モーレツ落語会 三日目

2011年8月17日(水)天満橋駅、大川渡って左の道、薬局ビル5F

桂 ひろば「道具屋」、桂 雀五郎「阿弥陀池」、桂 こごろう「夢八」、桂 雀喜「遊山船(ゆさんぶね)」、中入り、桂 佐ん吉「蛸芝居」、桂 紅雀「三枚起請」

3回目の「三枚起請」、ついに変化球が来ました。ミットに沈む…(手ごたえあり!)
でも、アンケートにはダメ出しを書きました(鬼)。凄く良かったけど、もっと良くなってもらいたいので…
それから、雀喜さんの「遊山船」、めっちゃ良かったです。今まで聴いた中で一番好きかも


ひろばさん、羽織姿に、出囃子も「石段」ではなく、「お手てつないで」(だったかな?)。
期待が高まります。マクラは確か、なにわ探険クルーズに関して。たった一人のお客様だと、40分間?二人っきりになる、それが外国人観光客ならどうなるか…(ルックルック)。「道具屋」は、たっぷりとまではいきませんが、月末亭で見たときよりもやや長め。これが最長なのかな、少し短縮された感じもしたのですが。もっとじっくり聞きたいと思わせてくれる噺家さんです。「ギブツでっせ・ギブツ・ギブツ」を連呼する所が面白く、ひろばさんって、こういう突出した演出を何気にそっと出してくる人だったんだなあと思いました。


雀五郎さんの「阿弥陀池」。こごろうさんとの二人会で見たときよりも、流石にインパクトが減ってしまいました。「シンネコを突いてニャー」は、え、こんなのあったっけ?というくすぐり。面白かったけど、一瞬で過ぎてしまったので(ツッコミあったかな?)、ジェットコースターでいい景色をざ~っと通りすぎた気持ちです。語り口調も安定している(いつもそうですが)のに、何故か私の胸に飛び込んでくるものが少なく、ちょっと残念。何が原因かも分からずモヤモヤ。マクラの有無は関係なさそうだし、たまたまだと思いたいです。


こごろうさんの「夢八」は二回目。けっこうレアな設定の噺です。私はこういう噺いたって好きなんですが、動楽亭昼席のトリには相応しくないという声もあり(元々トリネタではないように思いますが)、落語の陰の部分を背負った感じが個人的に好きなのかもしれません。本当に笑いが多い噺だと思うのですが、設定がやばすぎて、テレビではまずNGです。「陰」ですら笑い飛ばす落語の世界が好きなんですが。こごろうさんが演じると、背景までちゃんと浮いて見えてくるのがいいですね。池とか、お庭とか、小屋の戸口まで。噺の出来自体は悪くなかったと思うのですが、この日は「こんばんは+すいません=こんません」に全部持って行かれてしまいました。あれ?と一瞬時間が止まったのですが、やっぱりどこか「頑張れ」と見守る空気で、この会ならではの雰囲気を知ったような気がします。


雀喜さん、古典落語を聴くのはまだ二回目という少なさ(^^;)。去年の年末、三色だんごの会で「天狗裁き」を聴いた時、ちょっと緊張しているのかなというような感想を書いてしまったのですが、声の堅さは以前と変わりなく、以前も特段緊張はされていなかったような気がしてきました。私の気のせいだったんですね。「遊山船」は、本当に面白くて、今まで聴いた中で一番好きです。設定そのものは、喜六清八が屋形船のお金持ちにちゃちゃを入れて話すという、他愛もないものなんですが、噺そのものに、何か「えげつない」イメージがありました。お金持ちが芸者さんの懐に手を入れたり、舞妓さんが巻き寿司を食べる顔を見て一杯飲んだり、高価な食べ物を川に投げ捨てて鯉の餌にしてしまったり…etc。それが、雀喜さんが話すと、不思議と「えげつない」感じがしなかったんです。本当に一つの話を純粋に楽しめたので、これは話芸のオーラ効果なんでしょうか。雀喜さんは、可愛らしい噺を良く話しているイメージがあるので、人を傷つけない雰囲気を噺に持っているのかもしれません。以下はメモです。
・南京豆のくだりが飽きさせず面白かった
・舞妓を振り向かすのに「テイ!テイ!テイ!」と言う
・「百円」と聴いた喜六の第一声「ピャッ」
・屋形船を借りるのに「百円」かかるという話題の後、「何であの旦那が金を持っているのか分かった」と、喜六が船を指?差す。船の中では、旦那が芸者の懐に手を入れている。「人の紙入れ(財布)盗ってるからや」。喜六の無邪気さ出ているし、これは良い噺の流れだと思う。大概は、唐突に喜六が「あの旦那、芸者の懐に手を入れとる。おーい、紙入れ盗まれてるぞ」と言う流れだと思う。
・胸を揉む擬音が「ポニョポニョ」。映画?分からないが、楽屋から遅れて笑い声が起こった気がする
・雀三郎師の「遊山船」を聴いていないので、どこがオリジナルか分からないが充分楽しめた


中入り後は、佐ん吉さん。「蛸芝居」はモタレ(トリ前)に出す演目ではありませんが、これがこの会の良いところなのでしょう。この噺は、まだ珍しい方なのでしょうか。お客さんも余りフライングして笑っていなかったように思います。メジャーな噺だと、ちょっとした一言で通い慣れている人たちは大うけしたりするものですが、落語を通い始めたばかりの人たちには付いて行けない雰囲気も出てしまうことがあります。(この後の三枚起請は、フライングした笑い声が多かったですね)。佐ん吉さん、のびのびとした「蛸芝居」でした。めっちゃ男前に見えました。凄いですね。「ぼんぼん、鼻くそ食うか?」は、月末亭で見たときよりも面白かったです。月末亭で見たときは速記の方が面白かった、なんて思ってしまったのですが、間合いを変えたのでしょうか?どう変えたのか全く分かりませんが凄く可笑しかったです。(楽屋でも笑い声があったような)。お芝居には余り縁がない…というお話しをマクラでふっていたように思うのですが、踊りとか、見てて凄い良いなあと思います。私は舞踊や狂言に詳しい訳ではありませんが、噺の中にきっちりと効果的におさまっているなあと思いました。余り上手く見えすぎると妙に浮いてしまって噺を壊してしまいそうになるので。蛸の顔は、月末亭の方が長い事笑っていたように思うのですが、どこか変えたのでしょうか。両手を横に伸ばして、蛸の顔で、高座の右に行ったり、左に行ったりする場面があったように思うのですが(もしかして佐ん吉さんはちゃんと入れていたのに、私が見落としただけなのかも)。そういえば、二日目三日目とフラッシュをたいて佐ん吉さんの高座写真を撮っていた人がいたのですが、これはちょっと気になるので止めて欲しかったです(--;)。誰も注意しなかったんですね…。噺が面白かっただけに一層残念です。


 高座を終えた佐ん吉さんが見台を出していた…ように思うのですが、雀の学校や、あすと寄席(ともに三枚起請を出した会)では見台が出てなかったように思います(うろ覚えですが)。でも、見台を出し入れしている(高座の準備)をしている時から、出囃子って鳴っているんですね。紅雀さんの出囃子を長い事聞くと、緊張してしまいます。。「すちゃらかちゃん」ってけっこうのんびりした曲だと思っていましたが、忙しく感じることもあるんですね。
 今回の「三枚起請」は、何と言っても、改良点がはっきりと分かった所が嬉しかったです。一つ目は、清八が妹に借金を負わせてまで、小輝に貢いでいたという設定に対し、それまでは、清八に対して源やんも喜六も責める言葉が少なかった(無かった?)ように思うのですが、今回は、かなり責める時間が長かったです。「それを言わんといてくれ~!!」と清八が両手で目を覆って言う台詞が可笑しかった。この時、両目を覆う手の肘が見台に付いていて、中々効果的であったように思います。このやり方は、元あった噺に+アルファし、きついイメージを和らげる方法だと思うのですが、清八の話す時間はやっぱり多いように思いますので、もう少しコンパクトに出来ないものか…と思ってしまいます。紅雀さんが演じる清八がちょっと怖いんですね(汗)。生喬さんの「掛け取り」みたいに、怖い(あるいは深刻な)台詞を言っているけれども、それとなく面白いオーラを漂わせて欲しいです。役柄に深く入りすぎているのではないかと思うのです。ただ、改良点(相違点)を見て嬉しく思うのは、噺の問題点を噺家さんが克服しようとはっきりと見てとれるからです。紅雀さんが新たに清八の台詞をくわえたのは、三枚起請の前半における重苦しさ少しでも緩和させたいと思ったからでしょう。これでようやく清八の妹をかばう人が出て来てくれました。
 二つ目は、噺の終盤に、喜六・小輝・源やんが高座に三人出る場面で、三人の見分けが付きにくいという点を見事に変えてくれました。小輝が二枚舌を使う(一枚目は喜六に対して、二枚目は源やんに対して)のですが、二枚舌というのは現実には、一枚目と二枚目は別の場面で使うものです。それが同時に行われているから、噺として面白いし、また時として客が混乱してしまうのでしょう。小輝は、喜六には嘘をつき、源やんには開き直って本当の事を言います。つまり喜六には、その場で「こいつ嘘をついとるな」とはっきり分かる訳です。怒る喜六に対して、小輝は「私を信じて」とアイコンタクトを取ります。この時、私は高座から向かって右手にいたので、小輝の表情はよく見えなかったのですが、よく伝わったので、これは凄いことだなと思いました。ちゃんとした確信は持てないのですが、小輝が源やんと交わす台詞が少なくなったような気がします。喜六と小輝に重点を置いて、アイコンタクトでは制御できなくなった喜六を押さえつけようと、小輝が手をバタバタ動かすところが良かったです。兎に角悪あがきをしているのだな、という雰囲気が良く分かりました。
 紅雀さんは、噺を出す度に少しずつ変えて来るのですが、今回、小輝が初登場した時に、初めて見た時と同じような「お姐さんに対してぶりっ子をしている(女優魂)」が感じられず、本気で源やんと会えるのが嬉しそうに見えました。本命だったのかなあ。茶屋の玄関先にいる小輝が二階に向かって「こちの人」と嬉しそうに呼びかけるのです。小輝がかんざし(?)を触っている何気ない仕草が無くなりましたが、これはちょっと復活させて欲しいですね。それから、“みずや”を開ける仕草は、やっぱりシステムキッチン風に手前に戸を開けていたのですが、みずやってそういうものなんでしょうか。仏壇式に開く戸なんかなあ。この辺は段々どうでも良くなってきました。
 以下はメモです
・お茶屋のお姐さんが良かった。もしかして小輝より美人なのではと思ってしまう(頑張れ小輝)
・サゲ前の小輝の台詞に重複した部分があったが、「最前も言った様に」という言葉が追加されていた
・起請文の設定は、マクラでは説明しなかったが、喜六の「これの端をちぎってお水に浮かべて飲んだらどんな病気でも治るんや」という台詞で説明になっているような気がしてきた。…が昼席では矢張り説明して欲しいように思う。
・後ろの二人連れ?のサラリーマン風の男性が、たまに一言突っ込みを入れていて面白かった。源やんが渋い顔で「そんな台詞も、随分と聞きました」とキセルをすう場面で「上手いな」と言っていた。あと、小輝が喜六の事を「じゃがいもの腐ったような顔」と言った時、めっちゃ受けていたように思う


 三日目はサラリーマンの方が団体で来て、会場が賑わっていました。開場前に、川辺で話し込んでいた団体さんが、会場の前で、列を作ったときは皆驚いて、「これで打ち上げは決定になったなあ」と言う人もいました。
それから、さきさんとご一緒した天神筋橋商店街の「更科」というお蕎麦屋さん(私はカツ丼を食べましたが)に掛けてあった油絵と水彩画が凄く綺麗で感動しました。お店の人に尋ねたら「山野」さんという方が書かれたそうです。油絵は夜道に旅館のような日本家屋が建ってあって、小さな明かりが点いているという絵でした。水彩画は、川辺にある中之島の建物を描いたもので、爽やかな絵でした。

※2011年8月27日に感想を書き終えました

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さすがっ!

モーレツお疲れ様でした。
めっちゃめちゃ楽しかったですよね~(^^)
あの3日間、私はホントに幸せでした。
紅雀さんの「三枚起請」かなりヨカッタですよ!
3日間を通して、初日のこごろうさん「素人浄瑠璃」の次くらいに
紅雀さん「三枚起請」はヨカッタと思います。
それでも湖涼さんは「ダメ出し」だったんですね・・・さすがっ!
私的には2日目の「代書」もヨカッタですが・・・
初日の「がまの油」も結構ヨカッタかも・・・
↑またまた紅雀さんには甘いですか・・・?

さきさんへ

 こんばんは。モーレツお疲れ様でした(^^)
何だか夏のイベントが去った寂しさがありますね。
 「三枚起請」、べにこごの時よりも良かったですか?
さきさん、凄く褒めてたので、メールをもらった時は「嗚呼…(歴史的瞬間を見逃した)」と思いましたよ。個人的には、あすと寄席よりも、終盤三人が出てくる辺りが分かりやすくなって良かったと思います。ダメ出しは、泣いたふりをした小輝が、源やんの顔を盗み見るタイミングが早いと思ったので書きました。雀の学校はベストタイミングでもっと笑いが大きかったように思うのですが…。がまの油にせよ、代書にせよ、もっと上の段階があるのではと思わせてくれるのが紅雀さんの良い所です。^^
 こごろうさんの「素人浄瑠璃」は、雀五郎さんとの二人会の時に一度見たっきりですね。この時はさきさん的にどう思いましたか?過去の感想を見ると、かなり偉そうなことを書いているので、恥ずかしくて隠れてしまいたいくらいです。会心の出来を知らないので、人生損している気持ちです。

雀五郎さんとの二人会

あの日の「素人浄瑠璃」ですね。
私、後ろの方の席だったからイマイチ微妙な表情が見えなかったんですよね・・・。モーレツの「素人浄瑠璃」みたいに歴史的瞬間ではなかったけど、普通に「そうそう、こごろうさんの素人浄瑠璃はコレコレ^^」って感じだったと思います。正直なところ、あの日は雀五郎さんの「阿弥陀池」の方が印象に残っています。「崇徳院」もヨカッタですよね(^^) あれ?全部雀五郎さん?

紅雀さんの「三枚起請」は、べにこごよりヨカッタかな・・・でも両方ヨカッタかも・・・どうしてもどっちか選ぶならモーレツに1票。紅雀さんの3日間のうちもう1回同じ高座を見られるなら、私は「代書」にします。表情豊かで叫んじゃったりする代書屋さんにもう一度会いたいなぁ(^^)

さきさんへ

あの二人会は本当にお客さんが多くて、私も良い席に座れませんでした。確かに雀五郎さんの印象が強かったですね。その頃、雀五郎さんって凄い人なんじゃと思い始めた時だったので、何てタイムリーな会を開いてくれるんだろうと思いました。こごろうさんの素人浄瑠璃も凄い笑った記憶があるのですが、別のネタ(寝床)と比べたらダメだったのかなと思い始めています。

三枚起請は、モーレツとべにこごでは、さきさんの中でかなり拮抗しているんですね。あ~やっぱり後悔。。もう一度見たい高座は私も同じです^^。紅雀さんの「代書」は他の人と大分違って、けっこうインパクトありましたよね。
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