第10回あすと寄席

2011年7月23日(土) 泉大津市(松ノ浜駅前/あすとホール)

桂 弥太郎 「狸賽(たぬさい)」
桂 紅雀  「道具屋」
桂 吉弥  「天狗裁き」
~中入り~
桂 吉弥  「持参金」
桂 紅雀  「三枚起請(きしょう)」


今日は道具屋に一票!吉弥さんは持参金。
弥太郎さんは以前よりも大分良くなっているように感じました。^^


あすと寄席のチケット、
小さい方の半券しか手元に残らないと思い、
(千里山寄席はそうでした)
事前にスキャナーで読み取りました。
そしたら大きい方の半券が手元に残ったという…;

記念に。
第10回あすと寄席チケット(表)
チケット表。お蕎麦屋さんの割引券付きは珍しいと思います。
※チケットの真ん中の折り目は私が付けたものです(財布の中にしまってたので)


第10回あすと寄席チケット(裏)
チケット裏。
地図付き。心配りが嬉しい。いちげんさんでも迷わないように。
あすとホールより蕎麦屋さんの方が目立っているところが面白いです。

もずさんと落語会の前に昼食を取りに蕎麦屋さんに行きました。
かけ蕎麦、さっぱりしてて美味しかったです。^^ お店の雰囲気も落ち着ける感じで。


あすと寄席は、チケットを直接買いに行くか、繋がりにくい電話(2台しかないらしい)をかけるかしないと手に入りません。定員145名だったかな。会場の5分前に、チケットについている整理番号順に並びます。私は、No.123番。でも、右端の割と前の方の席に着けました。

会が始まるお囃子の音、いつもなら前座の曲「石段」が流れるのに、割とポップなメロディ。あれっと思ったら、私服姿の吉弥さんと、紅雀さんが出てきました。まずはお二人でご挨拶+世間話などを。紅雀さん、兄弟子の雀三郎さんと会った時、胸ポケットに、細くて白い筒状のものがあって、iPod(アイポッド)を買った、200席落語が聴けると教わって、さっそく買いに行ったそうです。そしたら、家にパソコンがなくて、友達にデータを入れてもらっているのだとか。吉弥さん、紅雀さんに「(iPodは200席やけど)お前は何席できるねん」と。「それ、嫁にも同じ事を言われました」と(笑)。それから「なでしこ」の話題。お客さん、けっこう年配の人が多くて、夏休みだから子どもも沢山くると思ってたのですが…。うーん。それからあすと寄席のお客さん、割と拍手しないですね。雀の学校の方がお客さん半数以上少ないですが、こっちはもう少し拍手します。あそこは若手を応援したい人が来るから、しっかり拍手するのかも^^;。あすと寄席では、噺家さんが出てくる時は、まばらで、高座を降りるときは、それよりも多く拍手をくれます。つまりヨイショの拍手をしないのです。こっちの方が、噺家さんにとって良いのかもしれませんね。正直な拍手の量というか。紅雀さんがトリで話し終わった後、思ったより長く拍手が続いたので(熱狂的な拍手ではありませんでしたが)、今の一席を気に入ってくれたのかなあと思って嬉しく思いました。


弥太郎さん、5月8日の岡町落語ランド以来。その時も、「狸賽」でした。その時の感想を見ると不満たらたらですね(^^;)。今回は、私の中で彼の評価はかなり高くなりました。底上げした感じです。両手は床に付かず、膝の上に置いたまま仔ダヌキを演じていましたが、目線はしっかりと上向き、表情が随分柔らかく明るくなって、子どもらしい純粋さが出ていたように思います。こんな顔をするようになったんだなあと驚きました。ここで随分私の心を埋めたのか、主人公はもっと博打打ちの目をして欲しいというような、要求は沸いてきませんでした。主人公は純朴な人でもいいんじゃないかなと思ったり。けっこう自然に見れました。「この金は全部わいのもんや~」と言いながら、賭けられたお金を両手でかき込んで手前に寄せる仕草は、あえてしなかったのか、吉弥さんがしないのか分かりませんが、無くても違和感がなかったです。弥太郎さんの演じる主人公の人柄が暗くなるので、しない方が良いのかもしれませんね。ただ賭けられたお金が、どうなったのか一言フォローは欲しいかも。「さあ、はった、はった」とお金を賭けるよう、催促する掛け声があるのですから。たまったお金を横目で見て、こんなに勝ったのは初めてやとか言っても良いんじゃないのかなあと思いました。


お次は紅雀さん。動楽亭で「青菜」を出したときと同じマクラ(ゴーヤ)だったので、青菜かな?と思ったのですが、扇子で仰いでいるお客さんを見て、「暑いですか?」と。冷え性の私がちょうど良いくらいだったので、他のお客さんは暑かったかも(^^;)。そこからお寺で起こったハプニング?の話をしてくれました。これは初耳。お寺は空調設備がない所が多くで、落語をすると照明もあるので大変なことになると。さらにお婆さんの携帯が鳴るわ、通りかかったお祭り(だんじり)の声が近づいてくる、負けじと落語に熱が入る、最後の方は記憶が朦朧として…。というものでした。意外とマクラを持っているのだなあと思いました。「道具屋」は、今月の動楽亭で見た時よりも、さらに良くなっている感じ!気になったのは、おじさんが、甥っ子に仕事を手伝わす冒頭の場面は、以前と同じように、お母さんが泣いていたと云う台詞が無かったので、歳を当てるやり取りや、おじさんの仕事知ってるか、大きな荷物しょって(略)泥棒やろ。というくだりは入れても良かったのでは。急に仕事をする展開になった感じがするので。甥っ子に仕事を任す経緯が少し欲しかったです。「小刀」を買い求める人は、ちょっと怖いお兄さんから、割と普通の人に戻ってました(笑)。「こういうものに限って掘り出し物がある」という台詞もばっちり。子どもとすれ違う場面も、今回はありました。以前は走っていた子どもを避けた感じでしたが、この日は、子どもにぶつかった感じでした。「金魚すくいもある」という台詞が入ってきたので、枝雀さんのようにするのかなとドキっとしましたが、夜店の情景描写の一部だったようでほっとしました。今回の道具屋のテキストは、殆ど完全に近い形だったように思います(子供は走っている方が好きですが)。主人公の隣にお店を出す人が、お客さんを逃がすたびにアドバイスをしてくれるのですが、それが、いちいち裏目に出るという所が明確になってました。動楽亭では気づかなかったです。のこぎりを買いに来た人を「あほ」呼ばわりして、失敗したので、「お目が高い」と褒めなあかんとアドバイス。すると次の掛け軸を買いに来た人が「これは贋作、偽物でしょう」と言うと「お目が高い!正真正銘の偽物です」と(笑)。「にせものを買う人はおらん、正直に商いせな」、で、今度は電気スタンドを買いに来たお客さんに「正直に言いますが、これは(略)塀ごと買わなあきません」。隣の人は「もうごじゃごじゃ喋るから失敗するんや。何でも『へえへえ』言っとき」。小刀を買いに来た人、木刀と知らずに抜こうとする。主人公「抜けません」と正直に言うが、「こういうものに限って掘り出し物がある」と聞かない。で、木刀を引っ張りっこ。お雛様の台詞がツボでした。笛を買いに来た人に主人公、はじめは愛想ないが、買ってくれると分かった途端に表情が明るくなる。元帳を見て「三百円…安いなあ」「三百円でええんか」「何言うねんな、これが元値やで」元帳を引き寄せて怒る仕草が面白い。商売をはじめたばっかりという事がはっきり分かると言うか。「雨漏りがするから…もう家ごと買った方がええな」と。雨漏りの他にもう一つか二つ修理する箇所を言って欲しかったです。下げは「手元を見ております」。隣人のアドバイスが裏目に出る罠(トラップ)がはっきりとし過ぎている感じもするので、もう少し自然な流れになれば、と思ったり。お客さんフライングして笑ってました。でも、こういう荒さが無くなると、らしくないとか言って因縁をつけるのでしょうね…。


お次は吉弥さん。夢の小咄を二つか三つほど(面白かったのですが、天狗裁きの内容がバレてしまうのではと思ってしまいました。でも雀喜さんもそうだったなあ)。筋そのものは単調なだけに、どこで変化をつけるのか難しい噺だと思います。「悋気の独楽」で見たようなヤキモチ焼きのおかみさんが可愛い。「悋気の独楽」は旦那さんが浮気しているから切なくなったけれども、「天狗裁き」のおかみさんのヤキモチは罪が無いように思え、素直に笑えました。裁判沙汰になるというところで「夢かな?」と思ってしまうので、主人公が家賃をためているなど、家主さんが訴えるまで到った自然な流れが欲しい所です。単純なストーリーほど難しい。雀三郎さんはどうしているのだろうと思ってしまいます。お客さんを飽きさせずに聴かせるなんて。おやっと思ったのは、主人公が寝ぼけて唇をタコのように突き出す仕草。これが夢の内容を知りたがる人たちの心を捉えるアイテムになっています。この工夫は雀喜さんではなかったよな…。はじめは、古典らしくない仕草だなあなんて、勝手に思っていたのですが、ちゃんとオチに繋がる素晴らしい工夫だという事が後になって分かりました。噺家さんは古典を意識するよりも、噺そのものに向き合った方が良いんですね。この工夫は将来的によく使われる古典になるのでは、なんて勝手な事を思っています。


中入り後、紅雀さんかなあと思ったら、何と吉弥さんが登場。トリは紅雀さんに!順番ってどうやって決めるんでしょうね。二席ずつ出す事になったあすと寄席スペシャル、ここぞという時は吉弥さんがトリをつとめるものとばかり思っていました。年齢も年季も吉弥さんの方が先輩なので。どちらも数ヶ月の違いですが、落語の世界ってそういうのに厳しそうだなと思っていました。月末亭もめいぷるの会もランダムの出番順で、落語会は完全に年功序列という訳ではないのですが、気心の知れたもの同士でなければランダム式は難しいと思います。トリを譲ってくれた吉弥さんに感謝(>_<)。紅雀さんは独演会や一人会が殆どないので、本当にトリの経験は貴重です。吉弥さんが出したのは「持参金」。生で見るのは初めてなのに、そういう気持ちがしなかったのは、テレビで銀瓶さんの持参金を見ていたからなのかもしれません。銀瓶さんも確か「モタレ」(トリの手前)で出していたような。持参金は生で見るまでずっと大ネタだと思っていました。字面で何となく(^^;)。噺の内容は濃いですが、長くならない噺みたいです。銀瓶さんの「持参金」は、番頭が「20円付けたら、どこぞのアホが女を嫁にもらうやろ」と主人公の前で言ってしまい、そのアホが主人公だと知るや、確か番頭は「目がキラキラして澄んでいる」と主人公を急に褒めて笑いを取っていたように思います。全体的に中堅らしい明るくポップな印象でした。ここは銀瓶さんのオリジナルだったのか、吉弥さんは言いませんでしたが、全体的に地がしっかりした印象で、淡々と噺が進む中にも噺の面白さというのがじわじわと伝わってくる…という誠に私好みの内容。この噺、器量の悪い娘が出てくるので、容姿の悪さで余り笑いを取ると、気分の良いものではありません。ここで意識的に笑いを取ろうという気持ちが見られなかったのが良かったです。テキストだけ読めば、もしかしたら笑いを取っているように見えてしまうのかもしれませんが、つくづく生で見れて良かったなあと思います。6代目松鶴の「貝野村」も生で見れば腹が立たなかったのかもしれませんね。吉弥さんの「持参金」は注文が付けれないくらいの出来でした。(あくまで個人的な感想で、2回目はまた違った思いを抱く可能性が高いです)


トリは紅雀さん。マクラは忘れてしまいました(^^;)。男女のお付き合いというものは、今と昔では大分違う…という事をちらっと言っていたような気がします。起請(きしょう)についても簡単な説明があったように思うのですが、ラブレターとどう違うのか、もう少し神仏に誓った、約束を破れば罰が当たるものという重いものである事を言い添えた方が良かったように思います。「悋気の独楽」で、丁稚の口を割らすために脅しとして「さっきあんたが食べた饅頭に熊野の牛王(ごおう)さん(起請文を書く誓紙)の欠片が入ってたんや。今から嘘ついたら、血吐いて死ぬで」。丁稚はびっくりして本当の事を言います。当時から迷信ではないか(子どもが騙される)という思いを昔の人も抱いていたようですが、「三枚起請」では喜六が起請をもらって浮かれたり、ぞんざいに扱われて怒ったりしますので、その感情の発生源の説明をお客さんにはっきりと示した方が良かったのではないかと思います。こういうきちんとした説明は、紅雀さんが苦手とする感じがしますし、それゆえ力任せに「本題(噺)を聴いて分かれ!」というスタンス(これは私の個人的な印象ですが)は嫌いではないのですが…。特殊な設定をあらかじめお客さんに説明しないと、溝が生まれやすいような気がするのです。
 本題の方は、2回目とあって、分析するような目で紅雀さんを見る自分が嫌になってしまいました(--;)。パーツパーツでしか見ていないような気がするんですね。もっと大らかに自然体で紅雀さんの噺を楽しみたいのですが。源やんが出刃包丁(違う)を振り回す清八を後ろから両腕を回して制止する仕草は、今回は違和感なく見れました。そ~そ~その調子!(プロレス観戦のよう)。1回目よりも、随分台詞の言い回しなどが慣れたのか、あまり言葉につまる場面は無かったように思います。紅雀さんは言葉よりも仕草が優先的に動くから面白いと思うことがあるのですが、今回は逆でしたね。テキストをおさらいしすぎたのでしょうか。言葉に僅かながら体がついていっていない感じがするんです。喜六が茶屋の“みずや”(食べ物を入れる棚)を開けるのに、戸を横にスライドさせずにシステムキッチンの様に、つまんで手前に開けた感じがするのですが(??)気のせいかな。それから小輝が源やんのキセルを叩く場面。少し音が小さく聞こえたのですが、何か遠慮したのかなあと思ったり。小輝が嘘泣きして、手の指の間から、そっと相手の表情を盗み見る瞬間も、フライングしたように感じました。それらは、将来的に改善される感じがするのですが、一番深刻なのは、やはり三人(喜六・小輝・源やん)が同時に話す場面。1回目は舞台に向かって左側で見てました。すると小輝の表情がよく見えたんですね。2回目は舞台に向かって右側に座っていたのですが、喜六を見つめる小輝の表情が分からなくて。この辺りは、小輝が喜六にも源やんにもいい顔をしようとする(この期に及んで悪あがきをする)、これが他のお客さんにも上手く伝わったのか疑問です。喜六と源やんに話しかける声色をもっと変えた方が良いのでしょうか?それじゃ小輝だと分かりづらくなるかもしれませんね。難問です。モーレツ落語会の最終日、舞台に向かって右側に座るべきか左側に座るべきか悩むところです。


※2011年7月30日(土)に感想を書き終わりました

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三枚起請

テレビで千朝さんの三枚起請を見た直後だったので、セリフが千朝さんと似た所があり、千朝さんから教わったのかななんて推測していました。
例えば、落ちの「カラス カーで夜があけなんだら・・・」なんてセリフも同じでした。上方落語メモ(音源・米朝師)では、そんなセリフはありません。個人的には親切な落ちで良いと思います。
私は、爆笑話が得意の紅雀さんがシビアーな話に挑戦する新境地を見た感じで感心したのでした。
大体において湖涼さんは厳しい目で、私は寛大な目で見ていますね。
ヾ(  ̄▽)ゞアハハハ

2回目

 こんにちは。
私は一度、雀の学校で三枚起請を聴いていますので、やっぱり2回目となると1回目で見えてこなかった部分や1回目との違いなどで、妙に厳しい目で見てしまいます(^^;)。1回目の感想はけっこう褒めていますよ(たぶん)。
 シビアーな話に挑戦する新境地~というのは、私も1回目の時に思ったことでした。初心をすっかり忘れています。もずさんのおかげで思い出しました。
 千朝さんから教わったかもしれないと云うのは、貴重な情報ですね。サゲが妙にしっとりして余韻を残したように感じられ、嬉しい思いで「紅雀さんらしくない」と思っていたのですが、千朝さんから教わったかもしれないと聞くとなるほどと思ってしまいます。
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