動楽亭昼席

2011年7月2日(土)動物園前

桂 二乗  「普請ほめ」
桂 まん我 「桑名船」
桂 米左  「一文笛」
桂 紅雀  「青菜」
~中入り~
桂 塩鯛  「近鉄バッファローズの話」(※落語)
桂 雀松  「菊江仏壇(きくえぶったん)」

去年の夏、聴けなかった「青菜」!
楽しませてもらいました(^^)。
もっと面白くなる予感。。


二乗さんの「普請ほめ」、たくさん聴いている人もいるようですが(にこさんとか笑)、
私は初めて!文我さんと、こごろうさんと、紅雀さん、まん我さんの「牛ほめ」なり「普請ほめ」は聴いたことがあるのですが、二乗さんの「普請ほめ」は、違う箇所が幾つもあり、興味深く聞かせてもらいました。師匠の米二さんも同じ型なのでしょうか?
・文我さんの牛ほめ(※おやこ寄席CD)で、主人公がメモを取る始めの言葉は「表は総一面の栂造り」
・二乗さんは「第一は見立てのことなり」
文我さんは「表は…」の一文字目「お」で、くすぐりを入れるのですが、
二乗さんは「第一は…」の一文字目「だ」で、くすぐりを入れていました。
他にも、メモをとる過程で初めて聴いたものが幾つかあったのですが失念してしまいました。でも凄く楽しかったです。それだけ覚えています。それから、文我さんをはじめ枝雀一門の噺家さんは「石灯篭(いしどうろう)」をほめる人が多いように思うのですが、二乗さんは「棗形(なつめがた)の手水鉢(ちょうずばち)」でした。これは林家市楼さんの「普請ほめ」で聴いたっきりだったので、意外に思いました。棗形の手水鉢は、ぱっと言われて想像がしづらいので、石灯篭の方が良いのでは…なんて思っています。「お前そこから庭が見えるんか」という、私の一番好きな所は、微妙にタイミングがずれた感じがしたのですが(あそこはもっと笑いが取れるはず)、主人公のとぼけた感じが本当に可笑しくて、二乗さん凄いなあと思ってしまいました。池田のおじさんが、ちゃんと突っ込んでいるのに、それを無視して?「次ほめに行こか」と下手を指差した時の表情!(><)。あのとぼけ顔の二乗さんは写真を撮りたかったです。若手の時しか高座にかけないネタにするのではなく、得意ネタとしてもっと二乗さんの中で完璧に仕上げていって欲しいなあと思いました。
メモ:紅雀さんの「普請ほめ」は、牛のほめ方を教わる。サゲに牛が出てこないのだからその「仕込み」は不用ではないか…と思ったら、その牛の流れで女の子を泣かすんだった(--;)。二乗さんの「普請ほめ」は牛のほめ方を教わる場面は無かった。女の子が泣く場面もカットされていた。


まん我さんは、お顔に大きな大きな絆創膏?を付けて登場!どうしたん??と思いました。自転車でこけたららしいです(汗)。噺に集中できるかなあと思ったのですが、マクラでの途中から気にならなくなりました。南光さんと京都の南の方で落語会に行くのに、何と南光さんの奥さんが車を運転して、南光さんとまん我さんを会場まで連れて行ってくれたらしいです。マネージャーさんじゃないんですね。その道中、インターチェンジの名前を、どちらかが正しく覚えているのかで夫婦喧嘩になってしまい、まん我さんサンドイッチ状態だったそうです(笑)。噺は「桑名船」。雀の学校で聴いたのですが、ずっと面白くなっていて衝撃でした。言葉を変えず、間合いを少しずつ変えて、自分のカラーに染めていくのだそうです(にこさん談)。どこで一番驚いたかというと、若い浪人が喧嘩腰になる場面。雀の学校で聴いた時は、ヒヤヒヤしたのですが、今回は、一瞬ドキッとしただけで、長く緊張しませんでした。雀の学校で受けた緊張感が嘘のよう(耐性もついたのかな?)。そのドキっとした瞬間が、徐々に余韻を持って緩んでいくのが分かりました。やっぱりちょっとぐらいはドキッとさせないと、噺に入って来れないなあと、雀の学校で聴いた「桑名船」の感想をただひたすら反省。若い浪人と、老侍と、相乗りの客たち、船頭が、雀の学校では、それぞれが上手いなあと思ったのですが、今回でその「それぞれ」がぴったりと噺のピースとしてくっついた感じがしました。若い浪人の演じ方があっさりとコンパクトにそれでいて的確に(と思うのは私の好みでしょうか)なったと思います。まん我さんの高座にただひたすら感服。一つだけ気になったのは「船内は大爆笑」という台詞の後で「客たちは、おおっぴらに笑えないものですから、お腹の中で(ぐふぐふと)皆笑います」と。客たちが大爆笑したイメージ(船がわっと盛り上がる所)を一度打ち消さないといけませんから、ここはちょっとした言葉の言いかえが必要ではないかと思います。


 米左(よねざ)さんは、初めて見る(聴く)噺家さんです。やや面長でハの字の眉がちょっと面白い。普段は眼鏡をかけているのかなと思いました(私も眼鏡をかけているので…)。マクラは、けっこう毒舌でした。「縁を切ってもいいんですけどね」とさらりと言ってしまう。でも、本当に嫌いな人は、マクラにも出さないと思っている私。腐れ縁をぼやいているのだと思いたいです(^^;)。毒舌だけど、本当は良い人なのではないかなと「噺」を聴いて思ってしまいました。マクラは照れ隠しなのかなあ。「一文笛」は苦手な噺です。万引きの疑いをかけられた男の子が可哀想で。その発端を作った男を責める兄貴分の説教も、身にこたえます。でも、米左さんの兄貴分は、そんなに長く男を責めたりしませんでした。だぶん決められた言葉だけを言ったのではないかなと思います。それがあっさりしてて、何とも言えない清々しい感じがしました。男も馬鹿ではないですから、そんなに長くお説教を聞かせなくても、自分のやったことの重大さは分かっているはずです。「お前も分かってると思うけど、これだけは言わせてもらう」(こんな台詞はないと思いますが)、兄貴分の短い台詞に込められた色々な思い(男や貧しい男の子に向けられたもの)にダメージを受けることはありませんでした。ちょっとドキドキしましたが。最後、医者からお金を取るのではなく、冒頭の「煙草入れと財布」を売ったお金で治療費を工面すれば良いのになあと思ってしまいました。冒頭の話は男の作り話なのでしょうか?兄貴分に諭されて改心した男に、新たな罪を作らせるのは、どうなのかなと。将来、男が捕まったら、長屋の人もきっと取り調べを受けてしまいます。医者のお金がなくなったタイミングと長屋の人がお金を用意するタイミングが合い過ぎているからです。ですから、過去に犯した罪で作ったお金の方が、まだ幾らかは安全だと思うのです。金持ちしか相手にしない高い治療費を取る医者だから、お金を取っても構わないという心理が働くのは仕方が無いことかもしれませんが、男が将来どうなるのか考えた時(そして長屋の人まで巻き添えを食うのではないかと考えた時)、もう少しすっきりした終わり方は無いのかなと考えてしまいました。…これは私の噺そのものに対する意見であって、米左さんの噺の世界のイメージは「清もしくは白」です。毒舌なマクラと大分イメージがかけ離れているので、驚きました。オセロみたいな人だなと思いました。


 紅雀さん、「お後の紅雀師匠をお楽しみください」と米左さんのマクラで言われたので、「これはもの凄い皮肉を言われてしまいました」と(ちょっとうろ覚え)。でも、法然院サンガの寄席とか、時々ネットで“紅雀師”と書かれているのを見かけます。お弟子さんはいないけど、師をつけられる年齢なのだなあとしみじみ(米左さんの皮肉が私には全く通じていない笑)。マクラは初めて聞く内容で、最近プチトマトを育て始めたという話。朝お水をあげるけれども、仕事から帰ってきたら暑さで「くたっ」としている。お水を上げたら復活して、それを見ると可愛いと思うし、感情移入して頑張れと思ってしまう…。というものでした。それから、紅雀さんは長屋に住んでいて、お隣さんがゴーヤを育て始めたという話を。ゴーヤの蔓(つる)が屋根を伝って紅雀さんの家に来たという内容でした。初めて聴くマクラにドキドキしましたが、これが庭の場面から始まる「青菜」が始まると知ったときは衝撃でした。紅雀さんのマクラが、噺と上手く繋がるなんて(失礼千万)。いつもはマクラと噺が深くリンクしている感じはしないんです。「庭のあれこれ(個人体験)」から「青菜」は上手く橋をつけたなと思いました。
 紅雀さんの青菜の冒頭は、独演会で見たときと同じく、無音で、植木屋が植木にハサミを入れて、切りすぎた!失敗したという顔をするところから始まります。以前はパントマイムだなと思ったのですが、今回は噺の一部のように感じられ、思ったよりもその場面は短く感じました。「ちょっと切りすぎたので、あとで埋め合わせを」と、旦那さんに正直に告白する台詞も前は無かったように思います。それから「旦那さんはああ言っているけど、きっと自分のためにご馳走を用意してくれたのだろう」という台詞も新たな発見でした。これは植木屋が思うのは勝手だけれども、職人の為だけにご馳走を用意するのは考えにくいですね。酒の相手をして欲しいと言う旦那さんの言葉が本当ではないかと思います。お酒を勧められた植木屋が、他の依頼主への愚痴?を言うタイミングがやや早かったような気がします。もう少し酔ってから言った方が良かったのではないでしょうか。それから、植木屋が意外とご馳走を口にしていない所が気になりました。お酒は呑むのですが、鯉のあらいは、お醤油をつけずに、食べにくそうに飲み込み、醤油、わさびをつけたらどうだと言われて、わさび(小さなソテツ笑)を、小山ごと食べてしまいます。辛い~~!という顔をして、お酒を何度も呑んで、口の中のわさびの匂いを消そうとして、お酒を何度もおかわりする所が可笑しい。「鼻がどっか飛んで行ったかと思った」と(笑)。それから青菜。これは切らしていて食べてません。結局、植木屋は、お醤油とわさびを適量つけた美味しい鯉のあらいを食べていないのです。お酒→素の鯉のあらい(二口)→わさび→お酒たくさん。植木屋にご馳走を食べて欲しかったなあと思います。紅雀さんは食事の場面が上手いように思うので、ちょっと勿体無いなあと思いました。あと、醤油をムラサキと言いませんでしたね(細かい)。後半に出てくる植木屋の奥さんが、以前より“へちゃ”な感じがしなくなりました。これは、きっと紅雀さんがご自身の奥さんを少しずつ重ねていっているからなのかなと思います。(本当の奥さんは、きっとお尻をむき出して湿布貼ってくれとは言わないと思うのですが^^;)。創作の奥さんではなく、ちょっとしたリアリティが伴いつつあるので(と勝手に思っている私)、これからどうなるのか、将来が楽しみです。それから、友達の大工・留(とめ)が、主人公につっこむ時、必ず「しばいたろか」と言う所が可笑しかったです。しばいたろかは、大阪人にとっては、割と恐怖の記憶と繋がっている事が多いので(男子の喧嘩とか)、こんなに笑えるなんてと驚きました。最後に、「青菜」の主人公が、旦那さんの真似をする場面で、以前は、全く旦那さんになり切ってしまい、旦那さんと主人公の見分けがつかなくなってしまったのが惜しいと感想に書いたのですが、今回は、「旦那さんになり切った主人公」とちゃんと見分けがつくようになりました。それが凄く嬉しかったです。サゲは「弁慶~!」と叫ぶまで行きませんでした。照れくさそうに弁慶と言うのでもなく、両目をつぶって(観念したという表情に近い)「弁慶」と。どうやら私の記憶違いみたいです(苦笑)


 中入り後、近鉄バファローズの派手な羽織を着て塩鯛さん登場。家紋が入る両胸に牛のマーク。背中に大きなバファローズのイラストが。冗談で社長さん(専務さん?)の前で、近鉄のファンだから羽織を作って欲しいとお願いしたところ、その人が帰ってから、近鉄百貨店の着物売り場の店員さんが塩鯛さんを訪れて、採寸されて帰ったそうです。しばらくして届いたのがこの羽織。球団も無くなり着る機会が無いと思っていたところ、たまたま先日の動楽亭昼席で近鉄バファローズのファン話をして、「明日は落語をしますので」と帰ったそうなのですが…。皆さん、“近鉄バファローズの”落語をするとは思わなかったのでしょうか?「昨日、動楽亭昼席に来てくれた人」と塩鯛さんがお客さんに挙手を求めると、たった一人(^^;)にこさんだけでした。近鉄バファローズの落語は、世間話の延長線上にあるような、聴いていて心地よいものでした。甚平さんがバファローズの応援歌を作ったと主人公に自慢します。どんな歌なのか聴いてみると、替え歌を繋いだものばかり(笑)。古い歌謡曲のフレーズが幾つか出てきたのですが、矢継ぎ早に出てくるので、はっきりと分からず(><)くやしい。合い間合い間で、甚平さんが、主人公に「怒ってる?」と訊くところがすごくキュートでした。寄席のふわっとした良い雰囲気を作ってくれました。


 ふわっとした雰囲気が一転したのは雀松さんの「菊江仏壇」に入ってから。ジェットコースターで真っ逆さまです(失礼千万)。どの登場人物にも感情移入できなくて、噺に入っていけませんでした(ToT)。好みもあるんでしょうね…。雀松さんの「菊江仏壇」良かった~!と書いている感想ブログをいくつか見たので、十人十色の感想とはまさにこの事。噺の中の「お家」が若旦那の代で潰れる予感がひしひしとするんです。東京の「山崎屋」(筋は大分違いますが)を本で読んだ時と同じくらい、落ち込んでしまいました。私の友人が、何もお花さんが亡くなる当日の出来事にしなくても、四十九日前の出来事にしてはダメなのかなあと言っていましたが、200人以上も上方の噺家さんがいるのだから、一人くらい、若旦那の設定を柔らかく変えてくれないかなあと思っています。若旦那の気持ちが全く分からないんですね。お花に未練があるのか、ないのか。無いように見えてあるんじゃないかと思ってしまう。無いならないで、お花を捨てたその代償を噺のどこかに埋め込んで欲しいです。こんなに悪い事をしても「せがれをきっと改心させてみせる」と言ってしまう親父さんが憎い。誰がどう見ても勘当ものです(お花も気が弱すぎると思いますが)(子どもを産んで死んだとかそういう設定はダメなのだろうか)。結局、彼女が死んでも何も変らない。それが凄く残酷だなあと思います。オチは凄く私好みなので、惜しいところです。


会が終わってから、にこさんと天王寺駅の中にある喫茶店で落語の話を。
というか、それにまつわる世間話っぽい感じの内容で(笑)。
みんなそれぞれ生きているんだなあと思いました。色んな世界があるんだなあと。
久しぶりにお話できて楽しかったです。


※2011年7月17日(日)に感想を書き終わりました。

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演目

青菜でしたか。彼の青菜は聞いた事ないので、一度聞きたいものですな。
今年は聞けるような予感もあったりして。うふふ。
1日は私の代理(?)で、参加して頂いたにこさまの情報では、餅屋問答だったそうで、これも聞いた事はないんですよね。案外聞いた事ない演目多いですね。
田辺は、演目は「がまの油」と「くっしゃみ」だそうですね。
これは参加するかどうかは、まだ未定です。

RE:演目

 紅雀さんの青菜はとってもおススメです。独演会で衝撃を受けた噺なので余計に思い入れがあるのかもしれません。餅屋問答は、私が以前見た違和感を感じさせるような内容を、にこさんも感想に綴っていたので、ちょっと残念ですね。もずさんにも一度見てもらって感想を聞いてみたいです。
 田辺寄席の演目、情報が追加されていたんですね。HPを見に行ったらびっくりしました。さっそく紅雀さんメモを更新します(^^)ありがとうございました。

昨夜は・・・

いつまでも話が尽きず、どうもでした<(_ _)>
先ほど9月のめいぷるの演目が発表されているのを発見しました。

http://event.minoh-bunka.com/article/46497972.html

紅雀さんは「替り目」になってます~♪

こちらこそ

久しぶりに落語の話しを思う存分できました。
中々機会がないので、つい長くなってしまいますね。^^;

めいぷるの情報、もう出てたんですね(吃驚)。
次回更新時には是非、情報を追加させてもらいます。
いつもありがとうございます~
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