紅雀さんの崇徳院

枝雀さんの崇徳院の感想が、
紅雀さんの崇徳院の感想よりも長くなってしまい、
これは不公平ではないかと思いましたので、
改めて、感想を書き足します。

4月のget"s 待っツ 動楽亭の感想から、
紅雀さんのものだけ抜き出して付け加えました。



 紅雀さん、マクラは、珍しく穏やかな雰囲気で。葉桜の季節になりまして、春ですね~と。昔は地下鉄でもあちこち春でした(?)。夫婦には夫婦の喜びがありますが、今日は一つ前の恋のお話をと。
・噺の冒頭は、師匠の枝雀さんのものより、やや古典回帰。(CD版から見たら古典回帰だが、DVDから見ればそうでもない)。ちゃんと若旦那が出てくる。ただ、時間の関係か、熊五郎が若旦那が死んだと勘違いする場面はなかった。
・熊五郎と若旦那のやり取りが面白い。「あそこの羊羹、美味いんや(決めポーズ付き)」とか「この髭面がお嬢さんの顔に見える?はい、病気です!」とか(笑)。
・天井のしみがお嬢さんの顔に見える、欄間の天人さんがお嬢さんの顔に見える、しょ~きさんに踏まれている鬼もお嬢さんの顔…という所で、紅雀さんが崇徳院を話していると実感して泣きそうになった。
・熊五郎が若旦那を励ましながら奥の離れから出てくる時、「鰻でも食べて元気出しなはれ」若旦那と自分の分、二人前注文しときますから、と。優しいけどあざとい(笑)。ここで鰻出したら、後でどうするのかなあと思ったが、大旦那が熊五郎を労う場面ではちゃんと「お寿司」になっていた。
・お嬢さん、若旦那とこのまま別れたくないので、手がかりを残したくてわざと茶袱紗を落とした?「気が残ってた」という台詞だったように思う。これは「わざと」とは言えないかも(汗)。「このまま別れるのは余りに惜しいので、せめて手がかりをと、歌を書いて残した」とメモにあり。上方のお嬢さんは兎に角、個性が薄いので、何かしら色づけしてもらいたい所だが、紅雀さんのお嬢さんの描き方はちゃんと血が通っている感じがして良かった。
・若旦那が弱っている所為か、声が小さくこの噺のキーワードである歌が聞き取りにくかった。大事なところなので聞き手に歌を印象付けさせ、覚えさせたいところ。二回言うとか、泣きながら歌の文句を言うとか。
・石川や~の歌のところは面白かった。「さしすせそ、しゃししゅしぇしょ」とも言っていた。
・「緋塩瀬の茶袱紗」と言えない熊五郎。納得。彼の日常生活には全く出てこない、本当に言いなれない言葉だと思う。これは枝雀さんでもそうだった。師匠は少ししつこいくらい繰り返していたが、紅雀さんはそうでもなかった。間が持たないのかもしれないが。
・お櫃+ワラジ3足+ワラジ10足…熊五郎の持ち物
・旦那さん、褒美を言い忘れた?熊五郎にお櫃とワラジを持たせてから言った。お櫃とワラジのところでもっと笑いをとって欲しいと思ったが、これが原因か
・「欲と二人連れ」が聞き取りにくかった。次回は必ず修正してくると思う。
・どうしても相手が見つからない熊五郎に対して、奥さんが「仕方が無い」と声をかける。「あんたが大声出して一生懸命探しているのに見つからんなんて」と。ここは台詞が微妙に違うが生喬さんと一緒。40代(中堅)の噺家さんが使う言い回しなのか?今までの熊五郎の奥さんは、ここで急に態度を変え「毎日いったいどんなこと言ぅて道歩いてなはったんや?」と聞き出すので違和感があったが、こちらの方が自然。
・奥さんのアドバイスする場面がやや忙しく感じた。重要な事を言っているので大切にしてほしい
・路地に入って「せをはやみ~」の練習。もう少し恥らって欲しかったが、枝雀さんは練習する場面そのものがない(CD版では無いが、DVD版には存在する)
・「イワシ屋はん」ではなく「オカズ屋はん」と声をかけられる。子ども、犬が出てくる。
・一軒目の床屋にて、熊「おたく空いてますか、つかえてますか?」、亭主「今ちょうど誰もおらんとこです」、熊「さいなら」、亭「ちょっと~空いてますんやけど」、熊「何で店のオヤジと差し向かいで(五指を軽く折った両手をつき合わす)せをはやみ~歌わなあかんねん」。面白かったけど、混んでいるお店を探していると一言強調しても良かったのでは?床屋のおやっさんが情報通やったらどないすんのやろと思った。
・床屋に行き過ぎて「眉毛も無くなった」。声がかすれてよれよれの熊五郎が可笑しい。お坊さんと勘違いされる熊五郎(これは枝雀さんでもあり)
・棟梁風の男が入ってきたとき、急いでいるので、床屋に並んで待っている客の順番を変ってもらうと頼む場面があり、「よっさん」と「まんさん」が知人のようだった。よっさんに対しては「あれをそれして何してもらうから」と頭を下げて言い、「まんさん」の時だけ態度が大きくなった。「お前は今髭をそらいでもええやん、朝剃っても夜にはボーっと生えて来るんやから。(※噺の中では、夕方の時分なので、朝と夜が逆転している。聞き間違いか?「夜剃っても、朝ボーっと生えてくるんやから」)。まんさんは、まん我さんのことかなと思った。よっさんと態度が違いすぎてちょっとびっくりしたので、もう少し優しく言って欲しい。
・棟梁風の男、お嬢さんが死にかけているのに、「歌のやり取りをしてお互いが心を通わせたと聞いてほっこりしたなあ」と言う台詞があった。やっぱり自分らと(住んでいる世界が)違うとか、感心したとかなら分かるけど、「ほっこりした」って言ったらまだ問題解決してないのにと思ってしまう。言いたいことは何となく分かるので、もう少し言い換えて欲しい
・熊五郎の周囲の客たちをかき分ける仕草が凄い。スローモーション?で、狐の踊りのようだった。棟梁風の男は別の踊り(違う)をして熊五郎に近づく。こういう演出は初めて見た。紅雀さんのオリジナルだろうか。確かに、捜し求めていた人物に熊五郎が出会う場面は、キセルを落として「コラ」と掴みかかると、あっという間に終わってしまう。「やっとここまで辿りついた」という表現を入れて成功しているし、充分面白い。周囲にいる客の声が聞こえなくなる(客が口ぱくの仕草をする)という演出とは、また違ったやり方。
・「(略)花咲く春の心地して」
 芝居の台詞は、5代目松鶴型。米朝型ではない。松鶴の方が言葉の響きが良いのでこちらを取ったのだろうか。確かに、仇討ちの台詞らしくない(客は何の台詞か分からない)と思うが、それは棟梁風の男が「仇討ちのようにぬかすな」とお客さんに教えるので、別に良い様に思う。個人的にはこれからも松鶴型で行ってもらいたい

・いがみ合っているうちに亭主が仲裁に。鏡は割れず(たぶん)「めでたく夫婦になりました」でサゲ。
 磨き残し(早口で慌ててしまった所など)があるなあと思いながらも凄く楽しい一席でした。5月9日の動楽亭昼席の大トリは「崇徳院」を出すのかもしれませんね。(※5月9日は佐々木裁きでした)。見台はなく、紅雀さん着物が乱れるくらい熱演されてました。


 帰り道は京都の北区の方と途中までご一緒に。やっとお名前を聞けました。メルアドも教えてもらったのですが、翌日から偏頭痛とお腹痛になりまして、中々メールが出せず、タイミング逃がしたかなあと。来月も会えたら良いのですが…。

※2011年4月30日に感想を書き終えました
※2011年5月29日に追記しました。青字部分です。

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