シネマ落語 落語研究会 昭和の名人 参

2011年12月3日(土) なんばパークスシネマ

桂  吉朝  「不動坊」
三遊亭 圓楽 「実説 助六伝」
~中入り~
古今亭 志ん朝「三方一両損」
金原亭 馬生 「鰍沢」


志ん朝さんに一本取られてしまいました(><)
その次は円楽さんかな。



吉の丞さんが、ラジオで
「知人から聞いた話によると7割の入り」
と言っていましたが、
・・・
この日は、2~3割くらいかな(^^;)
映画館側も、そんなに動員数を期待していないのか、
小さめの会場でした。


 まず始めは、吉朝さん。
東京の国立文楽劇場で「不動坊」を演じている映像です。
動いている吉朝さんを見るのは初めて!
音源では、「質屋蔵」くらいしか聴いたことがありません。
 マクラは、ほんの少しで、
『いつもは(東京に来る時)泊まりなんですけど、今日は日帰りで…
時間が無いので、手短にお話をします』
こういうような事を仰ってました。
「手短に」と噺家さんが言うのは、よくあることなので、
私は「またまたご冗談を」と思ったのですが、
この「不動坊」、東京向けにお話をされたのか、
すごくあっさりしてて、
何だか、置いてけぼりをくらったような気持ちに
なってしまいました。
 紅雀さんの「不動坊」が、私のスタンダードに
なってしまっているのでしょうか? orz
紅雀さんの落語が好きすぎて、そのせいで、
他の噺家さんの落語の良さが、分からなくなっちゃうのは
辛いです。(神経が麻痺してるとか…)
 特に、あれ? って思ったのは、
前半の利吉で、お滝さんが女房に来るって
聞いても、有頂天になっているように
思いませんでした。(お風呂の後にそうじをしなかった)。
のろけが浅いのかなと。
「ご開帳があったやないの~」
っていうところも、もっとガツンって来ると
思ったのですが…。
 それ以前の、お風呂場で一人、痴話喧嘩の下稽古を
する場面は面白かったです。
 それから、屋根の上で四人がワアワア言っているのも
楽しかったし、数えたら面白かった事の方が多いように
思うのですが、所々台詞をカットされたような所があって、
それで、噺に入り込めなかったのかもしれません。
 お風呂場で利吉の悪口を聞いた徳さんが、
長屋に戻って、ゆうさんと、しんさんに、怒りながら、
風呂場で悪口を言われた! って言うのですが、
それが、自分の悪口だけで、ゆうさんとしんさんの悪口は
言わなかったように思います。
 ゆうさんがおしっこする時間も短かったかな。
(あれはあれでインパクトがあって良いのかもしれませんが)
(短く“ジャーッ”と言って、徳さんが慌てるというもの)
 それから、カルタ先生が、
「10円では割りづらい」という台詞が無かったのですが、
これは、最近導入されたくすぐりなんでしょうか?
上方落語メモを見ると、仁鶴さんの不動坊にも、
その台詞はありません。
 元から無かった台詞なのか、あえて言わなかった台詞なのかは
分かりませんが、
台詞が“抜ける”ということは、無いと思います。
 恐らく東京のお客さんに向けられた不動坊だったので、
私の中で上手く消化できなかったのでしょう…。
 噺の始めから吉朝さんの肩の周りが何となく、
固く感じました。
 屋根に上ってくる友人や、カルタ先生を、
徳さんが引っ張り上げるとき、けっこう、あっさり、
手を持ち上げたように思います。
人の重さが徳さんの手にかかっているはずなのに…。
 吉朝さんのお弟子さんには、いつも笑わせてもらっているので、
何故? という気持ちが消えません。
 でも、これいいな! って思った所もあったので、
こちらもメモしておきます。
・お酒を呑む時の音が、静かで聴こえなかった
音を大きく立てる噺家さんもいるように思うのですが、
音無しでもいいなって改めて思いました。
吉弥さんの「ちりとてちん」でも、確か音は無かったはず。
・「チビス患って」を「乳房を患って」と勘違い(笑)
・カルタ先生の着替えを手伝うよう、徳さんが
ゆうさんとしんさんに指図する手が、しっ!しっ!と
払うような仕草で、リーダーシップを感じた。
・「アルコール」「あんころ」
この掛け合いが面白かったです。
・ぶら下がっているカルタ先生が、怪訝な顔で、
屋根の方を見上げたところ(細かい!)
・カルタ先生が、井戸のツルベ(綱?)につかまって、
顔に水がかかった表情とか良かった様に思います。
ここの場面、吉弥さんの「不動坊」でも、見たのですが、
あの時は、井戸に落ちた衝撃で、ちゃんと見れてなかったの
かもしれません。吉朝さんのサゲ前からサゲは、
本当に良かったです。特に水が傍にある
(または漬かっている?)という表現は、かなり
リアリティを感じました。
このサゲは、吉朝一門しかしないのでしょうか?
お弟子さんには、是非、
井戸に入ったサゲをして欲しいです。
他の一門の方も、演(や)って広めて欲しいです。



お次は、円楽さん。
「実説 助六伝」というお噺でした。
 笑点の司会のおじさんというイメージが100%で、
落語を聴くのは初めてです。
若くて吃驚してしまいました。
声も若々しかったです。
 円楽さんの実家がお寺?なのでしょうか。
元禄時代の過去帳を持っていて、
そこから噺を作ったというような事を仰ってました。
当時、身を売られた女性は、
10年+お礼?奉公1年を
勤めないと年季明け出来ず、その多くは、
途中で命を落としていた、22、3才で亡くなっている
人がとても多かったそうです。
引き取り手の無い遺体は、「売女(ばいじょ)」と
戒名?をつけ、お寺に葬られたとか。
・・・酷い時代があったんだなあと、
噺の前のマクラから火が付いてしまいました。
 冒頭は何と、情後という生々しい
会話から始まります。
マムシの生き血(ネットで調べたら意吉とありましたが、
落語を聴いている間は、私の中で“生き血”でした)
が、意中の花魁(おいらん)に、
「お前を抱いていても、心がここにない感じがする」
(そりゃそうだよ!)
と、愚痴ります。
その花魁はヒロインで、運良く、
あと三ヶ月で年季明けの身となる人でした。
「親分だから本当のことを言います」
と、世間知らずのお嬢さんみたいな事を
言ってしまいます。
「私の本命は、助七(すけしち)さんです」
(助六じゃないの?! )
 で、このマムシの生き血が(意吉ね)、
名前に反して、
美しく身を引くと思っていたのですが、
とんでもない奴でした!!! 許せない~!
話は暗いのに、「この先どうなるんだろう?」
と、引き込まれてしまいました。
最後は、きっとハッピーエンドになると、
信じて見てました…。
そうじゃなくてもマムシの生き血が、
酷い目に遭って死んでエンドだと思ってました。
 この「助六伝」を書き換えたいです。
ヒロインは、目の前にいるマムシの生き血を、
隠し持っていたかんざしの先で喉を突いて、
敵を討つんです(すごい内容)。
「男だったら敵を討つけど、あたしは女…」
とか言ってる場合じゃないですよ。
目の前に来るんだから!
せめて、お上さんになって、
ちょっとずつ毒を呑ませるとか!(恐い)
 ・・・などと、お腹の中で、
色々ともだえてしまったのですが、それくらい、
夢中になって噺を聞いていました。
悲恋物語です。
女性受けする噺じゃないかなと思います。
最後も、悲惨でグロいけど、
綺麗に話が終わったって言うか…。
(悔しい!何でアイツが生きてんの?)
 ちょっとヒロインが、
男性の願望を集結したような、心身ともに美しすぎる女性で、
実在したのか想像しにくい感じになっているので、
もう少し、人間味が欲しいかなと思います。
(例えば、助七に「俺は実は、お金持ってるんだ」
と言われて、それを信じていたとか)
 それから、助七がリンチに遭う理由が
全く説明されていないので、ちょっと違和感を覚えました。
そこは、なんなと
因縁をつけてリンチに遭わせて欲しかったです。
 それにしても、年季が明けて、嬉しそうに
助七に会いに行くヒロインの姿が忘れられません(><)
「助六伝」じゃなくて、
お題は「小糸助七」でいいんじゃないでしょうか。
助六は完全におまけですよね…。


まさかの「中入り」時間。
あるとは知りませんでした。
スクリーンの中にある“めくり”が「中入り」と
出て、その下に「10分」「9分」「8分」と、
中入りの残り時間が表示されています。これは便利(^^)。
6分くらいから、お手洗いに立ちました。
(ギリギリや!)


 中入り後は、まさかの志ん朝さん。
てっきりトリを飾ると思ってました。
馬生さんの「鰍沢」が最後だと、
帰っちゃうお客さんいませんか?(失礼千万)。
(本当に帰った人がいました)
確かに中入り後は、明るい噺が良いとは思いますが…。
最後に、人情噺で締めるというやり方なのでしょうか。
 スクリーンに出てきた志ん朝さんを見て、びっくり。
私の頭の中の志ん朝さんより、ちょっと老けてました。
ああ、これくらいのお年の時もあったんだなあと、しみじみ。
「崇徳院」も音源のみでしか聴いていませんし、
動画は、「鰻の幇間」くらいでしょうか?
 「江戸っ子は宵越しの金を持たない」という話は、
本当かどうか、志ん朝さん、お年寄りに訊いたことがあるそうです。
「それはどうも本当らしい」。
 江戸っ子は江戸っ子でも、職人にそういう傾向が
あったようです。自分の腕の中に金が詰まってる、とか
そういう気概だったようで。
 それで、お金を持っているのは、恥ずかしいことだと。
これは、上方の職人ではありえないかも(汗)。
お財布を届けに来た男に、
「金はいらん、お前に遣る」と、突っぱねる主人公。
財布を届けに来た男も職人ですから、
「金欲しさに、届けたんじゃない」と怒り出します。
それで、喧嘩になるのですが、
この二人の喧嘩がとても見てて面白かったです。
似たもの同士というか、精神的に双子なんですね。
一歩も譲らないし、言うことがいちいち面白い。
相手の男が「金太郎」という名前だと知るや、
「金太郎にしては顔が赤くねえな」
「ゆで上がる前だ」
「野郎、半生(はんなま?半ゆで?)で来やがった」
江戸っ子口調も、ポンポンとリズムが良くって、
ため息が出るほどでした。
 志ん朝さん、江戸っ子を滑稽化するのに、
本当に長けてます。鋭い感じ。
 ちょっとあれ? って思ったのは、
金太郎が、自分の住んでいる長屋に戻ってきて、
大家さんと話をし始めるのですが、
それが始め誰か分かりづらかったです。
もう一人の大家さんは穏やかな口調だったので、
それと正反対というか、江戸っ子の親玉みたいな人でした。
それが、大家さんらしくなかったので…。
 それも、ちょっとしてから「これは大家さんだ!」って
分かったから良かったんですけど。
上方の大家さんには居ないタイプかも。^^;
それで分かりづらかったのかな?
 お奉行さんが、あっさり出てきたのですが、
あっさり出てくるような事例ではないので、もう少し、
お奉行さんが出てくるまでに到った経緯というか、
無理やりでもいいんで、説明が欲しかったかなと。
それも、「双方から訴状が届いたので」と、
はっきり仰っていたのですが、
おしらすって、滅多に開かれないものだと、
「佐々木裁き」で何度も刷り込まれているものですから、
『相手がお金を受け取らなくて喧嘩になった』
という事件を、お奉行が自ら裁くのでしょうか?
(お奉行さんも、暇だったとか、興味があって、
おしらすを開いたって言ってくれてもいいのにな)
 きっと、サゲを言うためだけに
お奉行が出てくることになったんだなあって、
そう思ってしまうので、
お奉行にも少しキャラ付けしてあげた方が、
いいんじゃないかなと思いました。
(収拾つかなくなるかな?)
江戸っ子二人が兎に角、強烈なので、
お奉行さんの影がどうしても薄くなっちゃうんです。
 よ~く考えたら、
一両をポンと気前良く出す、お奉行も、
江戸っ子だなあ、なんて思ったりするのですが。



トリは、ついに馬生さん。
「待ってました~!」(心の声)
動いている馬生さんを見るのは初めて…
あ、「目黒のさんま」の動画は見てました(汗)。
これも『馬生集成』(本)の方が出来が良いと思ったので、
動画を見てがっかりしたんです。
(噺家にとって、ここまで残酷なことはないと思う)
だから、『馬生集成』の「鰍沢」は、
あえて読まずに、映画館に来ました。
私の中の、林家正蔵の「鰍沢」の牙城を崩して欲しいと、
念じておりまして…。
 結論から言うと、牙城は崩れませんでした。orz
う~ん、やっぱり馬生は「王子の狐」の人なのかな。
 正蔵の「鰍沢」って、音源しか聴いてないんですが、
冒頭、旅人が吹雪に遭って、
顔に雪がへばりついて、顔を手でぬぐうような音が入るんです。
馬生さんも、たとえ雪が顔にへばりつかなくても、
雪が顔に当たって、顔をしかめたり、
それをちょっとでも気にするような仕草が欲しかったかなと…。
 笠も手で余り支えてなかったし、
そんなにきつい風は吹いてなかったのかな。
それとも、日本の被る笠って、支えは必要ないくらい、
紐でがっちりしばってあるものなんでしょうか…。
 一番、びっくりしたのは、
お熊の旦那が、しびれ薬の卵酒を呑んで、
死んでしまったこと。
卵酒の底に、苦い薬が溜まっていた描写や、
しびれが来る様子が凄い、リアルで
(舌が回らなくなる、というもの)。
毒にのたうち回る表現が強烈過ぎて、
お熊の悪女っぽいところが、霞んでしまいました。
 というのは、馬生さん、
どうも「お熊」を「悪女」にしたくない、
感じがしたんですね。
目の前で、愛する人が死んで、気持ちが乱れて、
「旅人が、おまえさんの仇(かたき)だ」
とか、言うんですよ。
(これって、八つ当たりですよね…)
旅人を鉄砲で撃つ理由を、
愛する夫が死んだから、という所へ
持って行こうとしてるんじゃないのかと。
 一方、正蔵の「お熊」は、
もっと計算高くて、ダーティな感じです。
旦那も死んだという描写はありません。
旅人のお金を奪って、夫婦で、
“上方”に行ってやり直そう、と考えています。
 私は、馬生さんの「鰍沢」で、
一体どんだけ格好良い「悪女のお熊」が
見れるのだろうと、ワクワクしていたので、
そこは本当に期待外れでした。
 他の噺に出てきそうな普通の女の人になってました。
お熊は悪女だから、格好良いのになあ。
 あと、お熊は、もう花魁じゃないのに、
どうして自分の事を「わちき」と言っていたのでしょうか…
(そういうもんなのかな)。
 馬生さん、痩せ型で、とても女性を演じるに、
ぴったりだったと思います。(手も細いし)。
お熊が、旅人の正体(自分の昔の客)だと分かった瞬間の顔は、
良かったですね。
過去の男に対する、親しみと侮蔑をまぜたような複雑な表情。
これは女じゃないと出せない顔です。
 芸に対しては、凄いなって思うところもあったのですが、
噺に対する解釈の違いは埋められないくらいの溝が
生まれてしまいました。
 今回見た「鰍沢」の映像は、昭和50年のものなんです。
晩年(57年)近くだと、もう少し内容も違うかもしれません。
 昭和51年に出た『馬生集成』の「鰍沢」は、
この映像より、若干過去のテキストのように感じました。
昭和50年以前の「鰍沢」をテキスト化してるのかも。
(それともテキスト漏れがあったのだろうか)
 ただ、「王子の狐」は、晩年になると、
登場人物に対して情のある、優しい方向に行ったので、
晩年の「鰍沢」のお熊も、悪女を強調するものでは、
なかったのかもしれません。
 まあ、動いている馬生さんが見れただけでも、
有難いと思わないといけませんね。
「王子の狐」の動画はあるのでしょうか…。
このシネマ落語はシリーズになっているので、
将来、出てくる可能性はあると思います。



映画が終わると、一緒に来ていた、
妹ともずさんと「なんなんタウン」の
無印良品へ。地下1Fの入り口に、
定食屋さんみたいなのがあって、
タイ料理のファーストフード店・クンテープ
(↑たぶんコレだと思います)
私は辛くない方のフォーを食べました。
きし麺みたいで美味しかったですよ。
安いし言うこと無いです。
(お客さんが沢山いて、ゆっくりは
出来なかったですけど…場所によるのかな?
学生さんはまったりしてました^^)

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