いぼじり巻き

林家正蔵の「鰍沢」で、
お熊の描写を語る時、
「いぼじり巻き」という言葉が
出てくるのですが、
イメージがしづらくて、困ってます(--;)



『頭は、洗い髪を、
じゃけんに柘植(つげ)の櫛へ
ぐるぐるっと巻いた、
俗に“いぼじり巻き”という頭にして…』
(林家正蔵『鰍沢』より)


Yahoo!の辞書だと、
・いぼじり‐まき【×疣×毟巻】
女性の髪形の一。
髪を束ね、ぐるぐると巻いてピンなどで留めたもの。
昭和初期ごろまで行われた。(大辞泉)
・いぼじりまき 【▼疣▼毟巻(き)】
女性の髪形の名。
根を低くしたカマキリに似た形の髷(まげ)。
のちには、髪を束ねて後頭部にぐるぐる巻きつけたものをいう。
いぼじり。(大辞林)

カマキリに似た形の髷(まげ)。
これは古いタイプの、いぼじり巻きでしょうか。
ネットで拾ったブログ画像ですが、こちら
伊豆大島では「いんぼんじり巻き」というそうです
髪を後ろで束ねている他に、
後頭部をなぞる様にして、ぐるっと一周している、
結い髪があります。(ちょっと分かりづらいですが)。
これが逆三角形っぽくて、カマキリの顔に似ている、
という発想なのかな。
「いぼじり」は、カマキリの古名です。
元は、「いぼむしり」で、それが転化したもの。
(私の手元の古語辞書では、「いぼうじり」の転化とありますが)
語源は、カマキリを触ると、いぼが消えるという俗信が
あったから、だとか。

しかし、これは、「鰍沢」の、
お熊の髪型では無さそう。
『洗い髪を、
じゃけんに柘植(つげ)の櫛へ
ぐるぐるっと巻いた…』
 「いんぼんじり巻き」は、“じゃけん”な
感じではなかったですよね。



「いぼじり巻き」の辞書の続き。
『のちには、
髪を束ねて後頭部にぐるぐる巻きつけたものをいう』


明治時代の小説に、
“いぼじり巻き”という言葉が使われており、
挿絵つきのものをネット上で発見!
新編・浮雲」P54です
(※「54/92」とページ指定できます)

いぼじり巻き
洗い髪をじゃけんに、
柘植の櫛へ、ぐるぐると巻いた…
ようには、見えませんね。^^;
ご令嬢のお洒落な髪型のように見えます。
ぐるぐる巻いているのは、
一緒っぽいですけど…。


妹に「いぼじり巻き」について、
相談すると、「夜会巻き」じゃないの?
というお返事。
ホステスさんが、やってる髪型と
思ってましたが、そうでもないみたい(^^;)
元は、明治時代の鹿鳴館で、
洋装にも和装にも合う髪型として、流行したそうです。
現在でも、
コーム(櫛)や、かんざし一本で仕上げることができ、
パーティに行ける、お手軽な髪型として、
かなり普及しているようです。
(髪の毛を伸ばしたことが無いので、
知りませんでした・汗)
夜会巻きの動画紹介
↑ まるで魔法を見ているかのような動画…!
コームもかんざしも、針金状に曲がる素材かと
思いましたが、そうじゃないみたい。
ちょっとだけ髪をひっかけて、
最後に、まとめてざくっと差し込む感じ。凄い


しかし明治時代の小説の「いぼじり巻き」は、
髪を、円状にぐるぐる巻いている感じです。
しかも、ご令嬢がするような髪型で、
かなり気合が入ってそう。
洗い髪をじゃけんに、まとめた感じはしません。

「夜会巻き」は、
髪を、ねじって、アップにし、止めるもの。
こちらもパーティ用の髪型ですが、
元をたどれば、
お風呂上りにでも、気軽に出来る髪形です。
ただ、櫛やかんざしを工夫して止めているので、
一見ゴージャスに見えるんですね。 



結論。
林家正蔵は、「いぼじり巻き」と云う言葉を
使っていますが、話の流れからすると、
明治時代の、気合の入ったお洒落な髪型ではなく、
イメージとしては「夜会巻き」を崩したもの。
お風呂上りの女性の髪形ではないでしょうか。

※補足「いぼじり巻き」と「夜会巻き風」の髪型を、
一緒の髪型として語っている女性のブログがありました。
ご年配の方のようですが…



最後の問題点は、
『洗い髪を、
じゃけんに柘植(つげ)の櫛へ
ぐるぐるっと巻いた…』


「髪を、じゃけんに櫛へ
ぐるぐると巻いた…」

“櫛の周りに、髪の毛がぐるぐる巻いている”
イメージが残ることです。orz


夜会巻きは、髪の毛を、ねじ上げて、
最後に、櫛でクリップ(止める)ものですから、
“櫛の周りに、髪の毛がぐるぐる巻いている”
ものではありません。


それって「櫛巻き」じゃないの?
こちらも、お風呂上りに手軽に出来たそうです。


正蔵さん…
お熊の髪型は、
「いぼじり巻き」・「夜会巻き」・「櫛巻き」
一体、どれなんですか?

櫛を巻き込むか(櫛巻き)、
最後に止める道具に使うかで(夜会巻き)、
かなり髪型が変わってきます。


また、別の音源を聴くか、
図書館でテキストを探します…。


※追記
ちくま文庫の
『古典落語 正蔵・三木助集』に
載っている、正蔵の「鰍沢」を見たら、
“櫛巻き”とありました。

正蔵さん…
話すたびに細部が違うということは…
とても素敵なことだと思います(><)
今回聴いた音源では、
「眉を落として、歯を染めて…」と言うくだりが
あり、そこがめっちゃ嬉しかったです。
(以前聴いた音源では無かった様に思うし、
本にも、その部分はありません)
眉毛ないキャラが好きなので…!

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いぼじり巻は、白黒写真の曾祖母がしていた髪型で、髪を後ろでクルクルして、箸みたいなかんざし一本で止めたかんじ
やってみるとわかりますが、髪がサラサラだとすぐに崩れてしまうので、当時の人は頭皮からでる脂か、椿油で髪をまとめていたんでしょうね。
決しておしゃれな髪型ではなく、ばーさんがする髪型ですよ。
いぼじり巻で、着物、割烹着で曾祖母の時代のスタンダードな主婦だと思われます。当時、曾祖母は中流上家庭でした。

いぼじり巻きについて

 和服が趣味とのこと、その方から心強いコメントを頂き、
ありがたく思います。平生着物を着ていないので、
落語を聴いて、耳に覚えがあっても、実際イメージすると、
全く思い浮かばないことが多いので…。この時もイラストを描くとき
難儀しました。結局、絵柄の幅も無いので(デッサン力が無いともいう)
好きに解釈して描いてるんですけど(笑)
 おしゃれな髪型ではなく、ばーさんがする髪型…とのことで、
お風呂上りにするような、ざっくりした髪型という解釈は当たらずも遠からずで
何よりです。「鰍沢のお熊」イラスト ↓
http://jaimo.web.fc2.com/kazikazawa-okuma.htm
今改めて見ると、髪形よりも継ぎはぎの着物の方が気になりますね(^^;)。

コメント有難うございました。^^
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