を言うことで、お客さんを笑わせているのかなと、
何となく、そんなことを考えてしまいました。
 「質屋芝居」は、初めて見ました。
かみしもを出してくれ、と言うお客さんの台詞から
始まります。定吉が蔵に取りに行って、
忠臣蔵(お芝居)の世界に入ってしまう、という。
「七段目」と違って、パロディー色が薄く、
本格的な歌舞伎の模写に思えました。これが凄くて、
衣装も化粧もしていないのに、見ごたえがあり、
迫力満点でした。台詞は、何を言っているのか、
よく分からなかったのですが、
吉良の殿さん(本名でしか記憶できてない)が、
赤穂のお殿様をいじめて、殿様が切れる。
騒動が起きて、家臣が駆けつける。
家臣も善玉と悪玉がいる感じ?
門前で、屋敷の者に声をかける米左さん(良い家臣)。
門の内側から、事情を話す人の声…楽屋から米團治さん。
(個人的には物凄いサプライズに感じました)。
 歌舞伎(ちゃうけど)の終盤は、言葉尽くし。
春團治、松鶴、文枝、米朝の名前が聞き取れました。
三味線の人の声もずいぶん、聞こえてきました。
それが、演者に合わせてパロディの言葉を口に
してたと思います。面白かったですね。
 とても賑やかな噺で、独演会くらいの力の入れよう
に感じました。これが2000円払って見れるなんて。
凄くお得な気持ちになりました。^-^
※メモ
今気づいたことですが、米左さんって、
米團治さんよりも、かなり後輩ですよね…。
なんて勇気のある人なんだ。


中入り後は、米團治さん。
マクラは、米左さんに引き続いて、
米朝アンドロイドの話。似すぎているのか、
ちょっと気持ち悪い(?)と言ってたような。
 「淀の鯉」という噺を聞いたことがある人!
と、お客さんに挙手を求め、誰もいなかった事から、
そのネタを出すことに。(拍手が鳴りました)。
 この噺は、米朝さんが21歳くらいの時に、
師匠・四代目米團治のために書いた新作落語。
で、米團治師は、その噺をせずに、NHKで、
「崇徳院」(!)を出したそうです。
 噺の前半は、かなり面白かったです。
このネタの台本、米朝展で見たのですが、
正岡先生が加筆したと書いてありました。
後半と色合いがかなり違ってくるのは、
加筆の影響なのでしょうか?
 料理の腕は良いが、船が苦手なキスケを
酔わせて、幇間(太鼓持ち)が、騙しながら
連れて行くのですが…。
 米團治さんの太鼓持ち、凄く面白かったです。
若旦那キャラがはまり役と思っていただけに、
意外な発見でした。
 噺の後半は、川面の下。鯉の住む世界です。
鯉が普通に会話しています。
六代目文枝さん作の「鯛」を思い出しました。
「恋焦がれている鯉子」のくすぐりに、
付いてゆけず(^^;)。途中から、鯉を演じる
米團治さんも半分笑いながら演じてました。
最後はハッピーエンド。人間と動物(魚)の逆転劇が
見ものでした。


昼席のトリは、雀松さん。
 マクラはオリンピックの話題に軽く触れて、
某球団が負けても、紙面の扱いが小さいから
良いですねと(笑)。野球ファンなんでしょうか。
ちょっと意外でした。腰(帯)に付けた瓢箪
ストラップ(?)が可愛い。隣に座ったにこさんが、
教えてくれたのに、ど忘れしました。(><)
 この日は、雀松さんを含め、緑色の着物を着ている
人が多かったです。暑い日は緑なのでしょうか。
 ネタは「軒つけ」。始め(マクラの一部?)は、
浄瑠璃のお稽古風景。ユニークなお稽古の説明で、
面白かったです。雀松さんは、実際にお稽古に
行っているのだとか。浄瑠璃の稽古風景は、
米二さんの時はあったかな? うーん、
初めて見た気がするのですが。
 奥さんが「警察よぶぞ」と言う台詞も、
米二さんと違いを感じました。米二さんは、
はっきりとくすぐりだと思ったのですが、
雀松さんは台詞の一部のように思いました。
 噺のテンポは、米二さんよりも、
ややゆっくりめ。
(ベーンベンベン→うなぎの茶漬け)
という、二連続ボケは、
「うなぎの茶漬け」を、もう少し
畳み掛けるように言って欲しいなあと、
米二さんのときも思ったのですが、
これは知らない間に、私が
紅雀さんの「軒付け」を、その場面だけ、
脳内再現(怖いよ!)している所為だと思いました。
 雀松さんの落語って、テキストとテキストの
合間に、自分の思い(くすぐりや、噺に対する
つっこみ)を挟んでくるところが、
紅雀さんに似ているなあと思いました。
挟み方が似ているのかな?
 噺はもの凄く、巻き戻るのですが、
このネタの前半に、男の一人が仲間と別れる際、
「(今度)またコレ(杯持つ仕草)しましょ」
と、お猪口を持った仕草がもの凄く綺麗に
決まっていて、ほんの一瞬だけの場面が、
脳に焼きつきました。仕事の帰りに、
居酒屋などで、日本酒を飲む機会が減った
現代社会で、あそこまでお猪口を持つ仕草を
リアルに再現できるのは、雀松さんか、
サザエさんに出てくる、マスオさんの同僚、
アナゴさんくらいだと思いました。


※2012年9月6日に感想を書き終えました。

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米左さん

コメントが入ったとのことで、久々に見ると確かに良いメンバーですな。
米左さんは、最初に聴いた噺が「豊竹屋」だったのでその印象が強烈過ぎて、他のネタを聴いても、ちょっと物足りない気分になります。
湖涼さんが米左さんが一番という「宿屋仇」は、私は今のところ、たま版がお気に入りです。
機会があったら、米左版「豊竹屋」を一度聴いてみてください。喧しいですけど、楽しいですよ。

ピーマさんへ

 豊竹屋という噺そのものを、まだ聴いたことがありません。繁昌亭の昼席で、米左さんは出してそうですね(何となくGUNLUKさんの感想で読んだことがありそうな)。新たな出会い、楽しみにしておきます(^^)
プロフィール

湖涼

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