土塔庵寄席

2012年3月10日(土)堺・土塔

露の 雅(みやび) 「狼講釈」
笑福亭 生寿(せいじゅ)「崇徳院」
桂 壱之輔 「もう半分」


とても楽しい会でした。(^o^)



昨日は仕事中、偏頭痛に悩まされ、
何とか早引きせずに帰ってこれた日でした。
整骨院にも寄りましたが、
朝はまだ若干痛みが残っていて、
大丈夫かな? と。

ところが寄席が終わった後は、
すっかり頭痛が消えていました。
ありがたや。
自転車を楽々こいで帰りました。


土塔庵寄席の高座

客席の椅子も写真に収めたかったのですが、
もうお客さんがいたので撮れませんでした。
ソファや、古いタイプの椅子があり、
その上にのったクッションも生地が綺麗なんですよ。


開演のご挨拶に、生寿さんが登場。
会の責任者である南陽さんから、
「(自分は)ネタが尽きてきてしんどなってきた」
と、そういう理由で、月亭八斗さんと共に、
会の責任者の一人に抜擢されたものの、
その話が出たのは9月で、
今は3月…。半年ぶりぐらいにやっと
ここに出れました、と。
それまで、7回くらい土塔庵に出演していたので、
「勝手が分かっているやろ」と南陽さんは、
言ってたらしいです。
客席に大きな柱があることとか(笑)。
 特に携帯を切るようなアナウンスは無く、
さくっと楽屋に戻ってしまいました。
(今回は無くてもいいかもと思いました。雰囲気的に…)
(壱之輔さんのマクラで鳴ったけど^^;)


名ビラを変える時に、中々出囃子が鳴らないので、
「大丈夫ですか?」
と生寿さん。
雅(みやび)さん、前説がもっと長いと思っていて、
CDから離れた所にいたらしいです。
「40分くらい話すのかと思ってました」
深い紺色の着物姿で登場された雅さん。
私が聴くのは2回目で、
以前は「鉄砲の勇助」だったかな。
今回も、小六時代からの友人の話が出たので、
(生まれ育った町の話が入っていて、全く同じ内容では
なかったです)
「鉄砲の勇助」かなと思っていたら、
どっこい、「狼講釈」。
確かに鉄砲(嘘つき)つながりではありますね。^^
狼講釈って、文我さんのネタのイメージがあって、
若手が出すネタっていう感じが無かったので、
意表を突かれました。
見台も出て無かったですし。
(講釈は、野天で行われるため、
確かに見台があるのは不自然ですね)。
 片田舎の村の様子がとても綺麗に
頭の中に浮かんできて、日本昔話を、
実写化して見ている様な楽しさがありました。
しかも、土塔庵の高座の背景が、
古民家なので、噺とよく合ってるんです。
 主人公の生き方は行き当たりばったりで、
とても落語の主人公らしかったです。
狼が出てくるところも、ワクワクしました。
ああいう登場の仕方って格好いいですね。
 講釈は、聞き覚えと主人公が言ってましたが、
堂々としたもの。難波戦記から赤穂浪士へと
話がスライドして、それから先は、
もっと講釈を聞いていれば良かったなあと
思いました。色んな講釈ネタが混ざっている
ようだったので。森の石松や和歌山の蜜柑売りの
話は何とか聞き取れました。途中で、
「寿司くいねえ」が出てきてびっくり。
内田裕也とか(笑)。最後は、野球のぼやきで
講談を切りました。
おどおどする狼が可愛かったです。
落語で狼を見たのは、初めてかも。
楽しい初体験でした。
メモ:おてんとさんはずっと付いて来ますが、
ごはんはずっと付いて来ません。
(無計画に旅へ出た主人公の描写に関して
出た地の文。しびれるくらい古い言い回し)


お次は、生寿(せいじゅ)さん。
この方は、初めて見る噺家さん。
生喬さんのお弟子さんです。
「最近、11キロも太りまして…」
(53kg→64kgだとか)
と、困り顔。去年の五月に結婚したので、
周りから「幸せ太り」だと言われるらしいのですが、
それは違います、と。
奥さんは料理を作らない訳ではないのですが、
自分が作ったほうが美味しいので、
料理担当は生寿さんらしいのです。
(こんなところまで師匠に似てる・笑)
自分で作った料理で太るわけ無いでしょう、
と力説するのですが…。
でも、太った原因を考えると、
やっぱりお菓子好きの奥さんかな~
なんて思ってしまいます。(今のところ)
だとすると幸せ太りの範疇に入るのでは^^。
 ネタは何とびっくり「崇徳院」!
生喬さんのものをもう一度聴きたいと思っていた
ところに舞い降りた幸運です。お弟子さんですから、
めちゃくちゃ内容が違うというのは滅多にありません。
噺の骨格は一緒で、細部が若干違うかなあという程度。
但し、師匠の話し方とタイプが違うので、
新鮮に噺を聴くことができました。
師匠の話し方って、生寿さんと比べると、ちょっと生々しい
感じがするんですね。お弟子さんの方は線が太くて、
日本の絵巻物っぽいんです。線がはっきりした滑稽さというか。
漫画っぽい印象は受けなかったんですけど、
妙に鳥獣戯画を思い出してしまって。師匠とはタイプが違うな
と思いました。二乗さんも優々さんも師匠とは違うタイプ
なので、一緒のタイプって滅多に無いのかも^^;
 話を骨格に戻すと、生寿さんの噺を聞いて、
もうこれは、「生喬型」と新たに命名するしかないな、
と決心しました。『上方落語』という松鶴師が出した
本の中の「崇徳院」は、熊五郎が若旦那と会いに行かず、
親旦那があらかじめ若旦那の恋患いを聞き出しています。
いわゆる短縮版なのですが、これが彼らの基本っぽい。
細部に工夫が加わっていて、
・熊五郎は天下茶屋へ行こうと思っていたところ、
奥さんに呼び止められて、親旦那に会いに行った。
(通常、●●から帰って来たばかりという設定です)
・お嬢さんが渡した歌は、崇徳院の歌全部
(他の一門は、上の句だけを渡して、
下の句を連想させる、という恋文です。
言いたいことを全部書ききった、もっと大胆な
お嬢さんという事になります)
この工夫を何故加えたのか、理由ははっきり
分かりません。歌を全部言わなければ、
お嬢さんが見つかりにくいから、でしょうか。
(お嬢さんの言いたいことは、下の句で、
上の句だけを叫んでいても見つからないのでは、と)
 松鶴師の短縮版「崇徳院」の冒頭から、
「欲と二人連れ」という米朝型が出てきたので、
ハイブリットな型と言えるかもしれません。
褒美は始めから全部言い切ってしまいます(松鶴型)。
熊五郎は欲と二人連れ、と喜びます(米朝型)
五日の内に見つからず万が一のことがあれば訴える(松鶴型)
 熊五郎が夕方呼び出されて、大旦那が
お嬢さんはもう見つかったと勘違いする場面はありません。
ここはかなりのオリジナリティーを感じる所です。
この場面、大旦那の性格の悪さが出やすいので、
カットされても私は抵抗ありませんでした。
 「生喬型」のオリジナルとして、
お櫃のご飯を食べ、沢庵を丸かじりする場面があります。
夕方になってから食べていたので、
ご飯が冷たいとか乾いてるとか、そういう事も言って
欲しかったですね。生喬さんは沢庵をかじるとき、
エアー(何も無しで仕草のみ)に見えたのですが、
生寿さんは手ぬぐいを巻いて、沢庵に見立ててました。
 驚いたのは、生寿さんのお櫃の大きさが、
紅雀さんとほぼ一緒だったこと。あれはお櫃にしては、
えらい小さいなあと、以前は思ったものですが、
お櫃の大きさって、私が思っているよりもずっと
小さいものみたいですね。
 お風呂に入りすぎて、お肌がカサカサで痒い(?)
このくすぐり、めっちゃ笑ってしまいました。
生喬さんで聞いたときには気がつかなかったのですが、
生寿さんのオリジナルでしょうか?
 あと、お嬢さん側の親方が「崇徳院」の歌を
上の句を全て覚えてなかったこと。
「せ、せ、せをはやみ岩に何とかかんとか
っちゅう歌で…」
枝雀さんほど滑稽な言い回しをしてませんでしたが、
この工夫は、歌に縁の無い人たちの描写として
いいなあと思いました。
話は前後しますが、熊五郎が崇徳院の歌を初めて聞いた
時の感想は、「油虫の(来ん)まじないでっか?」
が通常版ですが、生寿さんは、「何かの呪いでっか?」
と言ってました。「死(or血)をはやみ?」
何かそういう事を言ってて可笑しかったです。
 太平洋の鯨ではなく、和歌山の鯨だったので、
古さを保っている部分もありました。
 熊五郎、煙管を持つ手が震え過ぎて、吸い口を
加えることができません。灰も落せない(笑)。
こういうくすぐりは、
去年の四月に生喬さんで見たときは無かったような…?
ちょっと怒りながら、灰をポン!と落とす感じでした。
 生寿さんの崇徳院は全体的に凄く良かったです。
親方の方が褒美が上だったという、くすぐりは、
やはり生喬さんの方が笑いの量としては上でしたが…。
最新型の「崇徳院」、
たっぷりと楽しませてもらいました。


 お次は、壱之輔さん。
土塔のお客さんはヨイショの拍手はしません。
出てきたときも拍手なしで、
高座に上がって噺家さんが一礼してやっと拍手。
噺が良かったときは、高座から降りて一礼するときに
拍手をちゃんとしてくれます。
正直ですね。(あすと寄席もこんな感じだった)。
 マクラは多分、鉄板もの。
師匠が交通事故に遭ったという話と、
噺家はもてない職業だという話を(笑)。
師匠の春之輔さんは昔よくテレビに出てたらしいです。
「僕を知ってくれている人」
と、拍手を求めると、一人だけ(私だけ~!)
後ろのおじさんが「一人や」と(笑)。
 かなり珍しい噺をします、と壱之輔さん。
東京ではよくかかるネタらしいのですが、
上方では3~4人しか手がけてないようで、何と、
生寿さんから「やって欲しい」と言われたそうです。
 「もう半分」は怪談ネタ。
笑いどころの殆ど無い噺です。
(でも、お上さんが「お金なんて返さなくてもいい」
って言った時は、お客さんも笑ってました)
煮売屋の夫婦の元に常連のおじいさんが来て、
お酒を呑みます。ネタ名は、おじいさんの口癖。
理由はちゃんとあって、ナルホド~と思いました。
馬生集成に載ってた噺なのに、ど忘れていたのか、
凄く新鮮に感じました。
 お金に汚いお上さん、「若い頃、お金で苦労して…」
と、さり気に貧しく苦労していた設定を。
おじいさんの容貌は、はっきり言わない方がいいのになあと、
冒頭は思っていたのですが、赤ちゃんが生まれてから、
「あっ、それであんなにはっきり言ったのか」
と思いました。落語に出てくる人の顔や年齢って、
聴き手がイメージしたいと思う気持ちが強かったのですが、
こういう理由があるなら、言った方がいいなあと。
マイナスとプラスが見事にくっついた感じです。
 お上さんが、引き返してきたおじいさんを一瞥する
視線がものすごく冷たくて、どきっとしました。
シラを通そうっていう意志の強さが一瞬で表現できてる。
女と嘘のタッグがめちゃリアルなんです。
これは本では味わえないなあと思いました。
 おじいさんが退場して、噺はそこで完結しないのですが、
壱之輔さんは一呼吸置いて、
「ね、笑いどころがないでしょう?」と。
「ここで噺は終わりません。僕の正義も許しません」と。
夫婦の間に赤ちゃんが生まれて、話はやっと怪談噺っぽく
なります。お上さん、あっさり退場するんですね。
赤ちゃんの異様な行動に、客席から、
「うわ~、あれやわ~ほら…あれ」
そんなざわめきが。(女の人でした)
おじいさんの呪いが鮮明に浮かび上がった時、
すごく新鮮に反応してました。
 最後に、赤ちゃんが笑うのですが、
その笑い声に、ぞくっとしました。
夜、眠れないくらいの恐い笑い声じゃなくて、
壱之輔さんが、本当に役にはまった時の、
役と演者が一体化した感じの、芸の一瞬を見れて、
土塔庵まで来て良かったなあとしみじみ思いました。
 最後に気になったところを一つだけ。
主人公がおじいさんに、お金なんて無いよって
断る時、かなり酔ってて、酔った勢いで、
断ったっぽいんです。でも、やっぱりお金を返そうと
おじいさんを追いかける時には、余り酔ってなくて、
その差がちょっと気になりました。
酔ったフリをしてたのか、本当に酔ってたのか、
酔いは元から無かったのか、途中で醒めたのか、
もう一度、この噺を聴かないと私の中では
はっきりしないなあと思いました。
 でも、本の中でしか知らなかった怪談噺を聴けて、
本当に満足でした。去年の2月から噺を聴かなくなった
噺家さんだったので、どうなってるのか、
ちょっと心配していたのですが、これはもう大丈夫だなと。
(独演会も行って無いのに何の心配をしてるんだか)。
メモ:酒のアテに、泉州茄子の浅漬けが出てきた。
(キュウリは古漬けがいいとおじいさんは言っていた)。
堺の寄席だから、泉州という言葉を出してくれたのか不明。
ちなみにおじいさんの住んでいる所は難波村だった。


生寿さんも、壱之輔さんも、
見台ありでした。お二人とも、
小拍子を取りそこねる場面があって、
凄い偶然だなあと思いました。
(紅雀さんでもまだ1~2回くらいしか
見たことがありません)


土塔庵では、3月ということで、
古いタイプのお雛様を何組も飾ってました。

土塔庵のお雛様 その1
丸い顔が可愛いですね。
(ピンボケしててスミマセン^^;)

土塔庵のお雛様 一番古いもの
手のひらサイズのお雛様です。
一番古いものらしいです。


土塔庵のお雛様 貝殻タイプ
貝殻にのったお雛様です。撮影者の影が…(下手すぎ!)



あと全く関係ないですけど、
帰りに寄ったセブンイレブンのポスターが面白かったので、
撮りました。

セブンイレブンにスターウォーズのキャラ
「近くて便利! セブン-イレブン」

あなたが一体何を買おうというのか…。



土塔庵寄席のレポは以上です。
明日の岡町落語ランドは遠いので、
レポは当日書けないと思います。

確定申告(3月15日)が終わるまで、
ちょっと目の負担を押さえたいので、
更新は暫く無いものと思ってください。
…と言いつつ更新したらすみません。^^;


14日、15日が恐いです。
どうかお客さんともめませんように。

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もう半分

本当に最近は色々と行ってはりますなあ。
堺には叔母が住んでいたんですが、お葬式の時に行ったきりです。ただ、なにを思ったか、去年の「米朝一門会」に市民会館に行きましたよ。確か、大阪で会議が有って、時間的にちょうど良かったのだと思います。
「もう半分」1回だけ聴いたことがあります。桂坊枝さんでした。京都のかどの寄席で席亭の木村さんのリクエストだったと思います。
怪談と言っても、じわっとくる感じの、なにやら生々しい噺でしたね。登場人物一人一人の顔が浮かんでくるようなドラマチックな噺だったように記憶しています。
その「かどの寄席」も今年の夏に50回を契機に一旦休止だそうです。個人で月一回の寄席を開くのは、なかなか苦労するものなんでしょうね。とにかく50回ご苦労様ですと言いたいです。
とりとめもなくない話になってすみません。
ツイッターでも呟いていますが、先日の文我さんの会で景清がかかりました。「下取りの目」でした。神戸のシューマンホールへわざわざ聴きに行こう予約を入れていますが、京都で結論が出てしまいました。
アンケートに「目が違うた」で下げられるのは文我師匠しかない!神戸に期待!!と書いておきましたが、どうなることやら。
その日の落語会そのものにはとても満足していますが、なんとなくもやもやとした気分です。確かに「景清」は何回聴いても「ええ話」でした。「ええ話」で終わってしまうのが惜しい「ええ話」。
なんのこっちゃ。

ピーマさんへ

 もう半分は、GUNLUKさんの感想にもちらっと見た事があったので、そんなにレアな噺という印象はありませんでした。上方は怪談ネタが少ない(と思う)ので、少しずつ手がける人が増えたらいいのになあと思います。怪談ネタというより、妖怪ネタっぽい感じもしますが(^^;)。
 京都の人にとっては、やはり堺って遠方になるんですね。堺の人は割りと京都に遊びに行く人が多そうですが…。難波から南海電車で20~30分くらいの所にあるので、良さげな会があったら是非来て下さい(観光アピール)。
 「景清」の古い型は、50代の噺家さんでは出せないようですね。枝雀師匠と同年代の噺家さんの会に行った方がいいかもしれません。一度習った型を、そうやすやすと噺家さんは変えないので、上方の古老タイプの噺家さんに望みを託したらどうでしょうか。

有難うございます。

土塔庵寄席の様子をお書き頂き、有難うございます。勝手ながらこちらのブログからリンクを張らせて頂きました。またよろしくおねがいいたします。
たしか今回のネタはどれもイイもんだったと思っています。

こちらこそ!

リンク有難うございます。^^
土塔庵は寄席を開くのに、とても良い雰囲気の建物だなあと思います。柱も含めて私は好きですよ。まだ二回しか行ったことが無いのですが、気になる芸人さんが来た時は寄せてもらおうと思っています。今回は三人とも精力的なネタを披露してくれて、本当に見ごたえのある会でした。若手が輝く瞬間を見れて嬉しかったです。
プロフィール

湖涼

Author:湖涼
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