田辺寄席 in 寺西家

2012年2月25日(土)大阪市昭和町

桂 文太 「開口0番」 
桂 優々 「商売根問」
桂 文太 「居残り佐平次」
桂 千朝 「鴻池の犬」
桂 文太 「文六豆腐」


佐平次の魅力にハマってしまった会でした。



最近、メモ帳に落語の感想を書くことがあります。
すぐに更新ができなくても、これがあるならいつか…
と思えるからいいですね(^^)

この日は、もずさんのタレ込み(笑)があって、
幾代餅を出すのではないか…という誘惑に駆られて
出かけました。幾代餅でなくても、居残り~は、
もずさんが聞きたいと言っていたネタだし、
どっちに転んでも大丈夫! な心積もりはして行きました。


この日は小雨が降っていて、
会に着く前にATMに寄って、
通帳の記帳をしようと思いました。
駅前のATMの機械に入れると、
変な音が鳴って、
通帳の一ページだけ端が折れて出てきました。
そんなに酷い折り目じゃなかったので、
手で伸ばして再び機械に入れたところ、
ピーピーと音が鳴って、
通帳が出てこなくなりました(*_*)
初めてATM横の受話器を手にしましたよ。
すぐに係の女性が出てくれて、
通帳を出す信号を送りますから受け取って下さい、
と言われました。
信号ってセンターから各ATMに出せるんですね。
通帳は無事に出てきましたが、折り目があるため、
ATMで記帳できない通帳と言われてしまいました。
(とほほ)

そんなこんなのタイムロスもあって、
田辺寄席in寺西家は、遅刻ギリギリに到着。
満席に近いくらいのお客さん。
やっと見つけた席は、
最前列! ひえ~
文太さんが近い!!!


開口0番は、
世界の笑い話について。
インド、中国は落語っぽいのだそうです。
ギリシャは哲学的で、アメリカはホラ話が多い。
 どこの国か忘れたのですが、
男が、巡礼所に寝泊りすることになって、
大勢の人たちが同じ様に寝てるんです。
「こんなに沢山人がいたら、
自分がどこにいるのか分からなくなってしまう」
そう考えた男は、自分の目印になるよう、
自身の片足首に縄を括りつけ、その縄の先に、
大きなカボチャをつけて寝ます。
(牢人みたい!)
それを見ていた隣に寝ようとしていた旅人は、
男が寝ている間に、こっそりと、
足首の縄を外して、逆隣の旅人に括り付けます。
朝、目が覚めた男は、
「俺が隣で寝ている?!!」


めっちゃ可愛い話でした。
自分が誰だか分からなくなってしまう落語って、
ありましたよね。ネタ名は忘れましたが…。
文太さん、面白い世界の笑い話を知ってる方は、
どうぞ教えて下さい、と。


優々さんは、久しぶりでした。(たぶん)
「商売根問」は、主人公が二階で居候の身である
くだりを省いたため、何故、アホな儲け話ばかりを
考えているのか、お客さんは始め、
付いて行き難かったかもしれません。
それでもめげず、ペースを乱さず話し貫いた
ように思います。鶯のくだりから、徐々に
笑い声が広がってきたような。
よく笑う女性がいて、ほっとしました。
 とても綺麗な上方弁を使うなあと、感心。
翌日、米二一門会に出かけたのですが、
二乗さんも同様に綺麗な上方弁で、
丁寧な言葉の運び方をされてました。
優々さんは米二師匠から「四人ぐせ」のお稽古を
つけてもらったそうですが、「商売根問」は
誰に習ったのでしょう。時折、鷺取りまでされている
ようですが…。言葉遣いに感心してしまったので、
そこがちょっと気になりました。
※久々に優々さんのツイッターをのぞいたら、
やっぱり明るくて楽しい内容でした。
今どきの男の子っぽい!


お次は、文太さん。
優々さんの後、いきなりベテランの噺家さんが登場。
中堅の噺家さんでワンクッション置かずに、
いきなり文太さんです。オーラが違いすぎる…!
 マクラはメモしていないので、うろ覚えです。
娘さんの国語テストの珍回答の話は、
ここでされたのか、文六豆腐でされたのか…。
「居残り佐平次」は、主人公がとても魅力的でした。
お調子者、厚顔無恥で、素人の太鼓持ちくさい。
ところが、どこか謎めいていて、
そこに心引かれました。
佐平次は、大阪から兵庫を超えて明石(?)の
色街のとあるお店で、お金がないのを承知で、
遊び倒して、そのお店に居座ってしまいます。
噺のメインは、厄介になっているお店側の
人間とのやりとりです。
噺の序盤、佐平次は、若者三人を誘い、
明石(?うろ覚えです)の色街へ向かいます。
お店側に大口の客だと思い込ませ、
いい待遇を受けたいために誘ったと思うのですが、
三人の若者とは今日、知り合ったばかりで、
面識が無かったと言うんです。
遊びに行くなら知り合いと一緒に行くはず。
意気投合したからといって明石(?)まで
行くでしょうか。
後先考えぬ落語の主人公らしいと
言えばそれまでなんですが、この男、
遊びに行く前に、暫く留守にするからと母親に、
質に入れる煙草入れ(?)を渡して出かけます。
しばらくそれで食いつないでくれ、と。
 行き当たりばったりの性格のようで、
そうでもない。店に居座るけれども、
ちゃんと空気を読んで客の相手もします。
(そのやり取りがまた面白い)。
おバカのようで、確信犯のような…
そのボーダーラインにいる感じなんです。
どっちに転びすぎてもダメな気がします。
思うに、この主人公・佐平次は、
大店の手代で、番頭の座を争って、
負けちゃったんじゃないかなと思うんです。
(すごい妄想)
お店には居られなくなって、
それで、どこか遠くへ行きたくなって、
人生をリセットしたかったのかなと。
最後、主人公は色々なものをゲットして、
居座ったお店を後にするのですが、
大阪に帰ったら、意外と堅気のお店を出して、
お母さんを喜ばせるんじゃないかなあと、
そこまで想像してしまいました。
兎に角、図太い佐平次が凄く羨ましかったです。
たくさん笑って同時に癒されました。
噺一つでここまであれこれ思わせる、
一点から色んな方面へ矢印が向かうというか、
そういう噺をされた文太さんに、
ただただ感服しました。
※「どっかーん」は文太さんのオリジナル?


お次は千朝さん。
凄い拍手の量だったように思います。
開口0番で文太さんが、
「お足元の悪い中、沢山のお客さんに
お集まりいただき誠にありがたいことです。
…ひょっとして、千朝さんお目当てですか?」
最前列の男の人が「そうです」と。
文太さん、携帯を鳴らさないよう呼びかける際に、
「千朝の時は鳴らしてもいいですよ」と(笑)
この会は一度も携帯が鳴りませんでした。
(いいお客さん!)
千朝さんのマクラは、ペットブームについて。
犬のキャラクターのお面をかぶらせて着物を着せる人が
いるとか、溺愛のさまを面白おかしく。
千朝さんの落語は、きっちりとした古典テキストを
したじきにして、途中どんな言葉が飛び出すのか、
それが楽しみでもあります。
今回、ツボだったのは、
家を追い出された「ぶち」の不良っぷり。
“ワンワン連合”に入って、
腐った骨で“骨吸い”遊びを覚えたと…。
これって一昔前の暴走族がシンナーを吸っていた
ことを犬の世界に置き換えているんですよね。
「鴻池の犬」は、犬の世界を独自に表現できるネタで、
そこが見所の一つです。
骨吸い遊びを覚えた「ぶち」は病気になり、
家に入れてくれなくなってしまいます。
それで、今宮へ行ったと。
 病気になった犬を捨てるのは非情だと、
生喬さんは、この辺りは詳細に、
捨てられるまでのくだりを描いています。
確か犬を拾った常吉が、犬を看病して、
それでも犬は足を洗えなくて、結局捨てられた…
そういう内容でした。
「犬を捨てる」という行為は、
中堅より若い噺家さんには抵抗のあるくだり
なのかもしれません。
ここは、あっさり語ってぼかすか、
詳細に語って泣きどころにするか、
二択あると思います。
千朝さんは前者でした。
犬を捨てる行為は、現代人の感覚からすれば
とても考えられないことですが、
落語の育った時代、少なくとも、
私の父(60前)が幼い頃体験したように、
その時代までは日常にあったことだったと思います。
常吉の主人が、
「子犬一匹は鰹節一本がそれ相応」
と言っているように、そういう時代でした。
私は、落語を聴いて余り泣きたくない性質なので、
千朝さんのようにあっさり語ってくれる方が、
好みです。こういう時代だったんだなあと、
その辺は割り切って聴けているので。
※こごろうさんの「ぶち」は、居場所が無いと思い、
自ら家出をする演出だったように思います。
(生喬さんとの対談の中でそう言っていたような…)
 千朝さんの「鴻池の犬」の後半、黒犬が、
「中国のことわざで…」と言っていたのですが、
そこがけっこう受けていました。私は聞き逃がして
しまったので、何と言っていたのか気になります。
「情けは●のためならず」は面白かったです。
ごちそうが出るくだりは、珍しく(?)ビフテキが
出てきました。明治前期くらいの噺だったんだなあ。
あとは、うまき、と鯛の浜焼き、でした。
それから、「シーコイコイコイ…」とは言わずに、
ずっと「コイコイコイ」と言っていたような気がします。
“シー”って言っちゃうとお客さんにバレてしまうので、
言わないか、聞こえないくらいの声で言った方が
良いんだなあと、感心しました。
噺が終わった後、千朝さんお目当ての男性の方が、
「上手いなあ~」って小声で言ってました。^^
私は落語で上手下手がよく分からないので、
ああ、そうなんだなあって思いました。
(私が「上手だな」って思った時は、
ちゃんと噺にのめり込んでない事が多いので)


最後は、文太さんの「文六豆腐」。
東京の「文七元結(ぶんしち もっとい)」を、
上方に文太さんが移植した噺です(たぶん)。
噺の前半はあらすじを述べて、
台詞が始まったのは、橋(欄干)の場面から。
上方の文六は如何にも頼りなげで、
ほっておけない感じ。主人公も、義理の息子に
なると聞いた時は、いやそうな顔をしていた気がする。
 東京で、こんな場面あったかなあと思ったのは、
文六と旦那(和泉屋という雑穀の卸問屋の主)が、
主人公の家に向かう途中、酒屋さんに立ち寄る場面。
東京では、夫婦喧嘩の最中、文七と旦那が現れて、
お祝いを手渡すという流れだったような気がします。
酒屋に立ち寄ったのは、お祝い品を手に入れるため。
酒屋のおじさんに、主人公の家もたずねます。
「昨日の晩からずっと喧嘩してます」
前半を端折った分、物語の隙間を穴埋めしてくれる
のは嬉しいです。
 屏風に隠れた奥さんに毒づく主人公。
ここは、ひょっとして、そめすけさんの方が、
上手いのではと勝手に妄想。
下町のおっさんが奥さんに罵詈雑言を浴びせる、
文太さんはまだ遠慮している感じがしました。
 噺を巻き戻して、主人公が50両を文六に
あげてしまう場面。ここは東京の噺家さんでも
色々と苦慮(工夫)されているところだと思います。
娘が身を売ったお金を、初対面の他人にあげてしまう
のですから、お客さんが納得する「主人公の心理」を
描かないといけません。文太さんは、
50両が無いので、死ぬ、と言う文六の思いを
くんで、そこから話を先に進めてました。
お金を借りれる頼りになる者はいないのか、と、
色々と尋ねます。いない。だから死ぬ、と。
ここはちょっと単調に感じました。
噺のあらすじを知っているので、結局、50両は
何だかんだ言って渡すのだろうと…。
もう少し、主人公の心の葛藤を描いて欲しかったです。
主人公に50両を投げつけられた文六が、
暗くてよく見えないので、「瓦をぶつけやがって」と、
言う所は良かったです。「あ! 50両…」って、
手を合わして泣き崩れていたような。
 サゲ前は「幾代餅」と似ています。主の商売に
関連するお店を出すという(タイトルにありますね)。
お客さんの反応は、中々良かったように思います。
東京では人情噺らしくって、
どれくらいの笑いが入っているのか詳しく知りませんが、
「文六豆腐」は笑いメインで、サゲ前がちょっとだけ
人情っぽいかなあと思います。
文太さんは、高座が終わってから、
今日のお客さんはよく受けてくれて助かった、
と、仰ってました。まだそんなに高座にかけてない噺だと、
言っていたような気がします。これからどんどん
固めていくのでしょうか。
文太さんの贋作シリーズ(移植噺)は本と、
聞き応えがあります。将来、継承される噺に
なると思います。
※私が勝手に思いついたメモ
50両をあげるとき、主人公がちょっと酔っている、
という状態なら、勢い余ってあげるのでは。
酔いに任せて、ばっとあげるのは良くないと思うけど、
「50両」って聞いて、酔いが醒めて、
また酔いが回ってきて、時々酔いが醒めて、
考えるのが面倒くさくなってあげちゃうっていう。


田辺寄席は、寺西家の会に限らず、
景品が当たるサービスが落語の後についてます。
会場に入るときに手渡されるチケットに、
番号がふってあって、
文太さんがそれを引き当てて、
前座の子が読み上げます。
この日、読み上げるのは、珍しく?お茶子さん。
中学生くらいの可愛い女の子。
はじめ声が小さいなあなんて思ったけど、
落語を聞く耳を皆、持っている訳ですから、
慣れたら、女の子の声も聞き取れるから不思議です。
 私は何と「黒豆納豆」が当たりました。
嬉しい…!(この間は、外れちゃったので)
 それから、景品の一つに「ラスク」がありました。
文太さん、何と「ラスクって何や?」と(^m^)。
誰も答える気配が無かったので、思わず、
「フランスパンを切って、揚げたもの」と、
言ってしまいました。「あと砂糖をまぶして」。
ギリギリの日本語でした…。
あってますよね? と近くにいた女性の方に
視線を投げかけると、うなずいてくれて。
でも、家に帰って母に言うと、
「あってるんか、それで」と。(T▽T)
いっとき、紅雀さんがマクラでラスクの話を
されていたので、それが頭に染み付いていました。
昔は、古くなったフランスパンを切って、
揚げて砂糖をまぶして、子どものおやつとして
食べていたそうです。
ラスクってそういうもんだったのに、
えらい高い値段がついてしまって、と(笑)
今のラスクって、どういう風に作っているのでしょうか。
間違ってたらごめんなさい。
(今調べたら、オーブンで二度焼いた菓子と出ました)
今度、文太さんの会に行く時は、
ラスクと訂正の手紙を持参します…。

何だかんだ言って、
文太さんに話しかけた記念すべき日になりました。
\(^o^)/
(反省の色が見られない…)


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感心

もし、幾代餅がかからなくても、大満足して頂ける会だとは確信をしておりました。予想通りで結構でした。私も文太師の居残りは、池田のお寺の無料の会で聞いた事があり、感動を致しました。
しかし、一ヶ月も前の事を良く記憶しておられますね。感心致しました。
その記憶力をいかす職業が貴女を待っています。
( ゚∀゚)ギャハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \

もずさんへ

居残り~は以前、聴かれたことがあったんですね。
意外と確信犯なことをされる(笑)
お蔭さまで、思い出に残る良い会と出会えました。
 感想は、ミニノートに書き込んでいるんです。ページが字でまっ黒になっている不気味なノートですので、門外不出です。そんな素敵な職業がありましたら、是非ともご紹介下さい(涙)。
プロフィール

湖涼

Author:湖涼
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