第27回雀の学校

2011年4月20日(水)太融寺

桂 紅雀  「ろくろ首」
桂 雀太  「千早ふる」
桂 まん我 「仔猫」
~中入り~
桂 雀々  「隣の桜」(鼻ねじ)
桂 雀五郎 「野崎詣り」

どの噺家さんも、それぞれ聴き応えがあり、
とても充実した会でした。
紅雀さんの首が伸びる表現は体がくねくねして面白かったです。
お客さんの入りはそこそこ。


 紅雀さん、八重桜が綺麗ですねと。この会場に入る前、一瞬綺麗なピンク色の木が見えたのですが、それの事でしょうか。マクラは今まで聴いた事の無い話を披露。京都で行われた落語会、打ち上げに参加すると終電が無くなった時間に。太っ腹な先輩が堺までのタクシー代をぼんと出してくれたのだそうです。拾ったタクシーの運転手さんがちょっと変った人で怖い話をし出したという内容でした。怪談つながりで?ろくろ首を。落語のろくろ首は怖くないですね(お嬢さんはちょっと可哀想でしたが…)。マクラでお客さんの気持ちを掴んだようで、噺の内容もええ感じでした。こよりを付ける所から猫がじゃれて主人公がえらいことになる場面は少し駆け足気味に感じられ、二乗さんの時もこうだったのかな?と。せっかくおいしい設定なのだから、もう少しまったりしてくれても良いのになあと思ったり(贅沢)。首が伸びたところが凄く可笑しかったです。紅雀さんの身体がうねうねしてました。


 雀太さんはマクラに長生きの秘訣を。たくさん笑うと体内にナチュラルキラー何とかが増えるのだそうです。それが病原菌をやっつけるのだとか。それからいつも恋をしているとボケないのだそうです。雀太さんのマクラはいつも上手いなあと思います。噺の内容は「千早ふる」。娘に弱い主人公がとっても可愛かったです。吉の丞さんもそうですが、お子さんがいない若い噺家さんが娘を持った父親を演じると、可愛いなあと思います。「千早ふる~」は在原業平(ありわらのなりひら)の歌で、作者名を聞き取れなかった主人公が凄く可笑しい事を言っていたように思うのですが忘れてしまいました^^; 竜田川のくだりは、笑いの量を徐々に増やして欲しかったです。もう少しかしこまった表情で竜田川を語った方が良かったのでしょうか?甚衛兵さんの「そのとおりじゃ~」と言うどや顔が印象的でした。


 まん我さんは、登場するなりマクラ無しで、噺の前振りを語りだしました。まん我さん本気です(いつもそうだと思いますが)。おなべさんは枝雀さんのよりは柔らかな印象(枝雀さんが強烈過ぎるのか)。怪談噺だと思うのですが、人情あり笑いありで、含みのある噺だと思いました。おなべの「ヒ…ヒ…ヒ」という笑い声にぞ~として、おまる抱いて寝ると言う台詞に笑いました。三人の男達が語らう場面が良かったです。物語の山場?というか一番緊張する場面は、番頭さんとおなべが二人きりで話し合うところ。旦那さんから言いつけられた言葉を、おなべに言えない番頭が、当たり障りの無い会話を繰り返してしまいます。リフレインすることで笑いを起すというのは、実は凄く難しいことではないでしょうか。同じ調子で繰り返してはいけないし、徐々に動作や台詞を早めるか大げさにしなくてはいけないけれども、それを客に気づかれてもたぶんダメだと思うんですね。ここはまん我さんのMAXじゃないと直感。これからもっと磨きがかかってくるはずです。鳥肌が立ったのは、おなべが番頭の言わんとしていることを悟る瞬間でした。微かに目が大きくなっただけで、彼女の心情まで伝わってきて、これは凄いなあと思いました。


 中入り後は、雀々さん。マクラはトリ(最終演者)の一つ前の「モタレ」について。トリに上手くバトンを渡さないといけないので難しいポジションなんだとか。東京の寄席では「色物」が出てくるのだそうです。太神楽や漫才など。東京の寄席で見た70代後半の芸人さんがする太神楽の思い出話は、動楽亭でも聞きましたが、この日は内容も控えめで、時間を気にされているようでもあり、噺をする為に力を溜めようとしているようにも見えました。セーブする雀々さんを初めて見たような気がします(笑)。
 「隣の桜(鼻ねじ)」は10日の千里山寄席で聴いたネタ。それでも凄く楽しめました。むしろ千里山を体験したからこそ感動が増したようにも思います。以前の感想では、桜の枝を折る先生の描写が物足りないと書いてしまいましたが、雀の学校では「よっしゃ!」って感じでした。大きな枝じゃなくて、小枝を5,6本取っているように見えたのが良かったのかもしれません(そうだとすると、旦那さんの心は少し狭いですね笑)。隣家の宴会の音を聞いて駆けつけ、一緒になって踊ってしまうところも可愛いなあと思いました。もちろん定吉と旦那さんのやり取りも面白かったです。やっぱり私の中の落語は綺麗なトライアングルが欲しいものなんだなあと実感。
 ちょっと驚いたのは、定吉が旦那さんをしばく場面で、千里山では火箸だったところを、カナヅチにしていた所。大きく腕を振って3発くらい殴ってました。旦那さん頭を抑えて何度もいった~ァと。カナヅチを道具に使われると苦手なのかなと思っていたのですが、流血的なものは感じず。もちろん女性客の悲鳴も出ませんでした(あれは紅雀さんが沢山殴りすぎた所為なの?)。「ヒゲとヤカンの戦い(一騎打ち)」という台詞も飛び出して、紅雀さんの隣の桜と一緒だなあと思いました。雀々さんが紅雀さんに教えたものなのか、共通の人から教わったのか分かりませんが…。兎に角、大満足の一席でした。


 最後は雀五郎さん。以前トリをつとめた時は、ゲストの南光さんで時間が食ってしまったのか、やや駆け足気味の「質屋蔵」でした。この日はそうならないよう、頑張れ~と思いつつ(雀々さんが良いバトンを渡したように思うので)噺が始まりました。野崎詣りは5月にするもので、少し時期が早いですがと前置きを。野崎詣りは同じ枝雀一門のこごろうさんとまん我さんのものを聴いたことがあります。確か、冒頭に寅ちゃん(初天神に出てくる子?)が出てきて、はしゃいでお父さんに窘められる場面があったように思うのですが、その寅ちゃんは出てこず。色んな人たちがお参りする様子を早がわりで演じられました。お年寄りから、親子連れ、傘を持ったお金持ちっぽい人?、舞妓さんなど。この早がわり場面で拍手が起こったように思います。雀の学校だからワ~っていう拍手ではありませんでしたが。(オオ~っていう拍手に近いような)。
 まん我さんの野崎詣りは絵巻物のようで、場面が移りゆくさまが面白かったのですが、雀五郎さんは全く違う印象。兎に角、人と人との会話で噺が成り立っている感じでした。清八と喜六のやり取りが面白く微笑ましかったです。ずっと二人を見ていたいなあと思うくらいでした。
 口喧嘩の場面(野崎詣りでは験かつぎにするのだそう)で、初めて聴いたものをメモしておきます。恐らくまん我さんやこごろうさんには無かったように思うのですが、間違っていたらごめんなさい。
・傘をさして女の人と寄り添って歩いている男に対して、喜六が「お前の嫁さんやないやろ、お稽古屋のお師匠さんやろ」と。男は「れっきとした恋女房です」と答え、ここまでは一緒。喜六「そう言うんやったら、そういうことにしといたるけど、どうせ夜は冷たい尻抱いて寝てるんやろ、それやったら、水がめ抱いて寝とけ」と。
・場面が切り替わって、喜六清八でない二人が出てきて、口喧嘩の様子が描かれる。一人は川の上の屋形船にいて、一人は川の堤(つつみ)を歩いている。堤を歩く男が、やっかみで「どうせ無理をして散財しているんやろう」と、「料理はけちってるんやろ」と、船に向って言う。船の中の男が「住吉駕籠」に出てくる酔っ払いと同じ料理?を出して自慢する。○○焼き、○○焼き、○○焼き、どうや、と。堤の男が「そこの鯛はどうせ腐りかけやろ」、船の男が「朝とれたての鯛や」。堤の男「どうせ片身しかないんやろ」、船の男「ちゃんと両面あるわい」。鯛を引っくり返すと無い。「ほんまや」。鯛の目には紙を詰めてある。船の男、料理人?を責める。
・清八、あれくらいやらんとあかんと喜六にはっぱをかける。喜六は頑張って口喧嘩をしようと思うが、背が低いことを言われても上手く言い返せない。オチは相手の男が「粒が落ちてますよ」。喜六「どこに~」と頭を下げてお終い。「粒」は江戸時代の貨幣を指す?豆板銀の通称か。
・終演後、隣のお客さんが「粒」で終わるのは初めて聞いた。珍しいのでは、と言っていた。どうやら枝雀さん、粒で終わっていなかったよう。上方落語メモの「野崎参り」では「わぁわぁ、わぁわぁ、おなじみの野崎参り。」というサゲ。枝雀一門の中では珍しいのだろう。他の一門についてはよく分からない。ちなみに喜六清八でない男二人が口喧嘩する場面は五代目六代目の笑福亭松鶴が入れていたものらしい。


※追記
終演後、太融寺の奥の方?にある大きい八重桜を見に行きました。にこさんやH子さん、ラーさんがいなければ、一人では絶対見に行っていなかったと思います(汗)。辺りは薄暗く、梅田のネオン街の灯りでぼんやり見える程度でしたが、たわわに花が咲いていてとても綺麗でした。さわるとひんやり冷たかったです。

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