get's 待っツ 動楽亭

2011年5月31日(火)動物園前

桂 ひろば 「ろくろ首」
桂 吉の丞 「稲荷俥」
桂 吉弥  「質屋蔵」
~中入り~
桂 紅雀  「のぞき穴」(紅雀さんが作った新作落語…というより小咄?)
桂 佐ん吉 「蛸芝居」


吉の丞さんと佐ん吉さんのお噺がとっても面白かったです。
紅雀さん、ちょっと不思議なお話でした。今日作ったらしいです。
 次回の月末亭は、6月24日(金)です。
だんだん、お客さんが増えてきているように思います^^


 ひろばさん、ネタの練習をしていると、どうしても間違えてしまう(別のネタの内容に入ってしまう)というマクラでした。ええと、何のネタだったのか思い出せません(汗)、「???」がいつの間にか「阿弥陀池」になると言ってたような。「ろくろ首」は、前半、話すテンポが早くて付いて行けず…(TоT)。あと、0.5秒でもゆっくり話してくれたらなあと。「子ほめ」も「崇徳院」でもそうでした…。Aの台詞とBの台詞の合い間に、相手が言ったことに対する何らかの反応(視線や仕草など)が薄いというか、これは紅雀さんの「牛ほめ」と同じです。台詞ばかりが先行して、ちゃんとAやBになり切れていない、これはとても難しい問題だと思います。でも、難攻不落という訳でもないと思うんですよ。「狸の化け寺」とか「テレスコ」とか「皿屋敷」とか、ちゃんと登場人物がはまっているように見えました。噺の相性もあるのかもしれませんが、もっとひろばさんが生き生きとするテンポでやって欲しかったです。噺の中盤から、やっと気持ちが入りました。猫がこよりを引っ張る場面で「なかなかさようごもっとも…」と主人公が早口で言ってしまう場面。これは流石だなと思いました。ひょっとして紅雀さんより上手いのでは(また余計なことを…)。それから、首がにゅ~と伸びる場面、主人公が恐怖する声や表情にはっとさせられ、ひろばさんは怪談物と相性が良いのかなと思いました。


 吉の丞さん、以前と同じく、ひろばさんのマクラに喰い付きます。「ひろば兄さんは良いですよ、練習中に間違うんですから」。本番で、「子ほめ」と「米揚いかき」の内容が混ざってしまった話を少し。間違った瞬間の再現までされたというのは、余程くやしかったのでしょうか。それとももう一度間違うのが怖いのでしょうか。それから、米朝師匠が高座で間違ったマクラを言ってしまったという話を。これ、6月4日の千朝さんも同じ事を言ってました(笑)。有名なのでしょうか。「高津さん」と「高倉さん」の言い間違いです。お客さんがポカンともせず笑っていたという所まで一緒でした。本題の「稲荷俥」は、びっくりするくらい面白かったです。神秘的な紳士と、狐に弱い車夫を綺麗に演じ分けていたように思います。声のトーンは余り変らないのに、不思議ですね。兎に角、狐に怯える俥引きの梅吉が可愛くて仕方が無かったです。人力車に雨よけのシート?のような部分があるのですが、それを頭からかぶって、やり過ごそうとする仕草とか。率直に言うと萌えに近い感情です。「天神山」でも2人の主人公にタイプが違うのにきゅんと来てしまったので、これは何でしょうか。少年の気持ちが残ったまま成長してしまった登場人物(男)に弱いのかな。歳を重ねても純な気持ちを表現できる噺家さんでい続けて欲しいです。ちょっと残念だったのは、梅吉のお上さんの台詞の語尾が「~し」と重なってしまったことで、少し違和感を感じました。(お上さん自身は「俥はうちが家になおしとくから…」と云う台詞に優しいなあとじーんと来てしまったのですが)。最後まで噺がだれなかったのは、もしかして、三味線(お囃子)が入って噺の雰囲気が盛り上がったからでは、なんて。それでも、最後に出てきた紳士の気恥ずかしそうな顔が良かったです。


 吉弥さん、マクラがうろ覚えで(^^;)、阪神が弱いですねと言ったような?それから覚えているのは、昔の質屋さんの仕組みを。昔の人はお金が無くて困ったとき、身の周りにある家のものを質屋さんに持って行って、それを換金してもらったそうです。今のリサイクルショップと違うのは、質に品を入れても、完全に質屋さんのものにならないことです。預かってもらっている状態。3ヶ月?に一度、預かり賃(利息分)を払うと、継続してお店に保管してくれますが、払わないと「質流れ」といって、お店のものになってしまいます。昔の噺家さんは貧乏で、質屋さんと顔なじみだったそう。着物を質に入れて保管してもらったり(自分の家に置くよりも手入れの手間が省けるからだとか)、噺を質に入れたり(これは伝説の人だけですね)。本題は「質屋芝居」かなと思いましたが(一度も聴いたことが無いので)、「質屋蔵」。熊五郎が出てくる話です。どきどき。吉弥さんの熊五郎、喧嘩も強そうじゃないですね(笑)。お調子者っぽい感じ。これは枝雀さんもそんなイメージです。喧嘩が強そうだなとときめいたのは今のところ米二さんくらい。「へっつい幽霊」の熊五郎と違って、お調子者の割合が高い性格です。母屋から拝借した上等のお酒を飲んで「うわわ・わ・わ」と舌鼓を打つ熊五郎が面白かったです。いつも飲んでいるお酒に戻った途端に「いやいやいや」(笑)。表情(首)が3段落ちみたいに変るんです。他にももっと吉弥さんのカラーを出してくれたらなあと思いました。熊五郎が、喧嘩の話と勘違いして、羽織をばっと脱いだ後、「喧嘩の話でない、お化けが出る蔵に行って確かめる話」だと分かった瞬間の、脱力した表情!ここでもう一押し羽織をわざとらしく着てくれたらなあなんて思ってしまいました。質屋の主人が三番蔵を覗く仕草がとても綺麗で流石だなあと。定吉はちょっと枝雀さんっぽかったかな。半泣きまでいった感じ。台詞を所々少しカットされたように感じましたが、じっくり聴かせてくれても良いのでは。


フリートークは、なにわクルーズの話が主でした。あと、ひろばさんの「松竹座?で勝手にお風呂を使っちゃったよ事件」も(笑)。クルーズに乗ったことの無いのは、紅雀さんだけで「僕もいっぺんやってみたい」と。そしたら皆驚いてました。「意外や、そういうの厭やと思ってた」と吉弥さん。酔っ払いの相手もしないといけないので、けっこう大変なのだとか。紅雀さんが船に乗ったら、私も乗りに行きたいです(でも遠くで見つめるだけ>よけい不気味やん)。フリートークは、クルーズに遅刻したと云うひろばさんの話を皮切りに、お風呂事件までほぼ、ひろばさんが主役でした。大爆笑のフリートークで、お風呂事件は、去年の7月の「ひろばをしごく会」でも出た話でしたが、これからお話される機会があるかもしれないので、ちょっとここでは伏せておきますね。私がここで書いても面白くないので(^^;)


 紅雀さん、マクラは割りとあっさりと。内容はうろ覚えです(汗)。政府が税金を、電力会社が電気代を値上げするのは許せないとかそういう内容だったような?そこから、やや強引に噺を始めたので(急に見台の上の小拍子をパチリと打った)、お客さん、ちょっとびっくりしてました。もの凄く酔っている主人公が出てきて(親子酒かと思った)、隣の奥さんと、お酒を呑んでいます。どうも浮気っぽい。そこへ隣の亭主が入ってきて、主人公を棒?か何かで叩きます。うわ~っ!と、主人公がそこで目を覚まします。凄い夢みたなあ、と。思ったところ、壁に穴を見つけます。どうも人工的に掘ったような…。隣の家の中がはっきりと見える。なのに、自分の奥さんがいて、隣の亭主といちゃつきだす。主人公「はい、その辺で止めようか」と壁の穴を覗きながら何回も独り言。すると、壁の向こうの奥さんが急に泣き出して、隣の亭主から離れる。奥さんの傍には「誰か」が寝ていて、どうやら、死んでいる様子。それが誰か主人公が知った瞬間、おしまい。落ち噺では、ありません。小咄(こばなし)と呼べるかどうかもちょっと分かりません。ショートショートかな?不思議な話はこの世にたくさんありますが、大概は理由がついてます。それか、始めと終わりがちゃんと磁石の様にくっつきます。紅雀さんは「これからどうなるんだろう?」という所で噺が終わったので(どうも続きは無い感じ)、「のぞき穴」は絶対に見えるはずの無いもの=見ない方がよいものを見てしまう主人の悲劇がメインテーマなのかなと思います。割とコミカルに演じてくれたので、そんなに重々しい感じはしませんでした。穴は小さくて向こうが良く見えないので、頑張ってのぞこうとする主人公が可笑しかったです。冒頭、紅雀さんには珍しく?浮気の場面。奥さんの台詞は直接ないけれども、もう少し「二人はいけない事をしているんだぞ」というのが伝わる言いまわしが欲しかったです。


 佐ん吉さん、紅雀兄さんは、今日作った話やと言うてますが、楽屋でローマ字にしたネタ帳のようなものをこう(手帳をめくる仕草)、見ていたので、ホンマに今日作ったかどうか怪しいですね、と。「えっ、そうなん?」と思った途端、「…あ、みなさん嘘ですよ」と。佐ん吉さんの嘘は、嘘かどうか分かりづらいのでアセります^^;。肝心のマクラは忘れてしまいました(汗)。そんなに沢山話していなかったように思います。本題は「蛸芝居」。まさかまさかの蛸芝居でした。月末亭に行く数日前に、「ベテランさんが手がけそうな珍しいネタ」は普段聴く機会が無さそうなので「上方落語メモ」で、蛸芝居の速記を読んでしまったところだったんです。こんな事なら読むんじゃなかった~。面白さが半減してしまいそう…と思いきや、充分楽しませてもらいました。速記では、芝居の仕草が見えませんから、こんなに激しく動き回る噺だったなんてと驚きました。丁稚さんから家の主(旦那)まで皆芝居好きというありえない設定の噺です。「うちは化物屋敷や~」なんて云う旦那さんのぼやく台詞は「七段目」にもありましたね。朝、丁稚さんを起す旦那さんが狂言を始めてしまいます。丁稚さんも、外の掃き仕事をしながら二人で芝居を始めてしまいます。肩を組んで花道(路地)を行く姿が可愛くて。坊(ぼん)のお守りをする時は、本当に赤ちゃんを抱いているようでびっくりしました。袖が赤ちゃんの体重で少し膨らんでいるように見えたのですが、どうしているのでしょうか?「…はなくそ食うか?」だけはテキストの方が面白かったです。もう少し悪戯顔で言った方が良かったのかな?芝居好きの魚屋さんがやってきて、井戸端で鯛をさばく場面、腸(わた)を取る時に、血が手について、魚屋さん手をじっと見る。ここでフライングして笑ってしまいました(ごめんなさい)。あの場面を思い出すと言って、芝居を始めてしまうのです。何を見ても芝居に入ってしまうんですね。初めて見たのは、扇子を広げて逆さまにした状態を「伏せたすり鉢」に見立てる所です。佐ん吉さんの手つきが鮮やかで綺麗だなあと思いました。それからクライマックスの蛸が出てくる場面!たこの口をした佐ん吉さんが両腕を捻るような踊りをして、もの凄く笑ってしまいました。お囃子がふんだんに入っていて賑やかでしたね。酢を買って帰って来た定吉が、息を切らして「なんでわい、酢を買ってきただけで、こんなに息切れてんのやろ」というような台詞が入って可笑しかったです。演者さんはさっきまで蛸と旦那さんの死闘を演じていたので、場面が変っても急に息が整いません(ベテランさんは違うのかな?)。それを上手く笑いに転換させました。本当に大満足の一席で、これからどんな蛸芝居を見ても、佐ん吉さんのと比べてしまうと思います。それが技術的に勝っていても、この日以上の感銘は得にくいのではないかと思うほどです。

※2011年6月12日に感想を書き終えました

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こんばんは

このメンバーやもん、お客さんは増えて当然やと思います。
トークコーナーも面白いらしいし。
7月は1、2日の昼席に紅雀さんもまん我さんも出はるんやけど、私は2日だけ行くことになると思います。
1日のメンバーも魅力的やな~(って雀々さんと雀松さんが入れ替わってるだけやん)!
「稲荷俥」っちゅう噺、聴いた事おへん。。。

にこさんへ

 こんばんは!
この会、はじめは月末開催にこだわり、メンバーが欠けても強行していたので、お客さんの数もけっこう不安定な時期があったんですよ。今ではメンバーが揃う日に開いているようです。

 7月2日は、珍しくめいぷるでも、雀の学校でもない日に、にこさんとご一緒出来るかもしれませんね(^^)。「稲荷俥」はちょっと珍しい噺なんでしょうか。吉の丞さんの梅吉がとっても可愛かったです。
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