田辺寄席in寺西家

2012年1月28日(土)大阪市・昭和町

笑福亭 呂竹(ろちく)…「延陽伯」
桂 文太・・・・・・・・「兵庫船」
笑福亭 枝鶴(しかく)…「くしゃみ講釈」
桂 文太 ・・・・・・・「明烏」


招待券が偶然手に入り行ってきました。
ほぼ満席!



田辺寄席in寺西家(2012年1月28日)


やや早めに着いたかなあと思っていると、
もう人が並んでいました。
ちょっと早めに会場してくれたのかな?

中に入って、一番前のパイプ椅子を陣取り、
(※最前列から三列目までは少し背の低い椅子で、
パイプ椅子はその次から並んでいます)
妹とあれこれ話していると、
何と落語日記さんに声をかけられました。
すごく久しぶりで去年の夏以来でしょうか?
紅雀さんばかり追いかけていると、
中々出会えない人です。
聞けば、午前も落語会に参加し、昼からは、
こちらへ寄った、とのこと。
すごい偶然だなあと思いました。
(って先方も思ってるかも^^;)


席に座ってから、お客さんがこれから入りますよ~、
という合図の一番太鼓の音が(たぶん)。
やっぱり早めに会場してくれたっぽい?
時間もまだあったので、寺西家の庭周りの散策を
しようかと、妹に聞いたのですが、
席を外すには、ちょっと手狭なスペースのせいか、
このまま開演まで座っている、とのこと。
 そうこうしている内に、
のっそり文太さんが舞台にご登場。
(出囃子も何も無いため、いつも
おお!出てきはった!という印象)
 この間の田辺寄席in寺西家の開口0番では、
デイリーの大冒険という夢の話をされましたが、
今回は、三枝さんが襲名されることもあって、
歴代文枝のお話でした。
 初代文枝は、(何代目か忘れた)文治のお弟子さんで、
文治は上方で一番重みのある名前だけれども、
それは、東京へ行ってしまったので、
その次に重いのは文枝だと仰っていました。
三十石を質に入れたお話も。
 初代文枝の弟子で、四天王の一人に文都という人がいて、
二代目文枝の跡目争いに負けてしまい、
それでも「継ぎたい」「継ぎてえ」「つきてえ」「月亭」…
ということで、「月亭文都」と名乗ったそうです。
この話が余りに印象的で、
二代目文枝から四代目文枝まで、印象が薄くなってしまいました。
 二代目は早めに三代目に譲ったそう。
生家は寄席だったといわれる四代目は15、6の頃に入門。
昭和21年に四代目を襲名されたそうです。
 五代目の文枝さんは、もちろん四代目文枝のお弟子さん
なんですが、五代目松鶴との繋がりの方が強い印象で、
四代目文枝との師弟関係は、どうだったのだろう、と、
ちょっと謎な部分があります。
 四代目文枝の奥さんは、女義太夫の方で、
落語の合い間に、奥さんの浄瑠璃を入れる工夫などもあったそうです。音曲で存在感を示すところなどは何となく師弟を思わせるものがありますね。
 文太さんが三枝さんの事を、
「三枝あにき」と言っていたことが印象的でした。
文枝一門を今後ともよろしく…と。


会の始まりを告げる二番太鼓。
笛は文太さんでしょうか?
話し方と笛の音色がなんとなく被るような。

石段という出囃子と共に登場したのは、
開口一番、呂竹さん。
御年34歳、婚活真っ最中だそうです(笑)。
コンパなどでは、先輩から「戦力にならない」
と、言われたとか(^^;)。口下手なんだそうです。
「職を変えなあきませんね」と。
さっくりとした婚活のマクラから「延陽伯」へ。
 お風呂場に、巨大なぬか袋を持ち込む
フルバージョン。最近は、珍しいのだそうです。
座布団をびりびりと裂いて、ぬかを入れるくだりは、
妹が激しく反応(笑)。隣で、びくってなってました。
 巨大なぬか袋をお風呂場に持ち込む所は、
以前聞いた紅雀さんの噺では無かったですね。その代わり、
新妻と晩ご飯を食べる場面を妄想する所はありました。
これは呂竹さんには無かったです。一門が違うから?
 それから、呂竹さんの噺では、
嫁入りする女性と主人公は、以前、挨拶を交わしていて、
全く面識が無い状態で、結婚する訳ではないという
設定でした。鼻の横にほくろがあり、背がすらっと高く…
お嫁さんの描写が詳細でしたね。
 話はお風呂の場面に戻りますが、ここは、
ひと騒動が起こっている雰囲気がとても楽しめました。
ちょっと気になったのは、ぬか袋を湯船の中に入れた時、
「そんな風に子どもを風呂へ投げ入れるな」
と客からクレームが来て、主人公が、
「いや、さっきのはぬか袋です」
「…大きいぬか袋やなあ」
と、客が呆れながら言うのですが、「大きいぬか袋」と
言う時に、湯船の中のぬか袋を見ずに正面を向いて、
言った様な気がするんですね。“大きい”と言うからには、
ちゃんとものを見て言って欲しいなあと思いました。
 延陽伯のフルバージョンは出す機会が少なそうですし、
これから固めていくのかなあとも思うのですが…。
(2月に同期の会があり、そこで呂竹さんは、
延陽伯を出すようです)
 偕老同穴を結んだ後…と、さらりと地の文で、
新婚初夜を告げます(キャー)
で、その後、お嫁さんが「偕老同穴を結びし上は…」
と言う台詞が。これ紅雀さんには無かった部分です。
本で読んだことはあるのですが、それよりも
シンプルな台詞になっていて、蛇足には感じず、
むしろ、くすぐりとしては良いなあと思いました。
 サゲもさらっとしていて良かったです。
以前聞いたときは抵抗ありましたが、慣れたのでしょうか?
 話はちょっと戻るのですが、
お嫁さんの長い名前を主人公が読むくだり、
お経っぽい声を出すのが遅く感じました。
徐々にそれっぽい声を出すのって難しいんですね。


 お次は、文太さんの「兵庫船」。
これもフルバージョン(たぶん)でした。
船に乗った後、乗客が多すぎて、船内が狭い!
ということで、もっと効率のよい座り方を
することに。皆足を広げて座って、股の間に、
隣の客の片足を入れて、「テレコテレコに…」と。
この可笑しな状況の元、ふざけたり、天然ボケな客が
出てきたりします。
 この辺ちょっと、
ごちゃごちゃしている印象を受けたのですが、
妹は、そこが楽しかったと。
「お客さんを飽きさせない工夫やで」
と。…妹を連れてきてよかった(^^;)。
 帆を膨らます仕草は、
ひろばさん、米紫さんのものを見ていますが、
どちらも、身体を張ったダイレクトな身体の動きでした。
文太さんは、割とさらっとしてましたね。
(ほっぺは勿論膨らましていましたが…)
 乗客同士でなぞかけをする場面、楽しかったです。
なぞかけを上手く答えるより、
ルールを無視して答えた人の方が面白い(^^)。
喜六の活躍の場ですね。私もなぞかけが苦手なので、
ここは彼をめっちゃ応援してしまいます。
 サゲも割りとあっさりしていますが、良いサゲだなあと
思いました。


お次は、枝鶴さん。
「待ってました!」と最前列のお客さんから声が。
うらやましい~…。
マクラで、「トリの文太師匠が着替えている間、
しばし、お付き合いの程を…」と言うと、
楽屋の方から「もう着替え終わったで」と声が。
枝鶴さん、困り顔で
「やっぱ文枝一門は違うなあ~」と(笑)。
 500円玉を落として、妙齢の婦人が拾う小噺も。
妙齢の婦人の話し方が、妙齢とは思えず(^^;)
60歳から70歳くらいに感じました。
 それはそうとして、くしゃみ講釈!
がっつり紅雀さんのものと比較しました。
一番の衝撃は、
タバコ屋だったり小間物屋だったりする「おもやん」が、
何と、パン屋さんで働いている女の子という設定。
パン屋って!!
イメージ的に明治じゃないな…大正後期か昭和かな。
 それから個人的に受けたのは、
枝鶴さんの方が、女の子を口説くのが上手そう…と。
主人公が、おもやんを口説く時、
祭のある日の、日が暮れで、「明日どこへ行く?」と。
 紅雀さんの場合、そういう設定も台詞もなくて、
二人でごしょごしょ話す感じ。主人公は物忘れも激しいし、
モテなさそうなのに、
どうして「おみっちゃん」は主人公と付き合うことに
なったのか謎なんですね。マニアックな好みの持ち主とか?
これは、文我さんの「おやこ寄席」CDでも感じたことです。
 枝鶴さんは、もの忘れが激しい場面も、
「途中からなぶられてんの分かれへんかったんやろか」
と、主人公がわざと忘れたフリをしていたという設定に。
買い物の内容を忘れたのは、
八百屋さんの威勢の良い声にびっくりしたから、という。
「人をからかうセンス」を持ちつつ「うっかり屋」。
モテオーラがすごい。おもやんが付き合ってもいいかなと
思えるような人柄を感じました。
 枝鶴さんの落語を聞くのは二回目ですが、
落語の登場人物と枝鶴さんご本人の距離が近く感じられて、
(別にキャラをこしらえたという感じではなく)
頬に手を当てて困った仕草を出すときもリアルだなあ、
なんて思いました。(やや回数が多い気もしましたが)。
 第二の衝撃は、からくりの歌。
紅雀さんと米二さんとも違う音程でした。
上のお二人も、歌の音程が微妙に違っていて、
若干紅雀さんが音を外しているように感じるのですが、
(でもそこが好き)、
枝鶴さんの歌を聞くと、米二さんと紅雀さんは、
同じグループで、彼はもっと違うと思いました。
米二さんと紅雀さんの場合、
音の落差が少なくて、たぶん楽譜にすると、
なだらかな音符の並び方になると思います。
 枝鶴さんは、音の落差が少し大きくて、
時代がやや新しくなり、歌謡曲に近い印象を受けました。
妹はすごく褒めていて、
歌も上手いし、歌の内容がよく分かったと。
私は、こういうのもアリかなあと思ったのですが、
実際どちらの歌い方の方が古いんでしょうか?
松鶴さんの「くしゃみ講釈」、聴いた方が
いいのかなあ。
ちなみに、八百屋お七のからくりの歌は、
「火柱の~♪」(紅雀さんはここまで歌わない)
の、さらに次のフレーズまで歌っていました。
個人的に超レアな部分を聴けて嬉しかったです。
 講談の場面は、紅雀さんほど力んでなかったです。
「せがれ大助」って言ってました。
(ちなみに「小姓の吉三」ではなく、
「小姓なんとか吉三」と言っていて驚きました)
(小姓衆吉三??かな)
火鉢に唐辛子の粉を入れる場面、
どうして枝鶴さんは唐辛子の粉を買うのに、
あんなに手ぬぐいを大きく広げたのかなあと
思っていましたが、「全部入れてしまえ!」
と、手ぬぐいをバタバタさせるためだったんですね。
ここは客席から悲鳴っぽい声が(笑)
その前に、主人公が
「(講談が上手いから)最後まで聴きたいなあ」
と言った台詞も印象的でした。
 くしゃみのタイミングは、そんなに複雑な
ものではなかったです。
福團治さんほど、場面を巻き戻したりしてませんでした。
くしゃみが出て、ちょっと前からやり直して、
またくしゃみが出て…と、かなりオーソドックス。
くしゃみ講釈はこれでいいんじゃないかなあと。
講談の場面は、本多平八郎が名乗りを上げて、
さらに次の部分まで言ってました(嬉しい)。
 くしゃみが出そうで出ない所は、
お客さんから拍手が。私より後ろに座っている
お客さんは割りと新鮮な反応をしてくれるので、
何だかほっとしました。
 兄貴分の啖呵の後、主人公がそれを真似て失敗する
台詞はなく、「おけら毛虫~♪」と歌いだして
びっくりしました。こういうやり方もあったんですね。
 ちょっと照れながらサゲを言っている枝鶴さんが
可愛く思えました。
(私が崇徳院でサゲを言って欲しいのは、
こういう噺家さんの表情を見たいからです・笑)


トリは、文太さんの「明烏(あけがらす)」。
(あれ?烏って出てきたっけ?)
以前も指摘した事なんですが、落語会のチラシでは、
「お楽しみ」がトリになっているんです。
(今回のお楽しみは「兵庫船」でした)
でも、小さなことを気にしている自分が何だかなあと
思いました。
個人的には、明烏がトリ(最終演目)でほっとしました。
そんなに短い噺とは思っていなかったので…。
 それはそうとして、文太さんの「明烏」。
すごく楽しかったです(^O^)。
若旦那がちょっと女らしすぎるかなあとも思ったのですが、
甘納豆を沢山投げる場面が、ほんとハイライトなのかなと
思うくらい面白かった。
直前まで歯磨きをしているのに、すぐ甘納豆を食べだす可笑しさ。
(もしかして別人かも^^;)
階段から落ちてしまうくすぐりって、東京であるのでしょうか?
私は、志ん朝さんの「明烏」を本で読んでいて、
甘納豆ではなく、梅干を口に入れている場面が印象的だったのですが、
甘納豆は、東京でもあるのでしょうか??
ヤケになって、食べていた甘納豆を投げ出したりするところ、
最高でした。もずさんの言っていた通り楽しかったです。
 女郎さんがお客さんの方を向かずに、
箪笥に向かって寝るところ、オナラをする所とか、
昔の小噺っぽくて、すごく良いなあと思いました。
 惜しいなあと思ったのは、若旦那。文太さんの
崇徳院の若旦那は違和感無く受け入れられたのですが…。
今まで若旦那が上手いなあと思えたのは、
若旦那の性格は違いますが、米團治さんの「七段目」です。
若旦那は若旦那しか演じられないのでしょうか?
そんなことないですよね…。
 気の弱い若旦那は、しなっとしていて、
余りに女性っぽく見えることがあって、
(ちょっとおかまっぽい?^^;)
それは枝雀さんの「崇徳院」からそうなのかなあと
思ったりするのですが、今回の「明烏」は、
気の弱い若旦那というより、
本の虫で世間知らずの側面をもう少し出したほうが
良かったのでは…と思いました。
(勿論そういう設定なので文太さんも出してましたが)
 そういう私の好みはさておき、
この「明烏」は、
本当に関西で文太さんしかしないのでしょうか?
こんなに面白いし、ちゃんと上方版に移せているのに
勿体無いなあと思います。


会が終わると、
喫茶店で落語日記さんと妹と一緒に、
今日の落語を含めてあれこれ落語話を。
 私が知らなかった美味しい情報
・紅雀さんのくしゃみ講釈は、
昔、講談の場面が下手だったらしい。
落語日記さんは「今は上手なの?」と(笑)。
上手か下手か私には分かりませんが、
講談の場面はちょっと男前すぎるので、
男前の時間を大幅に減らして欲しいです。
(後藤一山ではなく紅雀さんの講談を聴いている
感じがするので…)
・笑福亭たまさんの、繁昌亭大賞の会の
司会がとても良かったらしい。三十石の声も。
落語日記さんは、彼の「時うどん」が、
すごく面白かったとベタ褒め。(><)
・落語日記さんは午前中、
長講の会に行っていて、文華さんの
「景清」がとても良かったとのこと。
大名行列まで行かず、「下取りの目」でもなく、
「めでたい話」で終わったとか。
・落語日記さんは新作落語の本を持っていた。
目次だけ見せてもらったら、
あやめさんの「義理ギリコミュニケーション」が
あった。白鳥さんの噺も。すごく読みたかったけれど、
楽しみが減ると思って耐えました。
(文章と実際に聴くのとでは違うよと、
落語日記さんからも妹からも言われましたが…)
私は真っ白い状態で落語を聴きたいんですね^^;
へんくつでスミマセン。。
 それから、私と妹は、
方言や訛りに鈍感で、言われても「え?」
という感じで、落語日記さんから、
大変驚かれました。

 ぼやっとしてたら珈琲を
おごられてしまいました。
どうもスミマセン(^^;)。


私信になりますが、
中之島落語会、頑張ってくださいね!

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明烏

私が初めて文太師を見たのは2001年の秋の平成紅梅亭でした。その時が「明烏」でした。マクラで、「私は線香花火のような落語家です」と言われたので、どんな話をするのだろうと聞いていたら、あの歯磨きと甘納豆の演技に感心しました。
その時は、自分が田辺寄席の会員になるとは夢にも思っていなかったのでした(笑い)。

もずさんへ

 平成紅梅亭って良い会に行かれたんですね。ひょっとしてテレビですか? 十年以上前から「明烏」を高座にかけていたとは。しかも大きな会。余程自信がおありだったのでしょう。あの歯磨きと甘納豆の場面は本当に面白かったです。^^ モテない男たちの雰囲気がよく伝わってきました。
 私はまだ非会員なので、時々受付で「おや?」としたような顔で見られることがあります(気のせいかな?)

テレビ

もちろんテレビです。繁昌亭が出来るまで寄席通いはしてませんでした。
テレビでの一言一句は、上方落語メモの「明烏」参照下さい。

もずさんへ2

 繁昌亭ができてからということは、2006年9月以降ということですね。私より3年早いということになるのでしょうか? 同時期くらいに通い始めたと勝手に思っていたので、びっくりしました。
 「明烏」が上方落語メモにあるなんて! 嬉しい情報ありがとうございます(^^)

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管理人のみ閲覧できます…のお返事

お友達が多くて羨ましいです(><)
枝鶴さん、「蛇含草」もとっても良かったですよ~。
素麺バージョンでした。
プロフィール

湖涼

Author:湖涼
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jaimo.koryou★gmail.com (★を@に変えて下さい)
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