桂 千朝さんの崇徳院

2011年6月4日(土)梅田・太融寺

第65回 千朝落語を聴く会の感想から、
トリの演目「崇徳院」の感想を、詳しく述べています。

マクラを部分をのけて、
感想を継ぎ足した形になっています。
継ぎ足した部分は、箇条書きにした所からです。


 マクラはあっさり終わって、本題「崇徳院」へ。見台ありで、サゲは「一対の夫婦ができました」。サゲ以外は、殆ど米朝さんの崇徳院テキストですが、仕草が「佐々木裁き」のサンゾウを思わせるコミカルな動きを見せたりと、千朝さんの「古典派」のイメージをやや覆す内容でした。ご本人は元々そういう意識は持っていないのかもしれませんね。暮れ方、熊五郎が母屋に帰ってきて、旦那さんが喜ぶ場面では「オーーーッ熊さん!」と、拳を握り締めて、顔はオーの形に縦長になってました(笑)。旦さんの余りの喜びぶりにお客さんも大笑い。それから、熊さんが出かける直前、お上さんに「日本人なら分かるはずや、今は縦横十文字に道が引いたある、大阪で分からなかったら京都、京都で分からなんだら名古屋…(略)」と無茶を言われて、旦さんと同じように言うな、と熊はん、勢い余ってお上さんの頭?をパンと叩いて出かけてしまいました。お上さんをはたいてしまう熊さんを見たのは初めてです。お客さんも驚きつつ笑っていました。それから、熊さんが一軒目の床屋で、お嬢さんの父親と思しき客に、「年のころなら、十七、八?」と聞いたところ、まだ「六つです(七つだったかな?)」という返事に、熊さん、「やれやれ」という両手を肩近くまで上げて、肩をすくめるというアメリカ人のジェスチャーをしました。この場面は、熊五郎が遠い目をして「せをはやみ~」と歌うところですが、こういう工夫は初めて見ましたし、変な違和感も覚えなくて、何かとても貴重な一瞬を見たような気がしました。
・熊五郎は、料紙を出せという台詞を「良助出え」と勘違いする。これは米朝さんのやり方
・どこのお人か分からんと言うたかて、“人間”やろ?という旦さんの台詞。
 米朝さんは「日本人」、小米朝さんは「この世の人」。う~ん、この世の人の方がいいかな
・熊のお上さん「荒物屋の店先やないの」。
 大概は、荒物屋の化け物やないの、と言うけれども、千朝さんは違った。個人的にはこちらの方が良いと思います。インパクトは無いかもしれないけれども、荒物屋さんに失礼だから。噺家さんの演じるお上さんのタイプにもよるのかもしれません。ちょっと口の悪いタイプだとしたら、似合わないですし。
・お嬢さんの字を褒めて旦那さん「綺麗な筆跡やないか」
 ここは、米朝さん同様「綺麗な手ェやないか」と言って欲しかった。でも、今時は通じないのかも(;;)
・旦那さん、「お櫃持ってきなさい」と使用人に言うとき、「上手(客席から見ると右側)」に顔を向けている(?)。上手の舞台奥といった感じ。使用人に話しかけるのは通常「下手(客席から見ると左側)」。枝雀さんもちゃんと下手を向いていた。ところが、わたしは、旦那が上手を向いて「お櫃持ってきなさい」という場面の方が見慣れている。たぶん米二さんも紅雀さんもそうだったように思う。落語のルールに沿わないので何か事情があるのだろうか。熊五郎がすでに下手にいるので、使用人に向ってまた下手を向くのは被るから?
 ・「三百円!」右手で人差し指と親指で輪を作り、手の甲を客席側に見せる。お金という意味ではなく、残りの3本指を見せて、三百円と表現しているのだと思う。ちなみに、米朝さんは左手で「親指・人差し指・小指」を立てていた。枝雀さんも左手だが、千朝さんと同じ手の仕草。通常は右手でするものなんだろうか。
・熊のお上さん、熊さんに同情を寄せる場面は、割とあっさりと。米朝さんもそう。若手になればなる程、わりとねばっこく演出する。「世間の人は冷たいなあ、あんたが声を枯らして探しているのに」と云う台詞が入るため。この台詞が無いのなら、米朝さんや千朝さんのように、同情する場面はあっさり演じた方が良い。「ところで、あんたどうやってお嬢さんを探しているんや」と訊きやすいので。枝雀さんは、深く同情を寄せたばかりに「ところで…」という話題の転換部分でツギハギを感じさせてしまうことになった。
・熊のお上さん「生涯、頭の上がる見込みなし!」と怒り出す。小米朝さんもそう。「出世の見込みが無い」よりもややぼやけた言い方。熊五郎の歳から出世するというのも、ちょっと違和感があったので、「頭の上がる見込み無し」の方が良いように思う。頭が上がるというのは、世間や相手に対して顔向けできるという意味合いも含まれるような気がする。
・「脈が早くなってきた」と熊五郎がぼやく台詞。米朝さんや枝雀さんには無い。何となく、米朝一門以外から入ってきた台詞の様に感じる。故・3代目文我(2代目春團治門下)が言っていた。
・「せを~」と、顔を上手の方へ向けて言い、正面に向って「はやみ、いわにせかるるたきかわの」と言う。(正面を向くタイミングはうろ覚えです、すみません)。歌い始める時に、お客さんと目を合わさないようにしているように思えたので、少し照れくさいのかなあと。熊五郎がそうなのか千朝さんがそうなのか分かりません。
・髭を剃りすぎてヒリヒリしている熊五郎。「そろそろ植えてもらおうかと」。この台詞は、元は熊五郎が床屋の亭主に言う台詞だった。ところが、千朝さん小米朝さんは、熊五郎が、お嬢さん側の棟梁風の男に、順番を譲る場面で言っている。床屋の亭主に言っても反応が薄いので(ただし生喬さんは「それは別の店に行ってもらわんと」と亭主が言う)、台詞を入れる箇所をずらしたのだろうか。ちなみに棟梁風の男は、その台詞を言われて「変った人やなあ」というような事を言っていた。
・キセルは落さない。気合を入れてパンパンパンと多めにはたいていた(笑)。落さないという点では米朝さんと一緒。枝雀さんは、手が震えて落すというよりは、無意識に落としているように感じる。米二さんは手が震えて落としていたように思う(うろ覚え)。紅雀さんもそう。
・「花咲く春の心地して」とは言わない。「親の仇尋常に勝負」と言う。米朝さんの言い方。米二さんも確か「親の仇~」だったように思う。枝雀さんは芝居の台詞無し。ずっと叫んでいる。雀三郎さんは「花咲く春の心地して」と言う。意外なことに小米朝さんも。紅雀さんもそう。
・「一対の夫婦が出来ました」がサゲ。最近は、割れても末に~とサゲを言う人の方が少ない感じ。私はダジャレが好きなので、割れるサゲでも良いと思うのですが。

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